映画『初恋』〜気味の悪さが強烈〜

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もう先週になりますが、06年の映画『初恋』を鑑賞。原作は中原みすず。塙幸成監督。主演に宮崎あおい。



えもいわれぬ後味の悪さ

ウィキペディアから転載すると、

1968年に発生した三億円強奪事件の実行犯である白バイ男は女子高生だったと設定し、学生運動が盛んであった日本の1960年代の若者の登場する青春映画であり、この女子高生の初恋を描く恋愛映画である。

という内容。

三億円事件についてはいろいろな媒体・作品で取り扱われてるけど、まともに観たのは初めて。
学生運動の背景も色濃く、どうもぴんとこなかった。

とはいえ、メインストーリーとなる宮崎あおいや小出恵介による、鬱屈とか不安とか使命感とかが絡まり合った恋愛模様に関しては、これまた時代が違うので傍観。

小出恵介の「おう、どうしたァ」と煙草の吸いっぷりが印象に残った程度でした。

ということで、やっぱり三億円事件や当時の世相に絡む側面にフォーカスしてみます。

これが三億円事件の真相なのか

冒頭20分くらい再生したあとに、もう一度三億円事件と当時の学生運動をネットでざーっと調べてから再び再生した。

まず、上にも書いたように事件の実行犯である白バイの男は女だったという前提。

作品の中では違和感なく描かれているんだけども前提から考えたり、原作者の中原みすずという謎の人物、それに主人公を演じた宮崎あおいのコメントといったところを考えると怖い。

主役の名前は、みすずである。

次に小出恵介の演じたキシという役について。

事件を主導した彼の背後に見える権力の影。作品では彼の親が政治家で、実行犯に名乗りをあげた息子の存在をもみ消しにかかったような形が取られていましたが、簡単に人を消したり、リンチしたりできる状況、感覚が怖い。

さらに実際の三億円事件についての考察では、学生運動から目を逸らし、三多摩地区にローラー作戦をかけるための警察の陰謀だったのではというものも根強くある。

もちろんそうした考察をもとに中原みすず氏が作品を練り上げた可能性が高いのだろうけど、どうも気味の悪さが作品全体に漂っているというか。

当時の時代背景を描きたいのか、
三億円事件の新たな物語を描きたいのか、
事件にまつわる恋慕を描きたいのか、
若者の悶々とした権力への抵抗を描きたいのか、

何がテーマなのかわからないので余計に、実話っぽくて気味が悪い。
エンディングで描かれた、仲間たちの消息もやけにリアルである。

普通のフィクションやドキュメンタリーだったら現実味を生み出すために何かを加えるんだろうけど、『初恋』では逆に現実味をぼやけさせようとしてる感覚

ネットで検索しても、06年公開当時に観た人たちが、実話かどうかという議論を交わしていることはわかった。

単純に映画の作品の一つとして見れば、レトロな昭和期の無難な作品。
ただ、そこに謎に包まれた実在の事件が介在することで評価は変わった。

何度でも言う。気味が悪い。

つまらない、とか、観て損した、とか、気持ち悪い、とかじゃなくて。
友達のお兄さんが出演していたことにエンドロールで気づいたのですが、なんだかもう一回観る気にもなれませんでした。

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