映画『さんかく』

映画『さんかく』を鑑賞。主演に高岡蒼甫、恋人役に田畑智子、その妹役に小野恵令奈。監督は吉田恵輔。

【注意:ネタバレあります
 

 
■素晴らしき男女のリアル
素晴らしい。何が素晴らしいって、市井の男女生活をこれほどまで如実に表した映画は初めて見た。
 
主人公の高岡蒼甫はだらしなく、彼女の陰で妹に思いを寄せ、その一方で虚勢ばかり張る男。
端から見ればそれは滑稽なほど最悪な男なのだけれど、そんな彼は僕からすればものすごくリアルで、虚勢を張る気持ちがわかって、でもシンパシーを感じる自分がかっこ悪くて情けなくて……
 
男の格好悪い生き物という部分をこれでもかと見事に演じた高岡蒼甫は最高。
また、いつまでも先輩風を吹かされる後輩の心情や、いつもパシられる職場の同僚のさりげない反逆。
高岡演じるモモセが口ばかりの小さい男だからこそ生きるのだけど、そのような細かい描写も丁寧だった。
 
と、ここまでは男のダサさ、情けなさについて。
 

■重いよ…怖いよ…この女

 
本作のテーマとして、恋愛感情における「重さ」というものがある。モモセ(高岡)は彼女・カヨ(田畑)の妹・モモ(小野)に思いを寄せ、それはいわゆる「義兄」に似た立場、すなわちそう簡単に切れることのない関係を利用してというのも頭に入れながらアプローチを図る。
 
また、モモは作品の序盤で中学時代の先輩を追いかける。
 
そしてカヨは……別れを告げられ、頭ではわかっていても気持ちのコントロールがつかなくなってしまう。
様々なものが交錯し絡み合い、カヨは豹変した。
 
このヒステリーぶりもまた、田畑が上手に演じている。極めて男性的な見方と前置きさせてもらえるならば、カヨの起こすヒステリーもまた、実感できる男性は多いと思う。
キーパーソンとなる小野恵令奈の演技力にもびっくりした。
掠れて遅れ気味に出てくる声、中学生の無垢な肉感があらわになる腕や太もも。色っぽいというのとは違うけど、やはり男はそそられてしまうのである。
 
■ラストシーンの余韻に
 
まとめてしまえば、男女における究極のリアルを抽出した作品といってもいい。かといって、そのようなテーマの歌詞が多い湘南乃風がテーマソングを歌ったらしっくりくるとも思わない。
市井の生活から元気を生み出そうというよりも、男女の愚かな部分に気づかされる作品。ただ、ラストシーンは最高。一瞬えっ、と絶句したけど、あの余韻はたまらない。
長くなった上にネタバレまでしてしまいました。本当に新しい衝撃を与えてくれた作品。オススメします。

何度見てもたまらない。

 
評価はもちろん★★★★★。
 

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