07年の映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』。とても衝撃的でした。
若松孝二監督、坂井真紀、ARATA、大西信満、地曳豪、並木愛枝ら。
ナレーション、テロップを淡々と
日米安保、学費闘争、外国の革命、安田講堂封鎖。
NHKのドキュメンタリー番組のようなタッチのVTRが続く。
その意味では何度か繰り返して観ることで、時代背景はつかめるのではないかと思う。
事件を振り返るたびに逮捕者の実数を表示する手法が印象的である。
僕も親からこの時代の話を聞いたことがなかったので無知の状態で鑑賞したが、この序盤で全くわからないようで微かに輪郭をつかめるような、そんな感覚だった。
そして、そのおぼろげな感覚でも、中盤以降の展開は理解できると知ることになる。
連合赤軍、そしてあさま山荘
塩見孝也ら幹部を失い、規模の縮小を余儀無くされた赤軍派は武装化を押し進め、革命左派と連合赤軍を結成する。
騒乱デモを起こすのも、彼らが武装化するのもお金がいるわけで、その手段の一つとしてM作戦という強盗が描かれていた。
この連合赤軍結成のあたりから時間軸の進み方は早送りではなくなり、彼らの活動を「実録」したものになっていく。
映画の山場はあさま山荘立てこもりよりも、連合赤軍が山岳で合同ベースキャンプをしているところ。
そこで起きていたのは凄惨で不条理で出口の見えないリンチだった。
総括!!!
総括要求は気絶させるために腹を徹底的に殴る。
革命左派の女指導者・永田の陰湿な嫉妬。
一人、また一人と革命戦士を志した人間が、粗探しをされるようにして消されていく。
異論を許さない雰囲気での蛮行は、北九州の殺人事件や栃木リンチ殺人にも通じるところがある。
残虐なリンチとはかくして起こるということか。
つらい。けれど直視してほしい
きついのだが、史実である以上、観る必要と価値があると僕は思う。
赤軍派と革命左派のメンバーを脱走者など含めてきちんと理解したかったので名前をメモりながらもう一度見返した。
あるいは、まったく発言もなくおとなしくしていた人間が最後まで生きて逮捕される。
彼女の腫れ上がった顔と精神錯乱状態でうわ言を喚くシーンは名演ではあるのだが、つらい。
立てこもった彼らを英雄視するとは言わないまでも、最後の抗いをする意地みたいなものを描いている雰囲気がある。
彼らは犯罪者なので、観る人によってはそれに対するアレルギーがあってもおかしくはない。
共産主義がどうだとか思想の問題ではなく、あの時代にこういうことがあり、あさま山荘までの過程にどんなことがあったのか。
資料集として、また犯罪者側の視点として勉強になるばかりだった。
だからこそ、フラットな目で作品を観ることができたし、少し理解もできたと思う。
赤軍、共産主義ってなんぞや?な人にこそ、見てもらいたい。
3時間10分、中だるみもなく飽きずに観ることができました。