映画『リリイ・シュシュのすべて』感想〜わからない、のその先を〜

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録画してあった『リリイ・シュシュのすべて』を観ました。
主演・市原隼人。出演・忍成修吾、蒼井優ほか。岩井俊二監督。
2001年公開。

『リリイ・シュシュのすべて』のスタッフ、キャスト

監督・原作・脚本:岩井俊二
蓮見雄一:市原隼人
星野修介:忍成修吾
津田詩織:蒼井優
久野陽子:伊藤歩
佐々木健太郎:細山田隆人
犬伏列哉:沢木哲
小山内サチヨ:吉岡麻由子
高尾旅人:大沢たかお

あらすじ紹介

田園が美しいある地方都市。中学二年の蓮見雄一(市原隼人)は、かつての親友、星野(忍成修吾)にいじめられ、窒息しそ うな毎日を送っている。唯一の救いはカリスマ的歌姫リリイ・シュシュの歌声だけ。自らが主宰するファンサイト「リリフィリア」の中にいるときだけが本当の 自分でいられる瞬間だった・・・。

出典:Filmarks



映画のネタバレ感想

以下、作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。

わからない、のだけども

正直、ストーリーはうまく掴めませんでした。

音楽も「翼をください」のアカペラなどは特に綺麗だとは思ったけど、そこまで引き込まれませんでした。

中学生の、14歳の世界で、いじめ、万引き、パシリ関係は有りにせよ、人が簡単に死んだり、援交があったり。少し大袈裟な気も。

何よりシーンが無駄に長い割には飛び飛びで、上手く因果関係を掴めません。ネットタイピングの投稿者も終盤まで誰が誰だかわかりませんでした。

正直、見終わってからも「は?」という腑に落ちない印象でした。

鬱屈と開放。これもまた映画

だけど、ただの「面白くない」ではなくて、「何か心に引っかかる」。だから、Wikiとamazonであらすじと評価を調べてみました。

間違っていたのは僕の捉え方でした。
本来、映画なんてものの評価に正解はなくて、面白いか、面白くないかの判定は自由。
でも、本作についての僕の見解は「流れがわからない」でした。

映画にストーリーを期待しすぎていました。ストーリーがしっかりしているものが当たり前だと思っていました。

だけど、この『リリイ・シュシュのすべて』では14歳のリアルを描いているだけで、そこに起承転結は必要ありません。

特に僕は音楽に疎いから作中の「リリイ」や「エーテル」がなぜ主人公たちの心の支えになるのかわかりませんでしたが、それを差し引いても、14歳の毎日にストーリーなんてありません。

昨日まで友達だったやつから急にはぶられたり、急に不登校になるやつがいたり、抑圧されてパシられてもただじっとうつむいているだけで、次の日も一ヶ月後も何も変わらなかったり。ある日何故か対等な関係になったり。

理由なんてないし、わからない。そうするしかその日を耐え忍ぶ方法がないんだから。

不条理なことだらけ。14歳の世界なんて。

本作の公開された2001年、ちょうど僕は14歳でした。

ならば、掴んでみよう

あらすじや評価を読んで思い出しました。10年前の希望なき世界。常に誰かに抑圧されていました。僕だけじゃなくて、色々な人が。

本作では万引き、いじめ、パシリ、ハブき、援交、レイプなどが断片的に描かれていますが、それでいいと思います。もちろんこれらの行為は恒常的に行われるものだけど。ストーリーが伴っているとは限らないから。

繰り返しますが、「面白くない」のではなく「よくわからなくてつかめない」作品。じゃあ、つかんでみよう。そんな風に思わされました。もう一度、時間を置いて観てみようと思います。

美しい田園風景が印象的で、正直10年前という時間をあまり感じさせません。

やはり市原隼人主演の『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』も栃木の田舎が舞台ですが、映画の印象はまったく違います。本作はとにかく重い。

共感できるとか、ノスタルジックとかとはまた違う。

だけど、14歳の灰色の世界を思い出す。

笑顔をほとんど見せない、うつむき加減の市原隼人は、10年前の世界に確かにいました。

蒼井優は全然今と変わっていませんね。

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