映画『ちはやふる 結び』ネタバレ感想〜瑞沢かるた部は続いていく!〜

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こんにちは。織田(@eigakatsudou)です。

百人一首の競技かるたを題材にした『ちはやふる』。2018年の今春公開された、完結編となる『結び』の感想です。
小泉徳宏監督、脚本。原作は末次由紀。

『ちはやふる 上の句』の感想はこちら
『ちはやふる 下の句』の感想はこちら

過去の記事でも触れましたが、瑞沢かるた部の真っ直ぐな姿を描いた功績としては『上の句』が一番です。最高の導入にして最高の青春です。

でも、過去二作を受けて、2年後を描いた「完結編」としての本作は『上の句』にはない深みと苦しみと喜びと笑いがありました。

ちはやふる 上の句 タイトル画像

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ちはやふる 下の句 タイトル画像

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以下、感想部分で作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。



『ちはやふる 結び』のスタッフ、キャスト

監督・脚本:小泉徳宏
原作:末次由紀
綾瀬千早:広瀬すず
真島太一:野村周平
綿谷新:新田真剣佑
大江奏:上白石萌音
西田優征:矢本悠馬
駒野勉:森永悠希
花野菫:優希美青
筑波秋博:佐野勇斗
我妻伊織:清原果耶
若宮詩暢:松岡茉優
周防久志:賀来賢人
須藤暁人:清水尋也
木梨浩:坂口涼太郎
宮内妙子:松田美由紀
原田秀雄:國村隼

詳しいキャラクター紹介は後ほど行います。

あらすじ紹介

末次由紀の大ヒットコミックを広瀬すず主演で実写映画化した「ちはやふる 上の句」「ちはやふる 下の句」の続編。瑞沢高校競技かるた部の1年生・綾瀬千早がクイーン・若宮詩暢と壮絶な戦いを繰り広げた全国大会から2年が経った。3年生になった千早たちは個性派揃いの新入生たちに振り回されながらも、高校生活最後の全国大会に向けて動き出す。一方、藤岡東高校に通う新は全国大会で千早たちと戦うため、かるた部創設に奔走していた。そんな中、瑞沢かるた部で思いがけないトラブルが起こる。広瀬すず、野村周平、新田真剣佑ら前作のキャストやスタッフが再結集するほか、新たなキャストとして、瑞沢かるた部の新入生・花野菫役をNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の優希美青、筑波秋博役を「ミックス。」の佐野勇人、映画オリジナルキャラクターとなる千早のライバル・我妻伊織役を「3月のライオン」の清原果耶、史上最強の名人・周防久志役を「斉木楠雄のΨ難」の賀来賢人がそれぞれ演じる。

出典:映画.com



キャラクター紹介

前、後編では千早たち主人公世代が高校1年生の時代設定でした。
部活勧誘規則を無視した用紙に合わせが逆の着物の絵を描き、かるた部のチラシを千早が貼り回っていたあの春から、2年が経ちました。

千早たちが2年生となった春は瑞沢に新入部員は入らず、部の存続を懸けて5人は新歓に向かいます。熱心な勧誘の甲斐あって(?)上記解説の通り、2人の新入部員が入りました。
ここでは『ちはやふる 結び』の愛すべきキャラクターを簡単に紹介していきたいと思います。

綾瀬千早【役・広瀬すず】

本作品の主人公。

「ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」の句を得意札にしています。

かるたへの情熱を燃やし、本作では再び猪突猛進モード突入。髪の毛を耳にかけると集中力の度合いが一段階上がります。
精根尽き果てると白目をむいて倒れてしまうことも。

千早の静止シーンを広瀬すずが上手に演じています。この「間」の部分に、ぜひ注目してください!

真島太一【役・野村周平】


容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能のモテ男。ようやく彼のハイスペックが本作で意味をなしてきます。
河合塾の綺麗な自習室で勉強に励む太一くんです。

ただし競技かるたにおいては、千早や新、詩暢たちに比べて絶対的な才能があるとはいえません。

一見完璧な男が、奥底に劣等感を抱えながら懸命に這い上がっていく姿は必見。

また、高校三年生ならではの葛藤が今作、太一を襲います。個人的に『ちはやふる』3部作の主人公は太一だと思っています。

綿谷新【役・新田真剣佑】

千早、太一と小学生時代に「チームちはやふる」を組んでいた最強高校生。福井の藤岡東高校でかるた部を作ります。
永世名人の祖父が他界して競技から離れましたが、千早と太一が楽しそうにかるたをする姿を見て再び火がつきました。

メガネくんと原田先生から呼ばれる優男は福井の方言がたまらなく魅力的。
相づちは「ほうや」。

演じた新田真剣佑は役名の「あらた」から取って改名したそうです(出典:モデルプレス)。

西田優征【役・矢本悠馬】

ウェイWaitWait!

やかましくてナイーブな彼こそが、
肉まんくん。またの名を西田。

太一以外の3年生をはじめ、後輩からも肉まんセンパイと呼ばれる肉まんくん、またの名を西田。三枚目の描写が多いものの、かるたの団体戦の醍醐味を一番教えてくれるのは彼じゃないでしょうか。

声出せ!声!

瑞沢かるた部を千早とともに引っ張る大事な大事な選手。三部作通じての安定感という意味では一番貢献したのでは?

大江奏【役・上白石萌音】

通称かなちゃん。瑞沢かるた部で最も百人一首の情趣と世界観を理解し、愛する彼女は、千早の熱烈な勧誘に惹かれて競技かるた部への加入を決めました。

上白石萌音は『君の名は。』で宮水三葉の声を担当。瑞沢かるた部を包み込むかなちゃんを魅力的に演じています。下がり気味の眉毛が人の良さを醸し出して良い…!
ちなみに上白石萌音は『溺れるナイフ』という作品でも「カナちゃん」を演じています。

基本的に丁寧語で話しますが、千早への太一の想いにはいち早く気づいていた模様。恋を歌った百人一首にも精通し、彼女のセリフを通じて語られる数々の歌は三部作のキーポイントになっています。

千早と更衣室で話していた時に見せた(うんうんうんうん!)という高速うなずきは凄かった!

駒野勉【役・森永悠希】

ガリ勉のツトムくん。通称・机くん(太一は「駒野」と呼びます)。瑞沢高校3年生。

一年生の頃から塾に通い、学校にキャリーケースを持ってくるツワモノ。作品の中で大きく精神面が変化していく一人です。

実力的に一番下からスタートし、ジレンマを抱えながらも自分にしかできない瑞沢かるた部への貢献の仕方を見つけて戦略や傾向分析で大活躍しました。実際の試合でも象徴的に勝ち負けが描かれるキャラクターですね。

ヌメヌメっとした口調で的確に指摘をする大人になった机くん。おでこの生え際が気になるのは僕だけでしょうか。

やっと言えたね!「瑞沢一勝ッ!」

若宮詩暢【役・松岡茉優】

札の角を静かにかすめ取っていく、左利きのかるたクイーン。才能と努力の才を併せ持ち、千早の前に立ちはだかります。京都・津咲高校3年生。

京言葉のはんなり口調にして透明感のある美人ですが、ファッションセンスが絶妙にダサいです。
ライブもするマスコットキャラクター・スノー丸を愛し、限定グッズにも異常な執着を見せていますが、要はかるたの強いオタクです。夢中になれるものがいくつもあるって良いですね!

得意札は「しのぶれど 色に出にけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで」。

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花野菫【役・優希美青】

瑞沢高校の新入生。名前の読みはスミレちゃん。

元カレとひどい別れ方をしたとかで彼氏候補ウォッチングに精が出ます。部活紹介のオリエンテーションで太一にロックオン。かるた部へ入部しました。

計算高い部分もありますが、百人一首の歌が持つロマンチックさに心を動かされることもあり素直な一面も。

友達役の女子が口が悪くて面白いです。「それな」とかもうね…いましたよね、ああいう女の子。

演じるのは優希美青。僕が一番好きな女優です。美青ちゃんへの感想は後ほどたっぷり。

筑波秋博【役・佐野勇斗】

瑞沢高校の新入生。かるた経験者で実力は確かですが相当な生意気一年生です。
「俺、自分より弱い人の言うことは聞かないんで」

完結編で初めて描かれた瑞沢かるた部の上下関係。それをハナから否定する様はまさに俺様。ただ、そんな生意気盛りを受け入れる机くんの懐の深さよ…!

独善的に育ってきた筑波は、これまでかるたの団体戦をやったことがありませんでした。彼の協調性はこの作品の一つの鍵になります。

須藤暁人【役・清水尋也】

北央学園高校卒・ドSの須藤さん。

大学生になった彼は、東大に出稽古に行く太一を周防に引き合わせてくれます。耳元で囁くセクシーボイス。近い!近いぞ!

「お前もせいぜい血祭りにあげられてこい」

いちいちセリフが悪役じみていて良いです。実際超いい奴です。千早に対しても面倒見がよく、この完結編でも厳しい言葉の中に優しさをにじませていました。

周防久志【役・賀来賢人】

男子最強の周防名人。

和菓子を炭酸飲料で流し込む変人。声が小さい。
かるたの「感じ」以前の音を聞き分けて読まれる前に札を取る凄技に「反則じゃなかったっけ?」と机くんも嫉妬混じりの恨み節をこぼしました。

大学は留年中。いつもサングラスをかけているそのワケは……

映画のネタバレ感想

ここからは『ちはやふる 結び』の感想を綴っていきたいと思います。

多くのネタバレが含まれますので、鑑賞がまだの方はご注意ください。



高校3年生のリアル

高校3年生になった瑞沢かるた部の5人。

昨年はゼロだった新入部員も筑波と菫を迎えて7人でスタートしました。

最上級生として進路の話も作品のテーマになってきます。太一は東大理科三類、すなわち東大医学部志望。成績が落ち始めて、かるた部から離れてしまいます。そんな秀才を気遣うのは机くん。
「真島と同じ特進クラスの僕にはわかる。今がどれだけ将来にとって大事な時期か」

太一は河合塾の自習室で閉館時間まで必死に勉強します。夏前とはいえ自習室に残っているのが一人だけ、というのは触れないでおきましょう。

一方の千早は進路調査書に「クイーン」と記入。宮内先生に「クイーンになった、その後は?」と問われると答えることができません。

クイーンは職業ではなく地位ですが、確かに千早のような生徒は僕の周りにもいました。突然目の前に現れる「進路」や「将来」。部活に邁進している子たちにはなかなか難しい部分だと思います。

3年生にとっては最後の大会。その部分をよその高校の描写で明示していたのもなかなか味わい深いなと。

部活って、終わりのあるものだと知ってるからみんな泣いたり歯を食いしばって頑張ったりするものなんですけど、傍観的な目線で「最後の試合」を切り取るのは見事だと思います。

瑞沢高校の場合

一方で瑞沢のみんなは「最後の戦い」にそれほど執着しません。目の前のことに必死で駆け抜けたというほうが適当でしょうか。

障壁と快進撃と軋轢と成長と、さらなる障壁と。月並みな言い方ですが、新たな仲間を迎えさらに絆が強くなっていく様子がわかりました。

全国大会で机くんを分析隊に回して菫ちゃんを試合に出すあたりも、先輩から後輩へバトンを渡したいという思いが伝わりましたね。

生意気な新入部員の筑波くんが敗戦を糧に一皮剥けるシーンも光りました。あまり描かれていませんが、あの北央戦で彼のプライドは一旦ズタズタになってしまったはずです。それでも独りよがりに走った彼は悔しさと申し訳なさを消化して、全国の舞台で戦力として戦えるようになったんだと思います。

スポ根の部分と今風の上下関係の緩さと他校(や周防)からの刺激を、上手にミックスしながら作り上げた瑞沢高校かるた部への愛着はさらに深まったのではないでしょうか。

みっ!ずっ!さっ!わっ!ファイトオォ〜〜!!

何度聞いてもいいですよね!

周防名人の存在

『ちはやふる 結び』でも太一がフィーチャーされていますが、彼の成長に一役買っているのが最強の名人・周防です。

読まれる前の息遣いの違いを聞き取り、誰よりも早く札を取っていく周防名人。なぜ彼が音に特化しているのか、そしてサングラスをしているのか。その理由を作品内では太一の視点も交えながら解き明かしていきます。

周防を演じたのは賀来賢人。久々に見ましたが、孤高の強さを持ちながら不安を内包し、お茶目な一面もある周防をうまく演じていました。年齢不詳なところがまた良いですよね!

イマイチ真面目な人なのか甘えん坊なのか、つかみかねたものの、それもまたキャラクターの深み。アイドル系役者からの圧倒的な進化を賀来賢人には見せてもらいました。

中華屋で定食を太一に奢ろうとする姿には笑いました。ある意味で本作の主人公と言っていいと思います。

千早ぶる。その意味とは

『上の句』で随所に見られたかるたへの愛も復活しています。競技中に札を光らせたり、札の文字を抜き出したり、スローモーションを使ったり。プレーヤー(特に千早)がどのような思考回路で反応しているのかがよくわかりました。

また、恋を歌った2首の対比や歴史を、アニメーションと奏の知識を使いながら説明。かるたに興味がなかった菫が目を輝かせるほどですから、丁寧に描写しているのがうかがえます。
『下の句』は『上の句』を観たユーザー向けのつくりでしたが、『結び』は初めて『ちはやふる』を観る人に向けても説明を尽くしていたと思います。

札の持つ意味という面では、本作品でようやく「ちはやふる〜」の歌と千早が結びつきます。

「荒ぶる」とは違う「ちはやぶる」。

駒を使って解説した奏ちゃん。わかりやすい!そして何でもあるな!かるた部部室!

先述した映像効果を用いて、千早がいわゆるゾーンに入る様子もかっこよかったですね。

慌てず、ぶれず。これが綾瀬千早だ!

太一がいなくなった部室で、千早が一人畳に横たわり、過去の記憶を探るシーンも見逃せません。彼女はどのようにして瑞沢かるた部をつくり、仲間との居場所を築いてきたのか。

回想シーンをフラッシュバックさせながらの撮り方は完結編にふさわしく、リズムの良さが光りました。
説明チックじゃなくて、ちゃんと「今」のシーンとリンクしている回想なんですよね……!

あなたはどこで笑いましたか?

過去二作では、ある意味で手の届かない存在として描かれていた新。藤岡東高校にかるた部を創設した本作では柔らかなキャラクターとして描かれています。

元々穏やかな人間ですが、仲間を得たことで掛け合いをする人が出てきました。

最たる存在が、冒頭のクイーン戦で千早を破り詩暢に敗れた我妻伊織(清原果耶)です。

小松菜奈に似た透明感のあるルックスからは想像もつかない勢いで新に告白。

「お兄、私と付き合って」

そして新はラブコールを瞬殺で断り続けます。

「ごめん好きな子いる」

事あるごとに伊織は告白を繰り返すものの、時を追うごとに新の瞬殺は速度を増していきます。
最初は「ごめん」と「好きな子いる」に「、」と表記するべく一呼吸がありましたが、次第に一息で両断するようになります。

最後の方には「お兄、」と言われた瞬間に言っていた気が……

優しげな微笑みをたたえた新の表情がまた良いですね。伊織には自分を子供扱いしないで女として見てほしいという意地が心の奥から感じられました。だいぶ薄められていた本作の恋愛要素の中で、新を想う伊織の強いハートは良いアクセントでした。

千早が17年間生きてきて初めて告白されたエピソード、それに対する奏の「何という美人の無駄遣い…!」もありましたね。
色恋の要素にも笑える部分が多かったです。

完結編ということでキャラもだいぶ立ってきました。

肉まんくんが負けた時の落ち込み方や、彼と千早が定期試験の結果を返された時のリアクション。
ねっとりした声で太一に囁く須藤さん。
さらに深まる詩暢のスノー丸への愛。

LINEやニコニコ動画の画面を使って柔らかな印象をもたらすことにも成功していました。

優希美青の花野菫

最後に花野菫を演じた優希美青にも触れておきましょう。

本ブログでは何回か触れているんですが、個人的に応援している大好きな女優さんです。

『ちはやふる』のチームに加入した美青ちゃんはやはり当初緊張していたそうですが、太一に一目惚れし、全く興味のない競技かるたを知ろうとしていく菫ちゃんはやっぱり愛しかった…!鏡でスマイル確認していざ真島先輩の元へ!

本作はお団子頭で出演。後ろ髪をまとめることでブレザーの襟がすっきりと見え、細い首が際立ちます。サイドに垂れた髪が可愛い!!!

広瀬すずでさえもダサさが拭えなかった瑞沢の赤いジャージを、ストンと可愛らしく着こなす美青ちゃん。制服も着物ももちろん可愛い。

ちなみにあの赤ジャージは僕の母校のジャージにそっくりです。ジップアップのない、しかもうるさい色のデザインをまとっても成り立つのは、彼女の顔の小ささと姿勢の良さに依るところが大きいのではないでしょうか。

 

三角関係というには物分かりの良いキャラクターだった菫。潔く彼女を退かせたことで、作品の軸はぶれることなく進みました。製作陣の皆さま、ありがとうございます。

文化部の青春にスポットを当て、千早、太一の主人公のストーリーを余すことなく描いた良作。キャラクターへの愛着も増し、この作品に出会うことができて本当に良かったです。

この出会いに、ありがとう。

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