映画『サマータイムマシン・ブルース』ネタバレ感想|2030年にもう一度見直したい名作

タイトル画像

こんにちは。織田(@eigakatsudou)です。

今回は2005年公開の『サマータイムマシン・ブルース』をご紹介します。
本広克行監督。出演は瑛太、上野樹里ほか。

突如現れたタイムマシンによって思いがけない事態に巻き込まれた大学生たちの二日間を描いた作品です。タイムリープが介在し、過去(昨日)と現在(今日)を行ったり来たりするので、とても頭を使う映画であり、二度三度見直すとまた面白さがわかります。
序盤の「昨日」のシーンで後にわかる伏線が張り巡らされていました。全てのシーンに伏線回収が用意されているといっても過言ではありません。
僕のような人間は脳みそがこんがらがってしまうような「タイムマシン」の話ですが、そこはしっかり何度も重ねて追ってくれるので理解できます。オチも含めて、視聴者に優しいエンターテイメント作品だと思いますね。

2030年から来た未来の部員も登場。公開から15年以上が経った2021年現在、2030年はあと9年後に迫った未来ですよね。主人公たちよりも未来を生きる、今の我々の目線から観ても面白いかもしれません。

以下、感想部分で作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。



あらすじ紹介

とある大学のSF研究会の部室には、前日にクーラーのリモコンが壊れ、猛暑に悩む部員たちがいた。ところが彼らは部屋の隅にタイムマシンがあることを発見、「昨日に戻ってリモコンを取ってこよう」ということになり、乗り込んでみるが……。

出典:シネマトゥデイ

スタッフ、キャスト

監督 本広克行
原作・脚本 上田誠

元々は京都の劇団『ヨーロッパ企画』の舞台劇ですね。原作、脚本の上田誠さんの名前は、映画内の「ところで、君はUFOを見たか?」にも登場します。

甲本 瑛太
柴田春華 上野樹里
新見 与座嘉秋
小泉 川岡大次郎
石松 ムロツヨシ
曽我 永野宗典
伊藤 真木よう子
田村 本多力
ホセ 佐々木蔵之介
この後、本記事はネタバレ部分に入ります。映画をまだご覧になっていない方はご注意ください。



映画のネタバレ感想

まずタイムスリップによって施された疑問点の回収を考えてみます。2005年8月19日の「昨日」、そして2005年8月20日の「今日」という二つの時間軸で基本的に物語は動いていきます。

画面を昨日と今日で上下に分割させる手法も面白かったですね!

なぜ昨日にタイムスリップしたのか

この理由は、8月19日(昨日)に部室のクーラーのリモコンにコーラをぶっかけてしまい、リモコンが壊れたことです。コーラがかかる前のリモコンを取りに行き、取り戻そうというわけですね。

ただし過去を変えてしまうと現在に影響を及ぼし、現在がなくなってしまうという部の顧問・ホセ(佐々木蔵之介)の提唱により、「昨日」に帰った部員たちはリモコンを奪回するのではなく、「昨日」の時点を現状回復するという形を取ります。

つまり、8月20日のリモコンは彼らがタイムトラベルを終えて帰って来た後も、壊れたままです。

クーラーが復活したわけ

しかしクーラーのリモコンは、最後にケチャという犬により土から発掘され、壊れていない状態で部員の元に戻ります。
これは「昨日」にタイムスリップした曽我(永野宗典)が、そこからさらに99年前に飛ばされ(これは用務員のおっさんからタイムマシンを隠すために曽我を適当な時間に飛ばしたから)、当時沼だった大学の敷地内で(昨日から持ち帰ろうとしていた)リモコンを落としていたからです。リモコンは二つ存在しているわけです。

8月20日時点で、コーラがかかって壊れ、ホセが分解してさらにぶっ壊したリモコンをA
8月20日時点で、ケチャが掘り起こし、クーラーを復活させたリモコンをBとします。

リモコンA
昨日:コーラをぶっかけたことにより使用不能に(※1)
今日:依然として使用不能。ホセが修理を試みるも分解に失敗し、破壊
昨日:未来(25年+4ヶ月後)から田村が持ってくる(※2。時間軸としてはこの中で最初)
昨日:そのリモコンにコーラがぶっかかる(※1に戻る)
リモコンB
昨日:コーラがかかる前のリモコンをタイムスリップして確保
昨日:曽我が99年前に飛ばされ、そこでリモコンを紛失
今日:99年の時を経てケチャが掘り起こして登場。使用可能に。
その後:リモコンは変わらず使われ続ける。
25年後の12月19日:リモコンを同年夏の田村が借りにくる(※2)

先ほど「過去を変えることは現在・未来の消失」と書きましたが、マッシュルームカットの未来人・田村が未来に行ってリモコンを拝借するという、未来の事象の変更は大丈夫なようです。

確定された過去をなぞる

「昨日」のSF部員たちが野球撮影後に訪れた銭湯でのやり取りも印象的です。

ここで新見(与座嘉秋)は何者かにヴィダルサスーンのシャンプーを奪われますが、それは「今日」の新見が奪ったものでした。騒ぐ部員たちに「うるさいよツーペア!」と怒鳴る番台のおばちゃんのセリフの「ツーペア」も、「今日」の甲本(瑛太)や新見が「昨日」の彼らと同じ空間にいたことを双生児と勘違いしたことによるものですね。初見時は意味がわからなかったんですが、しっかりと回収されます。

他にもカッパ伝説は99年前の曽我によって起こったことであり、部室のホワイトボードに書かれた「未来人参上」も「今日」の部員たちが「昨日」書いたものです。

結局のところ、現在に繋がる過去は変えられていません。その過去をなぞる作業をタイムトリップによってSF研の部員たちがしているという映画でした。

映画で使われたカメラ

『サマータイムマシン・ブルース』では、SF研究会と半ば部室を共有するカメラクラブの部員・柴田(上野樹里)伊藤(真木よう子)が登場します。

柴田が使っていたカメラは、未来からやってきた田村(本多力)と同じライカMPで、田村はお母さんから譲り受けた大事なカメラであると最後に打ち明けました。

ライカのカメラ※作品内のモデルとは異なります

ライカMPは実に高級品で、2021年3月現在、価格.comで検索するとボディに50万円以上の値がついています。カメラが好きな方からすると憧れのようなモデルですよね。田村くんも是非とも大切に使ってほしいものです。

一方で伊藤(真木よう子)はCanonのカメラを使っていました。
作品冒頭に固定で野球の写真を撮っていたカメラはちょっとモデルがわからなかったんですが、クーラーのリモコンにコーラがぶっかかるあのスローモーションシーンで伊藤が手を離して宙に浮いてしまったカメラは、CanonのEXという一眼レフでした。

Canonのカメラ※作品内のモデルとは異なります

こちらは現在中古が1万円台から販売されているようです。興味のある方は探してみてはいかがでしょうか。

2030年はどんな未来?

この映画を観たのは3回目なんですが、何度観ても楽しめる緻密な伏線回収が魅力的だと思います。
それと同時に、タイムトリップで2030年の世界がどうなってるのか、と考える上でも楽しいと思うんですよね。

映画の中で、田村(本多力)は「2030年」から25年前にやってきます。2030年時点での彼の年齢を20歳前後とするならば、自身が生まれる前に当たります。
マッシュルームカットを携え、シャツはパンツの中にきっちりイン。そんな田村を観て、2005年のSF研部員はダセェ気持ち悪いとバカにしています。

田村ら、作中における未来人の風俗は、数十年昔の服装をさせることで表現している。

出典:Wikipedia

Wikipediaにもこのように解説されており、2005年時点で田村は異時代感が半端ないんですよね。

ただしいま観てみると、2005年のSF研部員や柴田(上野樹里)、伊藤(真木よう子)のファッションも結構きついんですよね。
僕は実際に2005年にあのような格好をしている大学生や少し上の世代を見ているので、実体験をなぞるようでそんなに違和感がないんですけども、2005年当時の流行を知らない方からすれば、特に女性のファッション、また小泉(川岡大次郎)のヘアスタイル、曽我のクオーターパンツなどには相当ダセぇなと思うのではないでしょうか?

2005年のSF研の子たちのファッションは、当時の潮流を考えても決してイケてる方ではないです。でも、オシャレに気を使わない大学生からすれば普通の、ややガキっぽい大学生くらいのファッションレベルです。
上野樹里がタンクトップを重ね着していたのも当時の女子は普通にやっていました。石松(ムロツヨシ)みたいなタンクトップ男子も普通にいました。

最近のトレンドはというと、男性のマッシュヘアが2010年代から流行り始め、トップスをボトムスにインするスタイルもかなり定着してきました。若者が自分の親世代の流行を取り入れることも増えました。
トップスインなんてダサいよと笑っていた2005年の彼らの方がむしろダサいよ、になってきているのかもしれません。

フィルムカメラも

流行のリバイバルというのは衣服、ヘアスタイルだけではなくてカメラもそうです。

『サマータイムマシン・ブルース』では、先ほどご紹介したCanonとライカの一眼レフのフィルムカメラが出てくるわけですが、2005年時点だと既にデジカメがある程度幅を利かせているわけです。おそらく甲本や曽我の携帯にもカメラがついているはずです。

デジカメWatchさんの記事に、2005年のデジタルカメラの人気ランキングが載っていますので興味のある方はご覧になってみてください。

デジタル一眼レフが普及している中で、アナログのヴィンテージ感漂うフィルムカメラを用いる柴田と伊藤と田村は少し異端に映ったはずなんですよ。当時の感覚からすれば。

けれどここ数年、デジタルが当たり前だった若い世代はアナログのフィルムカメラを新鮮に感じ、フィルムカメラの再評価がされてきています。
もちろん2005年当時に15年後のこんな未来は予想できなかったわけですけど、当時ノスタルジックに受け取られていたかもしれないアナログカメラと写真は、現在ではもう少し今っぽく映るんですよね。

2030年まではあと9年ありますし、この後カメラの流行がどのような道を辿っていくのかはわかりません。
けれど15年前には有り得ない未来のように感じたレトロな2030年は、いま見てみるともう少し現実感のある光景にも見えます。

タイムマシンが2030年にあるかどうかはさておき、意外と2030年はレトロのリバイバルが爆発しているかもしれない。そんな風に思える2021年の再鑑賞でした。

2030年にまた観返したくなる映画ですよね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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