映画『スイートプールサイド』感想〜刈谷友衣子の熱演〜

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14年の映画『スイートプールサイド』を鑑賞しました。
松居大悟監督、刈谷友衣子、須賀健太。原作は押見修造のコミックス。

毛深い女子水泳部員の後藤(刈谷友衣子)と体毛が生えない男子部員の太田(須賀健太)という設定。

ストーリーは甘酸っぱく、妄想が捗りすぎる前半と、暴走して喚き散らす後半の落差が激しく、そのあたりがラブコメという位置付けなのかな。

あらすじ紹介

男子なのに毛が生えないことに悩む高校1年生の太田年彦は、同じ水泳部の毛深い女子・後藤綾子をうらやましく思っていた。そんなある日の放課後、綾子から毛深いことに対する悩みを相談され、「私の毛を剃ってくれない?」と依頼されたことから、年彦は綾子の腕の毛とスネ毛を毎週剃るという秘密の関係を結ぶ。やがて年彦は綾子に対して特別な感情を抱くようになるが……。

出典:映画.com

スタッフ、キャスト

監督・脚本 松居大悟
原作 押見修造
太田年彦 須賀健太
後藤綾子 刈谷友衣子
二宮先輩 落合モトキ
坂下麻衣 荒井萌
三村崇 太賀
中山先輩 井之脇海
高倉先生 木下隆行
太田光彦 松田翔太



暴走とリアルの絶妙なさじ加減

ポスター画像

(C)2014 松竹株式会社

出典:映画.com

上記の画像の通り、刈谷友衣子が競泳水着で「毛を剃ってほしい」と懇願するシーンはある。

女子高生×競泳水着×禁断の体毛=?
この方程式に穏やかじゃない想像をする人は多いかと思う。
だけども。

妄想系青春ムフフ映画というと『中学生円山』が僕は頭に浮かんだのだけど、本作はそれよりも笑いを取りにいっていない。

確かに太田は妄想と自分の悩みで葛藤する変態男子である。しかし、彼の行動はこちらが笑うレベルではなく、もう色々とやばい。

やばいという単語は、褒め言葉と捉えたとしても常軌から外れた意味を含有する。

設定と太田の暴走を僕はやばいという言葉で表現するのが適当だと思う。

その一方で、女子部員のいびりや男子高校生の欲求、また生徒に媚びへつらうことのない薄毛の高校教師や水泳部部長の苦悩といったリアルの部分を何気なく場面に溶け込ませてきた。

普通青春映画を撮るときにこの種のエピソードを入れる場合、どうしても作り手側の「やってます」な思惑が透けて見えるのだが、この作品にはそれが全くない。

わざと顔を外して撮ったり、セリフの途中でシーンを変えたり。「いや、僕はそう思わな」プチッ、みたいな。

それでもしゃしゃり感が出ない。引き算の素晴らしさ。

クドカンとも大根仁ともこの感覚は違う。

出演者の最後は松田翔太

刈谷友衣子はこの作品の公開前から休業している。

残念だが、水着を着てもいやらしくならない透明感と強い瞳の力は必見。なお『シャニダールの花』という作品にも刈谷はなかなか面白い役で出ているので興味があればそちらも。

教育実習中の水泳部臨時コーチを演じたのは『桐島、部活やめるってよ』で竜汰役だった落合モトキ。
水泳部の部長は『トウキョウソナタ』で絶賛した井之脇海。

太田の級友役に太賀、理科教師役の木下隆行も非常に良かった。

作品のキーを握る女子生徒・坂下役は荒井萌。これがまた元気で可愛い。
太田にスキンシップぺたぺた!キスしよ?でも、どことなく漂うウブな雰囲気。良いです。超高1っぽい。

そして太田の兄役に松田翔太、その彼女役に谷村美月。
もったいないほどの脇役だが、松田翔太が「俺が脇を締めてやるから若いのバーンとやってこい」的な度量が感じられる配役。
それを可能にした松居大悟監督。

頭ガツンって叩かれたような、脚本、監督すげえっていう作品に出会えた気がする。

ネタにも笑いにもエロにも走らず、勢いを大事にして作られた感のある映画。
細かい高校生あるあるを見つけてほしい。

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