9月の初旬に立て続けに連続鑑賞した『君の名は。』。
作品の魅力に圧倒され、『ほしのこえ』、『秒速5センチメートル』、『言の葉の庭』を先月鑑賞。
電車や都心の街並み。空の色。空の高さ。水の匂い。
新海監督の過去の作品に触れることで、また少しずつ『君の名は。』の理解が深まっていった。
公開から3ヶ月が経過し、この記事を読んでくださる内のある程度の人は『君の名は。』を観ている、あるいは知っているという前提で書く。
何度見ても圧巻のオープニング
その光は彗星で、瀧くんはマンションの屋上から眺めている。
多角的な視点で描かれた空間は加速度をもたらし、僕たちはぐいっと前のめりになる。
音楽に合わせてパッパッパッ。
三葉の組紐と瀧のブレスレット。
でもこれに気づくのは2回目以降の鑑賞時。
スクリーンでの鑑賞はディスクでの再生と違って巻き戻しができない。
だから人はこの映画のトリックを確認するために複数回足を運ぶ。
ベースのストーリーや色彩感覚、音楽で初見の人も引き込まれるように。
モノローグは大事なところで
ミュージカルとはまた違うが、舞台調のセリフの応酬。
ネットで見た「新海監督が、らしさを引き算している」との評にも頷ける。
瀧が糸守に執着していた頃を振り返るシーンなど、モノローグは大事なところに集約している印象だ。
奥寺先輩の喫煙
本当はもっとたくさんあるんだけど、観ているうちに書こうと思っていたことを忘れてしまったのでポツポツと。
奥寺先輩がツカサの前で煙草を吸っているシーン。
瀧への恋心を振り切るためなのか、瀧が探し求める三葉は死んでいる人間という史実を理解できないからなのか。
高校生の前で大人という線引きを見せるためなのか。
あえて喫煙という表現を使った意味とは何だったんだろう。
歩道橋
瀧が奥寺先輩との初デートで別れ、三葉に電話をかけ、三葉が東京に来て瀧に電話をかけ、就活中の瀧が奥寺先輩と別れる場所。
三葉の世界と瀧の世界との境目というか、断絶や別れを意味するシーンが空に近い橋の上なのは興味深い。
場所は違うが大学四年になった瀧が雪の空の下で三葉とすれ違うのも歩道橋(新宿かな?)。
だから何だというのは考察できませんが、少し宙に浮いた空間に何か意味を持たせたのかなと。
ラストシーンの階段は三葉の世界へ「上がっていく」瀧と「下っていく」三葉。
考えすぎか。
テッシー
前述の「生きていくんやと思うよ」の「よ」がもう本当に彼の優しさとか人の良さを表しているようで…もう僕は…
「よっ!」の声に込められた嬉しそうな感情と言ったら…ねぇ。
テッシーは将来どうするの?って訊いた時とかの描写も含めて、この二人がくっついて本当に良かった!
どこで泣きますか?
正直、1回目の鑑賞時は圧倒されすぎて泣くどころではなかったのだけど、2回目でホロっと泣いて、今回はもっと泣いた。
周りの友達は「えっ?どこで泣くのあの映画」と驚くんだけど、僕なりの泣いたポイントを書いておきます。
1.奥寺先輩とのデートに瀧が行く日に三葉が、入れ替わることがなく涙を流すシーン。
3.三葉が(三年前に)東京へ向かい、雑踏の中を歩き疲れてローファーを脱いで指を揉むシーン。途中の人とぶつかる場面なども相まって。
4.口噛み酒を瀧が飲んだことで、二人の記憶がそれぞれ共有され、すべてを知った二人がクレーターの外輪山でやっと会えたシーンで、ブワッ。
「三葉」かなと思ったけど序盤に平仮名でみつはって書いてたからね。
それでも、6回泣いた。
そして三葉が、見るたびに愛おしく思えてくるこの不思議。
セリフを一字一句覚えるほどまで見たとしても、きっと新鮮だと思う。
スクリーンでまだ見られることに感謝。