日活ロマンポルノのリブート企画として新宿武蔵野館で上映されている『ジムノペディに乱れる』を見てきました。
行定勲監督。現代の映画監督にロマンポルノを撮らせたらどうなる?って話。
あらすじ紹介
映画監督の古谷は、スランプに陥り撮れない日々が続いていた。鬱屈した気持ちを抱える彼は、女たちに肌のぬくもりを求めてさまようが……。
スタッフ、キャスト
監督 | 行定勲 |
脚本 | 行定勲、堀泉杏 |
古谷慎二 | 板尾創路 |
山口結花 | 芦那すみれ |
安里 | 岡村いずみ |
ロマンポルノとはなんぞや
そもそも日活ロマンポルノと聞いても僕はわからなかったし、鑑賞のきっかけは岡村いずみさんが出てるからということ。
ロマンポルノというジャンルに対して高尚なことを書くだけの能もないし、好きな女優の体当たり演技をスクリーンで観れるならって。
本当にそれだけの動機。
ちなみにその岡村いずみの代表作は『かしこい狗は、吠えずに笑う』。
鑑賞する層なんて大体裸見たいだけじゃないの?って思ってたけど、結構女性の割合が多くて驚いた。
年配の方も多め。20代前半に見える人はほとんどいなかった。
残念な男性本位
さて、内容。
岡村いずみへの興味が主だったものだが、作品に対するアプローチは結構好意的だった。
ただ、いかんせん面白くない。
主人公の板尾創路は『空中庭園』で既視感のあるモテる中年、しかも変態、しかも体が綺麗ということでとても良かったが、それだけ。
名前を知らない知り合いとか、スマホを操作するときにピッピッ音が鳴らないようにだとか、あえてエピソードをぶつ切りに出して回収せずにリアルさを表現したりとか、何かやろうとしていたのは感じたが、それを語るのが女性の乳房と板尾創路の大きな瞳というだけでは寂しい。
あとはいい年こいたおっさん同士の掴み合い。あんなお互いセリフ吐きながらクルクル回るのがありますかね?
社交ダンスかと思ったよ…
実質的なヒロインは芦那すみれという女優。彼女の果て方はなかなか味があった。
ただし、何でもかんでも指をくわえればヤリたいのサインになるというわけではないことを行定勲監督にはわかってほしい。
板尾創路演じる古谷はモテるからああなったが、普通のおっさんが、指をくわえて物欲しげに見つめる女の子とやるシチュエーションなんてまずない。
女性側の抵抗の仕方もやや弱くて、凄く男性本位な印象を受けた。
多種多様なヌードが出てきたが、白い下着が多いのは作り手の趣味か。それともロマンポルノの性格か。
同じ男性目線ならAVにもこのレベルのストーリーが介在した作品はあると思うし、ロマンポルノ復活というシンプルなテーマの割に色々と観る側に深読みを強いる映画だった。
ポジティブな入り方をして、偏見は持っていなかっただけに余計に残念。
まあ、板尾創路が主役のAVと考えれば、無いことも無いか。
いずみ嬢
お目当ての岡村いずみは、やっぱりというべきか、凛と美しく妖艶。羨ましいぞ板尾!
撮影当時の顔は今よりもいくらか幼く見え、気が強そう。
キンキン声を板尾に「声うるせえよ」と言われてるのは笑ったが、ハキハキとした強い受け答えよりも、情事の後の「バッカみたい」に岡村いずみらしさを見た。
こう書くと『かしこい狗〜』のイメージに拘泥しているようだけど。
やっぱりこの子は悪役の方がハマるね。
典型的な嫌な女の先輩とかやってほしい。
この作品でいずみちゃんはブルーリボン賞新人賞を受賞。
2017年の「ビジランテ」でも濡れ場を熱演しています。
上でも描いたように、1800円払って観るには内容は面白くない。
個人的にはこの映画を観た女性はどういう風に感じるのか聞いてみたい。
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かしこい狗は、吠えずに笑う