映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』

昨夜、映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』を鑑賞しました。07年、吉田大八監督。主演に佐藤江梨子。



■嫌な女・佐藤江梨子
原作は知らなかったが、サトエリが昔から好きだったので観てみた。
そんなに演技が上手なタイプでもないのでやはり、ドラマでもしばしば見るような、女を武器にした性悪女を演じている。またこれが観ている方も腹が立つほど上手いんです。好きな僕でも思うくらいだから。

ただ、もちろんサトエリの妖艶な様も良かったんだけど、この作品に流れる説明しがたい怨恨だったり、愛憎だったりというのは不思議なほど魅力的だった。

澄加(佐藤)の勘違いに端を発した傍若無人ぶりに兄のシンジ(永瀬正敏)、兄嫁のマチコ(永作博美)、そして妹の清深(佐津川愛美)が怯え、遠慮する。それはなぜなのか、また、なぜ澄加の勘違いを誰も止めることができないのか。

勘違いと活字にするとひどくコメディタッチな印象だけど、軽い映画ではない。

舞台となっているのは携帯の電波も入らないような石川県の山間の村。そこに明らかに不釣り合いな出で立ちの澄加や、田舎ならではのべったりとしたネットワーク、シンジのマチコに対するDVまがいの暴行……

■ネガティブオンリーの田舎

閉鎖的な世界で、閉鎖的な人間による愛憎を描くことに背景がまた一役買っている。本作における舞台の村は、自然が豊かであるとかいうポジティブな要素は全く出てこない。

また、この作品には純然たる笑い声が存在しない。あるのはサトエリ澄加の甲高い女王の笑い声のみである。

全くレビューとしての体をなしてないけれど、感想を述べさせてもらえるならば、続きがみたいと思える映画だった。ラストシーンもあれはあれでいいのだけど、さらに奥が見たい。

時間内に解くことができないほどまでに主要人物のキャラクター設定は濃く、マチコに至っては出生の秘密やら何やら彼女のサイドストーリーでスピンオフが一つできてしまいそうなくらい。

不思議な魅力の作品でした。

評価は★★★★★。

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