映画『リリイ・シュシュのすべて』〜わからない、のその先を〜

録画してあった『リリイ・シュシュのすべて』を観ました。
主演・市原隼人。出演・忍成修吾、蒼井優ほか。岩井俊二監督。
2001年公開。
 


■よくわからない
正直、ストーリーはうまく掴めなかった。
音楽も「翼をください」のアカペラなどは特に綺麗だとは思ったけど、そこまで引き込まれなかった。
 
中学生の、14歳の世界で、いじめ、万引き、パシリ関係は有りにせよ、人が簡単に死んだり、援交があったり。少し大袈裟な気も。
何よりシーンが無駄に長い割には飛び飛びで、上手く因果関係を掴めない。ネットタイピングの投稿者も終盤まで誰が誰だかわからなかった。
 
正直、見終わってからも「は?」という腑に落ちない印象だった。
 
■鬱屈と開放。これもまた映画
 
だけど、ただの「面白くない」ではなくて、「何か心に引っかかる」。だから、Wikiとamazonであらすじと評価を調べてみた。
間違っていたのは僕の捉え方だった。
本来、映画なんてものの評価に正解はなくて、面白いか、面白くないかの判定は自由。
でも、本作についての僕の見解は「流れがわからない」だった。
映画にストーリーを期待しすぎていた。ストーリーがしっかりしているものが当たり前だと思っていた。
だけど、この『リリイ・シュシュのすべて』では14歳のリアルを描いているだけで、そこに起承転結は必要ない。
 
特に僕は音楽に疎いから作中の「リリイ」や「エーテル」がなぜ主人公たちの心の支えになるのかわからなかったけど、それを差し引いても、14歳の毎日にストーリーなんてなかった。
 
昨日まで友達だったやつから急にはぶられたり、急に不登校になるやつがいたり、抑圧されてパシられてもただじっとうつむいているだけで、次の日も一ヶ月後も何も変わらなかったり。ある日何故か対等な関係になったり。
 
理由なんてないし、わからない。そうするしかその日を耐え忍ぶ方法がないんだから。
不条理なことだらけ。14歳の世界なんて。
 
本作の公開された2001年、ちょうど僕は14歳だった。
 

■ならば、掴んでみよう

 
あらすじや評価を読んで思い出した。10年前の希望なき世界。常に誰かに抑圧されていた。僕だけじゃなくて、色々な人が。
 
本作では万引き、いじめ、パシリ、ハブき、援交、レイプなどが断片的に描かれているけど、それでいいと思う。もちろんこれらの行為は恒常的に行われるものだけど。ストーリーが伴っているとは限らないから。
繰り返すけど、「面白くない」のではなく「よくわからなくてつかめない」作品。じゃあ、つかんでみよう。そんな風に思わされた。もう一度、時間を置いて観てみようと思う。
美しい田園風景が印象的で、正直10年前という時間をあまり感じさせない。
やはり市原主演の『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』も栃木の田舎が舞台だけれども、映画の印象はまったく違う。本作はとにかく重い。
 
共感できるとか、ノスタルジックとかとはまた違う。
だけど、14歳の灰色の世界を思い出す。
 
笑顔をほとんど見せない、うつむき加減の市原隼人は、10年前の世界に確かに、いた。
評価はとりあえず★★★☆☆。
蒼井優は全然今と変わってなかった。


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