【鑑賞3回目】『君の名は。』にまたまた涙

9月の初旬に立て続けに連続鑑賞した『君の名は。』。

作品の魅力に圧倒され、『ほしのこえ』『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』を先月鑑賞。

『秒速』のラストシーンと『言の葉の庭』の先生。
ボーイミーツガール。
放課後、あるいは放課前にスポットを当てる高校生活。

電車や都心の街並み。空の色。空の高さ。水の匂い。

新海監督の過去の作品に触れることで、また少しずつ『君の名は。』の理解が深まっていった。

そんな中での、3回目の鑑賞である。

(C)2016「君の名は。」製作委員会

出典:映画.com

公開から3ヶ月が経過し、この記事を読んでくださる内のある程度の人は『君の名は。』を観ている、あるいは知っているという前提で書く。

ネタバレはご容赦ください。
スポンサーリンク



何度見ても圧巻のオープニング

閃光が空を懸け、雲を突き破って大地を見渡す。

その光は彗星で、瀧くんはマンションの屋上から眺めている。

まずこのビジュアルにあらためて感激。
上から、横から、下から。

多角的な視点で描かれた空間は加速度をもたらし、僕たちはぐいっと前のめりになる。

前回の鑑賞時も気にして見ていたが、オープニングのコマ替わりがやはり秀逸。

音楽に合わせてパッパッパッ。

瀧と三葉の変化。

三葉の組紐と瀧のブレスレット。

物語の核心はRADの「夢灯籠」のオープニングテーマで既に明かされている。

でもこれに気づくのは2回目以降の鑑賞時。

▲オープニングで明かされる色々なこと。でもそれは初見ではほとんど気づかない。 (C)2016「君の名は。」製作委員会

出典:映画.com

スクリーンでの鑑賞はディスクでの再生と違って巻き戻しができない。

だから人はこの映画のトリックを確認するために複数回足を運ぶ。

勿論この種の技法はやり過ぎると、本編の意味がわからない!ってことになるのでその辺のバランス感覚がとっても上手なんだろう。

ベースのストーリーや色彩感覚、音楽で初見の人も引き込まれるように。

モノローグは大事なところで

過去の作品を鑑賞したことで、新海作品の一つの特徴に詩的(すぎる)なモノローグがあることはわかった。
その意味で『君の名は。』は独白を大幅に省略し、また多用している序盤の二人の場面も主題歌につながるテンポを紡いでいる。

ミュージカルとはまた違うが、舞台調のセリフの応酬。

ネットで見た「新海監督が、らしさを引き算している」との評にも頷ける。

「朝起きると、なぜか涙を流していることがある」
や、

瀧が糸守に執着していた頃を振り返るシーンなど、モノローグは大事なところに集約している印象だ。

▲場面の切り替えで効果的なiPhoneのアラーム。このリアル感がたまらない…! (C)2016「君の名は。」製作委員会

出典:映画.com

奥寺先輩の喫煙

その他に鑑賞していて気づいたこと。

本当はもっとたくさんあるんだけど、観ているうちに書こうと思っていたことを忘れてしまったのでポツポツと。

奥寺先輩がツカサの前で煙草を吸っているシーン。

基本的に、新海作品に煙草はあまり出てこない。
そんな中で「やめていた」煙草の煙をくゆらせていたのは先輩の中に葛藤があったのか。

瀧への恋心を振り切るためなのか、瀧が探し求める三葉は死んでいる人間という史実を理解できないからなのか。

高校生の前で大人という線引きを見せるためなのか。

あえて喫煙という表現を使った意味とは何だったんだろう。

▲やめていたはずの煙草を高山の旅館で解禁した奥寺先輩。その真意は… (C)2016「君の名は。」製作委員会

出典:映画.com

歩道橋

舞台は信濃町駅から神宮球場へ向かう途中の歩道橋。

瀧が奥寺先輩との初デートで別れ、三葉に電話をかけ、三葉が東京に来て瀧に電話をかけ、就活中の瀧が奥寺先輩と別れる場所。

三葉の世界と瀧の世界との境目というか、断絶や別れを意味するシーンが空に近い橋の上なのは興味深い。

場所は違うが大学四年になった瀧が雪の空の下で三葉とすれ違うのも歩道橋(新宿かな?)。

東京というコンクリートジャングルの街で、意図的に選ばれたのが歩道橋。

だから何だというのは考察できませんが、少し宙に浮いた空間に何か意味を持たせたのかなと。

ラストシーンの階段は三葉の世界へ「上がっていく」瀧と「下っていく」三葉。

隕石の被害から逃れようと(三葉の体で)山へ上っていくのが瀧で、下りていくのが三葉。

考えすぎか。

▲「上る」「下る」の描写が印象的。 (C)2016「君の名は。」製作委員会

出典:映画.com

テッシー

物語に強烈な印象を残したテッシーにも一言。

糸守でさやちんと三葉をカフェに誘い、BOSSの自販機の前で缶コーヒーを飲み、「ずっとこの町で生きていくんやと思うよ」と語ったテッシーには、田舎の現実を受け入れながらもこの町で生きていくんだという郷土愛みたいなのが見えた。諦めじゃなくて、糸守が好きというね。

だから糸守の町がなくなって、結果的に東京に来ざるを得なくなった状況は実に気の毒だと思う。
テッシーに関して言えば東京ではない町で大人になってほしかったというのが正直なところ。

前述の「生きていくんやと思うよ」の「よ」がもう本当に彼の優しさとか人の良さを表しているようで…もう僕は…

あとは口噛み酒の儀式を見に来たテッシーに「よぉ」とこえをかけられたときのさやちん。

「よっ!」の声に込められた嬉しそうな感情と言ったら…ねぇ。

テッシーは将来どうするの?って訊いた時とかの描写も含めて、この二人がくっついて本当に良かった!

▲テッシーとさやちん。2人の未来に幸あれ! (C)2016「君の名は。」製作委員会

出典:映画.com

どこで泣きますか?

正直、1回目の鑑賞時は圧倒されすぎて泣くどころではなかったのだけど、2回目でホロっと泣いて、今回はもっと泣いた。

周りの友達は「えっ?どこで泣くのあの映画」と驚くんだけど、僕なりの泣いたポイントを書いておきます。

1.奥寺先輩とのデートに瀧が行く日に三葉が、入れ替わることがなく涙を流すシーン。

(C)2016「君の名は。」製作委員会

出典:映画.com

2.糸守を訪れ、隕石が落ちた史実を知り、隕石湖の濁った水面、そして飛び交うトンビを見る瀧。
共有アプリの日記が文字化けしながら消えていくシーン。

3.三葉が(三年前に)東京へ向かい、雑踏の中を歩き疲れてローファーを脱いで指を揉むシーン。途中の人とぶつかる場面なども相まって。

4.口噛み酒を瀧が飲んだことで、二人の記憶がそれぞれ共有され、すべてを知った二人がクレーターの外輪山でやっと会えたシーンで、ブワッ。

横線一本を三葉が瀧の手の平に書いたところでペンが落ちるところで、喉がひきつるような音をあげた。

▲「やっと会えた…」瀧の優しい表情の時点で、ぶわっ (C)2016「君の名は。」製作委員会

出典:映画.com

5.三葉の手の平には”すきだ”と描いてあり、「これじゃ、名前わかんないよ…」となるシーン。
ちなみに三葉も瀧の手に書こうとしたのは「すき」「大好き」だったのかなというのが僕の意見。

「三葉」かなと思ったけど序盤に平仮名でみつはって書いてたからね。

6.雪の歩道橋ですれ違い、その後電車の窓からお互いを視認し、千駄ケ谷と四ツ谷で降りての邂逅ラストシーン。
まあ、ベタなところではあるけども、僕は決して涙脆いわけではない。

それでも、6回泣いた。

そして三葉が、見るたびに愛おしく思えてくるこの不思議。

何度でも、何度でも泣くし、感動する。

セリフを一字一句覚えるほどまで見たとしても、きっと新鮮だと思う。

スクリーンでまだ見られることに感謝。

スポンサーリンク