映画『さよなら渓谷』

ご無沙汰しております。

昨日、渋谷シネマライズにて『さよなら渓谷』の映画を鑑賞してきました。
六月に公開されたものの、行こう行こうと思っていたら終わっていて、シネマライズさんが上映していたので助かったと思いながらの鑑賞です。
■後にとっておきたかった衝撃性
吉田修一の原作はとても好きな作品で何度も読み返したのだけども、映画はというと、ストーリーをすでに知っていたことを差し引いても少しがっかりでした。
もちろんかなりのめり込んでいたのだけども、やはり主人公の俊介と一緒に暮らしている女性(かなこ)が過去のある事件の加害者と被害者であった、という関係性の衝撃こそがこの作品の肝であり、その衝撃を隠さずに映画の番宣に落とし込んでしまった時点で制作側はハードルを自らあげてしまったのかな、と。
僕はストーリーがわかっているからいいものの、冒頭の隣人女性の逮捕(畠山鈴香事件にインスピレーションを得たものである)の説明が、ラブシーンの背後で流れるテレビ音声だけでは、不親切であろう。
この児童連続殺人とか、体育部の暴行とか、家庭内別居とか、メディアスクラムとか、いろんな社会的要素を散りばめたのが原作だとすれば、映画はあれもこれもと再現を欲張るばかりに全てが蛇足感の否めないエピソードになってしまった。
撮り方としてだらりと冗長な形を撮るとした以上、ライター・渡辺の家庭の話はやはりいらなかったんじゃないかなと。
それよりも俊介とともに過去の暴行事件に関わった野球部の仲間たちを追うシーンなどの方が入れるべきじゃなかったのかなと。
ま、ここまでが気になったところ。
シーンの回し方や、情景、扇風機とかスーパーの袋など夏の生活感の描き方という面ではとても良かった。
かなこと俊介の行く当てのない道中の繋ぎ方は随一の出来。
あと、集合住宅から渡辺の家に至るまで全ての風景が、僕が小説を読んでイメージしていた通りのものでこれにはかなりびっくりしました。
■素っぴん・ノーブラ・真木よう子
役者ですが、真木よう子についてはわざわざ言及する必要もないでしょう。素っぴん、ノーブラ、かさついた肌。ラブシーンもそうだけど、外見的な部分も細かかったです。俊介役の大西信満(初めて見た)があまり言葉で勝負するタイプではなかったので、彼女に負う部分は大きかった。
何を見せたかったのか、焦点の当て方がもったいなかったけど、観てよかったなとは思えた作品。原作の素晴らしさも込めて★★★★☆。

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