映画『ストロベリーショートケイクス』〜貴女にとっての男とは?〜

06年公開の映画『ストロベリーショートケイクス』を鑑賞しました。

魚喃キリコのコミックが原作。魚喃キリコさんは岩瀬塔子という名義で同名のキャラクターを演じています。

 

岩瀬塔子を含め、池脇千鶴、中村優子、中越典子の4人の女性の日常を描いたヒューマンストーリーでした。監督は矢崎仁司。

 

IMG_6911

池脇千鶴と中越典子という朝ドラのヒロイン経験のある2人を主役級に起用。06年の映画とあって、特に池脇にはあどけなさが残ります。

池脇千鶴はデリヘル店の受付で働く里子を演じ、その店のデリヘル嬢の秋代を中村優子が好演。OLのちひろ(中越典子)とイラストレーターの塔子(岩瀬塔子)はルームシェアをしている関係。

基本的に物語はこの2対2の組み合わせで分かれて進みます。

美人の残念な自己陶酔

 

4人の女性がほぼ均等に描かれる本作。出てくる男性はあくまでも彼女たちの恋愛とか依存とか失意の対象でしかないため、「女性から見た女性」の印象が強かったです。

その中で特に秋代(中村)のキャラクターが強烈に残りました。彼女は一人で生き、一人で死んでいくためにマンション購入を夢見てデリヘルで働いています。時にハードなサービスもいとわず、他の嬢からは少し白い目で見られています。

※ちなみに同僚のデリヘル嬢を演じた前田綾花と桂亜沙美が結構可愛い…!源氏名は彼女たちの芸名をそのまま使っています…!

墓地の近くに住み、棺桶をベッドがわりに使い、「死」をとても近くに意識しながら生活している様が描かれています。

その一方で「実家からトマトを送ってきて余ったから」という何とも地味な嘘をつき、安藤政信が演じるキクチくんに会いに行く始末。自転車漕いで、すっぴんメガネで。デリヘル嬢の時のビシッとした雰囲気とは正反対。

「トマト」の嘘が、嘘から出たまことになり、それが塔子の作品にインスピレーションを与えるというつながりも見事でしたね。

キクチと秋代は大学の同期生らしいですが、このすっぴんメガネは彼女の学生時代から抜け出せないメンタルが表れてるのかなって思いました。好きな男と会うなら化粧するでしょうし、もう少し見栄もあるはずです。

でも彼女はTシャツにスウェットでキクチくんに会いに行くんです。それが彼にとって心地よいと思っているから。彼女の中のキクチくんは今でも学生の頃のキクチだから。そして、すっぴんメガネ、寝間着姿の自分をさらけ出せる特別な存在であってほしいから。

秋代には、ろくに友達もいないようで、カレンダーに記入される予定はキクチだけ。

このカレンダーに月の満ち欠けが描かれていましたが、映画後半で描かれる生理不順を示唆したものなのかなと思いました。考え過ぎですかね。

 

自分がなぜ存在しているのか、なぜキクチに会いに行くのか。そういったことに対して一見自分を諦めているようで、実はすごく自分が可愛いんじゃないかと秋代については感じました。

 

他者にドライ。好きな他者(=キクチ)にはべったり。自分にはドライに見せかけて自己愛強し。
建前と本音を地でいく秋代でしたが、実に人間味があっていいのではないでしょうか。

 

スポンサーリンク



キュートな池脇千鶴が癒し

 

加瀬亮とのベッドシーンで頑なにバストトップを隠していた中越典子と、あっさりと乳首を晒していた岩瀬塔子の対比も面白かったです。

作内では、男がいないと生きていけないちひろ(中越)と他者を上から見下しがちな塔子という描かれ方でしたが、ルームシェアって案外仲が良すぎない方がうまくいくんですよね。

 

うざくて重いちひろの気持ちもわかるし、それを軽薄と切り捨てる塔子の気持ちもわかります。
この二人の全く仲良くない感じはおそらく女性目線で一番描きたかったところではないでしょうか。

 

 

お互いがお互いを見下しているから一緒に生活できている。お互いの立ち位置を精神的にマウンティングしながら確認して「私はあいつとは違うから」で一線を引いている感じでした。

 

痛い女が多い中で視聴者に安らぎを与えるのが池脇千鶴の里子。この池脇千鶴は単純に可愛らしいです。
そんな彼女が「秋の長雨、セックスしたいなあ」とつぶやくわけです。これは破壊力がありました。

 

00年代らしい、ぼやかしたヒューマンドラマ。個人的に傑作とは思いませんでしたが、こんな作品もたまにはいいですね。

 

 

女子目線からの感想を聞きたくなりました。
★★★★☆。

スポンサーリンク