映画『ロボコン』〜高専生の青春〜

03年公開の『ロボコン』を鑑賞した。

古厩智之監督。長澤まさみの映画初主演作品である。

高専ってどんなとこ?

舞台は高専。実在する徳山工業高専のロボット部が、全国大会のロボットコンテストに出場するものだ。

実は僕も詳しくは知らなかったのだが、高専(高等専門学校)とは中学卒業後、5年制で(主に)技術、工学系の教養を身につける学校。

普通の高校生であれば卒業となる18歳の後も2年間は学び、その高い専門知識と技術力は社会に大きく評価されているという。
主人公の里美(長澤まさみ)たちは、そういう学校で思春期の5年間を送っているのである。

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高専の青春

理系学校のロボット部において普通の高校の運動部のような青春は難しい。
部員も里美、航一(小栗旬)、四谷(伊藤淳史)、竹内(塚本高史)だけである。

徳山高専で行われた中国地区大会。
部員たちが夜まで熱心に作業を続け、仲間が夜食を差し入れに来るという呉高専の光景を見て長澤演じる里美が羨ましく思ったのも無理はない。

だから全国大会を前に里美たちのロボット「BOXフンド」を最終調整して、顧問の図師(鈴木一真)が差し入れたラーメンをすすり、鼻をかんだ長澤まさみがこぼした「今日がずっと続けばいいのに」というセリフはこちらにとっても響いたし、田舎の理系の女子高生が感じ得る幸せな青春のワンシーンだと思った。

一つのことに一生懸命に全力を注ぎ込み、一つのものを作り上げる、あるいは成し遂げる喜び。
僕の通っていた高校であればそれはきっと部活だったり学園祭だったり合唱祭だったりするのだろう。

里美たちの第2ロボット部はクラス単位とかではなく、部員4人+顧問という小さなユニット。
でもそこで結果を出したことで彼女たちは本気になることができて、青春の1ページをめくることができた。

僕は高校や大学でそれほど一つのことに熱中することができなかった人間である。
もちろん色々なところをフラフラしていたからこそ、見えたものや学んだこともあるけれど。

第2ロボット部は眩しかった。そして、素直に羨ましかった。

(画像はシネマトゥデイのサイトより、(C)2003 「ロボコン」製作委員会)

03年の長澤まさみと小栗旬と

本作は後述するコンテストのバトルシーンも含めてとてもガチな青春映画である。
でも、事前情報を持たずして観た場合、まず目につくのは「03年の長澤まさみ」や「03年の小栗旬」だと思う。伊藤淳史や塚本高史ももちろん若いけども。

13年前の二人は驚くほど可愛らしい一方で(年上ですが)、どこか現在に通じる煌めきもあったり。

二人ともこれだけ日本を代表する役者になったことで様々な作品においてターニングポイントを残している。
長澤で言えば『世界の中心で愛を叫ぶ』や『モテキ』、小栗なら『花より男子』や『キサラギ』など。

その僕が知ってる「あの時の」二人よりももっと幼い二人だから、くすぐられる気持ちや原点を知った気分になれた。
有名俳優の駆け出し時代を見るだけでも価値があるし、繰り返すがこの二人は本当に可愛い。

青春、ここにあり

ロボコンの大会の描き方も素晴らしかった。
ユニークなルールもわかりやすく説明し、(NHKが監修してるのかな?)落ち着いた実況とカメラワークもシュールである。

そしてスポーツマン精神ならぬアイデアマン精神。
徳山高専Bに敗れた高校が最後まで貫いたアイデアマン精神。ムーンウォーカーにガラガラヘビ。素敵!

それは前述の地区大会も同様で、伊藤演じる四谷部長が他の学校にテクニックを聞きに行くシーンもひたすらガチなのである。
ライバルに手の内なんか見せられるかよ!っていう次元を超越した、ロボットが大好きな奴らのアイデアマンシップ。

もちろん勝つことは大事だし、勝ったことで徳山高専Bは成長できたんだけど、勝つこと以外の結果も提示していたのがこの作品は素晴らしい。
勝負に勝って試合に負けた、みたいな。

実在の高専とロボット部が協力している本物のロボットたちだからできるあのクオリティ。もう一度繰り返すが、素晴らしい。

観終わった後に、僕は拍手をした。
部屋で一人。でも、せずにはいられなかった。
何か大きな衝撃があったわけではない。ストーリーに大きな起伏があったわけではない。

全部が全部、素晴らしかった。それに長澤や小栗への思い出指数が加点されて、とてつもない満足感をもたらした。

僕はこの映画が大好きだ。
ありがとう、ロボコン。

★★★★★。

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