映画『偶然にも最悪な少年』ネタバレ感想〜市原隼人の2003〜

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2003年の映画『偶然にも最悪な少年』を鑑賞しました。
監督・原作はグ・スーヨン監督。
主演に当時16歳の市原隼人

市原と中島美嘉、矢沢心、池内博之が物語の主軸を担っていく一方で、岡田義徳、柄本明、柄本佑、蒼井優、余貴美子らが脇を固めています。

『偶然にも最悪な少年』のスタッフ、キャスト

監督・原作:グ・スーヨン
脚色:具光然
カネシロヒデノリ:市原隼人
佐々木由美:中島美嘉
タロー:池内博之
カネシロナナコ:矢沢心
原田:柄本佑
原田の彼女:蒼井優
由美の兄:岡田義徳
キムハツコ:余貴美子
カネシロシゲハル:柄本明
質屋のおじさん:大滝秀治

上で列挙した以外にも、高橋克典、風吹ジュン、袴田吉彦、佐藤江梨子、加藤あい、津川雅彦、ともさかりえ、塚本高史、永瀬正敏、永井大、甲本雅裕、松山ケンイチなど錚々たる出演陣です。

あらすじ紹介

いつもヘラヘラ笑ってばかりの、在日韓国人のいじめられっ子・ヒデノリ。手首を切って自殺した姉・ナナコに祖国を見せてやりたいと思い立った彼は、脅迫性障害で盗癖のある由美と共にナナコの遺体を病院から盗み出し、渋谷のチーマー、タローの車で一路博多を目指して走りだす。

出典:映画.com

以下、感想部分で作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。



映画のネタバレ感想

以下、作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。

ストリート全開 市原隼人

公開当初の2003年ストリートスタイル全盛の時代。

綺麗な髪色の市原隼人池内博之もストリートファッションに身を包んでいます。

あの当時は現在とはトレンドが異なり、いわゆる裏原系やスケーターファッションが席巻していました。

主演の市原隼人がまたとってもハマるんですよね。軽やかで、かっこよくて、ワルくて。

映画のオープニングテーマはGICODEの「G・I・C・O・D・E」。エンディングは同じくGICODEの「ONE」。SPHERE of INFLUENCEとSORA3000のユニットです。

今の時代の「ヤンキー」「マイルドヤンキー」とは少し異なる「不良」少年のカネシロを演じる市原隼人。

一方で03年の中島美嘉は「愛してる」「雪の華」などをリリースした20歳の年でした。

上で挙げた池内博之、矢沢心と個人的に好きな俳優が出ていたことに加えて2003年の雰囲気にノスタルジー。

GICODEのオープニングを聞いた時点で懐かしさが爆発しました。

ちなみに、と言ってしまっては失礼ですが、上のキャスト紹介で書いたように、永瀬正敏、永井大、ともさかりえ、佐藤江梨子、前田愛、小出恵介、松山ケンイチといったところがちょい役で出演。ぜひ探してみてください。

ワンシーン役者が豪華なのは『シュアリー・サムデイ』に似てるかなと思います。

カップルをアベックと呼ぶ池内博之。

携帯のアンテナをシャキッと伸ばすカネシロ。

これが2003年です。

カネシロはなぜ自分が韓国人だと主張するのか

市原演じるカネシロヒデノリは在日韓国人という設定。

在日、日本人両方からいじめを受けつつもヘラヘラ笑ってやり過ごす、そんな主人公です。

ナイフの刃を手でぐしゃっと握り痛みより先に驚きを口にしたり、目覚まし時計を壁に打ち付けて止めたり(壊したり)、色々とネジの飛んでいるカネシロ。
チーマー(死語)のタロー(池内博之)も「狂ってる」という言葉を使ってカネシロを表現します。

当初はタローがカネシロを子分のように扱っていたはずでしたが、彼のヤバさにタローも気づき始め、途中からはカネシロに対して少し畏怖の念を抱きだすことがわかります。このあたりは池内博之がとても上手。

一見不良のように見えながらも、俺は幸せになりたいんだと言う安全志向のタローはとても現実的なキャラクターだと思います。

少し問題を抱えた由美(中島美嘉)がカネシロを認めて少しずつ惹かれあっていく2人。

カネシロのクレイジーな部分や在日韓国人というファクターを使っているところも含め『GO』に良く似た作り方です。

事あるごとに「自分は、韓国人だから」と言うカネシロは、視聴者にとって言い訳がましく映ることもあるでしょう。

彼は終盤で警察に向かって「強制連行ですか?強制送還ですか?」とも声を張り上げます。アイデンティティを色濃く反映した台詞です。

しかし。

在日のキャラクターにそのようなセリフを言わせる製作側が描きたかったのは在日の主張ではなくて、日本だ韓国だと論争する世間への風刺なのではないでしょうか。

カネシロが韓国へ渡ることを目指していく冒険譚の中で、不必要に見える出自のワードの提示。

それに過剰に反応する視聴者をあぶり出そうとしているのではないでしょうか。

エンディングの「ONE」は人種も出自も肌の色も関係ないと声高に叫ぶ曲です。

つまり、監督はカネシロを使って在日韓国人のアイデンティティを明示したかったのではなく、彼の言動を反面教師にして「そんなことにこだわるなよ」というメッセージを伝えたかったんだと僕は感じました。

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突き抜けた市原隼人の爽快感

というわけで、国籍がどうだ、出自がどうだという見方は極めてもったいないなと思う本作です。

監督がCM出身ということで場面の切り方や音楽の使い方はダイナミックでかっこいい。2003年ならではのワイルド感も上手に出ています。

普通の邦画と比べると何かが起きてその因果として何かが起こるという伏線の回収やストーリー仕立てが粗いんですが、それを補って余りあるカネシロと由美のぶっ飛びぶりが心地よい。

蒼井優演じる女子が暴れたり、
津川雅彦演じる闇売人が薬を売っていたり、
階段で車椅子に乗った人を運ぶ心優しい人たちを見つめるカネシロだったり、
中島美嘉と岡田義徳が兄妹だったり、
一見意味のない描写に見えるシーンが多い作品。

でもそれがあるから近親相姦をしたカネシロの狂気が引き立ったり、別の狂気が緩和されたりするわけで、カネシロの良い人のふりをする人は嫌いですというセリフにつながっていると思うんです。

確かにその動き撮りたいだけだろっていうシーンもありました。

けれど、作りものっぽいチグハグな展開と市原隼人が挙動不審な動きが重なるとそれは突き抜けた爽快感になりました。

カネシロの姉を演じた矢沢心は実際に福岡で育っており、その辺も偶然にも最高な設定。福岡といえば永瀬正敏と永井大の適当な博多弁も笑えました。

カネシロの言動や行動に「なぜ」を問うのではなく2時間一緒に突っ走って見た方が楽しめる映画です。

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