映画『DEATH NOTE Light up the NEW world』〜東出昌大がひどい。だがそれ以前の問題〜

藤原竜也がライトを演じた映画から10年が経った。

大学の友達から借りて原作を読み、映画を観てその切り取り方と手法に衝撃を受け、自分でもコミックスを買って再びそのロジックに感嘆した。

アニメや『L change the world』も観たし、昨年放送された窪田正孝主演のドラマも観た。

実写化で成功したと評価される藤原竜也&松山ケンイチ版のデスノート。

その名作が僕に及ぼした影響は結構大きい。

昨年のドラマ版の最終回放送後、「来年映画化」の宣伝が流れた。
ドラマ版があくまでライトとLの対決を描いたリバイバルだったのに対し、今度は原作後の「新しい世界」が舞台だという。
キャストを見たとき、単純にがっかりした。
池松壮亮、菅田将暉はともかくとして、東出昌大である。

▲東出昌大。色眼鏡を差し引いてもやっぱり大根。 (C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

悪口になってしまうようで恐縮だけど、僕はこの役者が苦手だった。

演技や発声からキャラクターの体温が伝わってこない、動きのキレも悪い、かといって存在感のある表情を見せるわけでもない。

淡白。
それが東出昌大に対する印象だった。

正直なところ製作側がなぜ主演に彼を据えたのか理解しかねた。

ただし、予告編に藤原竜也のライト、戸田恵梨香のミサが出てきたので原作(初代映画)ファンとして映画館へ足を運んだ。

少しだけ不安はあったけど、ライトとミサが出るなら大丈夫だろう、と。

▲予告に出てきたライト。だがしかし…… (C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

以下、ネタバレ少しあります。

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新世界→新世壊

結論から言う。

全然大丈夫ではなかった。

破綻。破壊。そして雑。

上映時の客は10人ほどだったが、1人は1時間くらいで出ていった。

破綻とはロジックの決壊とサイバー社会について。
デスノートの知られていなかったルールを露見させたのはいいけど、あの賢い夜神月が見つけられなかったルールが10年後に、明らかな盆暗によって利用されるのは許しがたい。

しかもその盆暗はそれを上手く利用できていない。

▲適当な映画作りやがって。ふざけんな! (C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

本当にこの世界にライトがいたら、「だめだこいつ…なんとかしないと…」となっているはずだ。

そのライト、Lの使い方も酷い。

エンドロール後のシーンなんてこちらを馬鹿にしてるとしか思えない。

東出昌大の存在価値、そして…

デスノート対策本部の三島(東出)、Lの後継者の竜崎(池松)という「10年後の天才」に対してライトとLを重ねようとは思わない。
だから竜崎の幼稚性が過ぎるキャラクターにはそれほど異論はない。

▲演技の上手い池松ですら時に滑稽に思えるほど。 (C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

でも、東出のあの演技はありえない。

三島からは冷静さも、感情も、知的な部分も行動的な部分も、一切感じられなかった。

ああ、こいつは能なし刑事で、竜崎と一緒に捜査をしていくうちに成長していくんだな、と思ってたら最後まで成長せず。

好きな作品だから、東出昌大という俳優にバイアスをかけないように意識していたが、終わって考え直してみると酷すぎる。

ついでに同僚を演じた藤井美菜も相当に酷い。

僕は池松の竜崎は嫌いではなかったが、紫苑という男を演じた菅田は脚本に良さを殺されてしまった印象を受けた。あれじゃあただの咬ませ犬。

どうせ描くなら最後まで気持ち悪く不気味に描いて欲しい。

彼はそれをこなせるだけの力があるのだから。

散々こき下ろしておきながらなんだけど、東出の三島もキャラクターという点では脚本に台無しにされた部分もあると思う。

勉強し直せよ。ふざけんな

10年が経ったミサミサ(戸田恵梨香)は老けたというより何かを悟った、あるいは十字架を背負ったような印象だった。
なお、それを作り手側が意図したかどうかは不明。

▲ミサミサの戸田恵梨香は見れて良かった。しかし咬ませ犬としての側面が否めない。 (C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

ライト世代の生き残りとして松田桃太(青山草太)をキャスティングしたのは数少ない英断。

しかし、彼の死によって一気に作品が軽々しくなった。これはライト世代との断絶を意味するものではなくて、松田の扱い方の問題だ。

オープニングの日テレのロゴがデスノ字体に変化する演出や、冒頭のロシア、また川栄李奈による雑魚キラ通り魔はなかなかワクワクさせてくれた。

「即死即死即死即死即死即死即死」については武器としてのデスノート使用という残念な面はあるにせよ、斬新で良かった。

▲魅上に近い形で描かれていた菅田将暉。削除にコミットしている点で一番面白いキャラだった。しかし後処理が雑。 (C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

ただ、鑑賞後にせり上がってきたのは怒り。お金を返せとか、時間を返せとかは言わない。

デスノートという作品を返してほしい。

頭脳戦はほぼ皆無で、それは東出や池松の演技力だけでなく、むしろ製作側の失策が大きい。
さらにライトやL、松田の雑な使い方と、そこかしこに見られる「これやっとけば原作ファンは喜ぶでしょ」精神。

▲中途半端にライト世代で釣ろうとする魂胆。 (C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

紫苑が折り紙を作っているあのモチーフに何の意味があるのか?

Lやニアの想起か?

その割には随分と原作への配慮が欠けてるな!

すぐ銃出すし馬鹿なの?

松田がどんな思いであの時ライトを撃ったのかわかってんの?

新世界なら潔くリュークもミサも切れよ。中途半端にライト世代で釣るから反感を買うんだよ!

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

上述した導入部と死神のCG以外、制作側には限りなく低い点数を与えたい。

繰り返すけど、馬鹿にしてるとしか思えない。

魅上の扱いとか何だあれ。魅上は明らかに三島よりは有能な人材だぞ?

もう一回コミックスと初代の映画を観て何が肝なのか勉強し直してほしい。

内容は星0.5。この駄作に出演してくれた藤原竜也、松山ケンイチ、戸田恵梨香、青山草太に敬意を表して★★☆☆☆。

エンドロールの出演者のラストは船越英一郎。

端役をここに配置する時点でもう何か色々終わってるなと思った。

ちなみに同僚は「すごく面白かった。ぜひ観てほしい」と言っていたので人によっては楽しめるのでしょう。

僕は無理です。ごめんなさい。

菅田と池松に満足できなかった人は、ぜひこちらの『セトウツミ』をご覧ください。良さ全開です。

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