映画『空飛ぶ金魚と世界のひみつ』

ご無沙汰です。

優希美青ちゃん主演の映画『空飛ぶ金魚と世界のひみつ』を鑑賞してきました。
予備知識はなし。優希美青ちゃん映画初主演ということで、何と無く父親のような、兄のような、ドキドキワクワクを抱えて映画館へ向かいました。

ネタバレ有ります
■3つの時間軸
上映前の番宣に続き、福岡の国際交流イベントの様子が映される。
随分と長い時間をかけて、しかも手の込んだものを作成してるなと思ったら、アジア太平洋こども会議・イン福岡(APCC)25周年で映画のスポンサーなんだと。なるほど。
本編の始まりは金魚鉢を覗き込む美青ちゃんと父親役のダンカン。舞台設定は1995年の福岡。
そのあと2013年の病院、2030年の福岡空港と3つの時間軸で物語は進む。
2030年の空港で働く天音(佐津川愛美)、2013年の病院で医者として働く黒田みどり(原田佳奈)。それぞれ主要人物の初回登場時は大きな文字で名前と国籍が出る。そして2013年の病院に入院してる女の子は幼少時の天音であり、1995年、ダンカンとともに暮らす優希美青ちゃんは中学生のみどりである。
この時代を超えたリンクは早々に明らかになるので、後に温存しない潔さも良いんですが、冒頭の優希が演じるところで名前を出さずに大人の原田佳奈を出した後に優希版みどりで名前を明かす。面白いタイミングの図り方でした。
■対象年齢はどこだろう
さて、内容は差異性と多様性の尊重、そして思いやりの精神を軸に置いた道徳的なもの。後で詳しく述べますが、恐らくは児童を主なターゲットにしたものかと思われます。
95年の優希版みどりにまつわる異国から来た母親との価値観の違い、13年設定では国際交流で福岡にやってきた韓国のドンジュとホストファミリーの男の子の間で描かれた心の開き方。30年の空港では、悪化するアジア情勢に伴う外国人観光客への思いやりの欠如。
はっきりいってエピソードの描かれ方は浅く、ストーリーとしての完成度は高いものではありません。ただし、そんな粗削りだからこそ、差異性を認めるという、違くていいな、の部分がダイレクトに響くような気がします。
道徳的な作品と評しましたが、学校の道徳の時間にDVDで流すには少し難しいかもしれません。ストーリーは何かが起こりました、それでこうこう、こうしましたという描写が甘いので高校生くらいには映画として物足りないだろうし、中学生も少し白けて見てしまいがちな構成です。
ただ、道徳と構えて観る環境ではないところ、例えば家族でゆったりとご飯を食べながら観てもいいだろうし、単純に映画を観るって目的で映画館に来てみると、製作側が描きたかったテーマが意外とダイレクトに感じられるかもしれません。
僕がそうでした。
僕は小さい子供を持つ、あるいはこれから持つであろう若い世代の人にこの作品を観てもらいたい。人を差別することは、人と違うことを怖がるということ。どうせ国籍が違うからわからない、と諦め扉を閉めるのではなくて、鍵を開けて理解したときにどんな世界が見えるのか。
絵本という媒体を使っているがゆえに対象年齢が低く感じるかもしれませんが、まだ頭が柔らかくなる素地のある大人に観ていただきたいです。
最後に優希美青ちゃんの演技ですが、若さゆえのぎこちなさを残しながらも頑張っていたと思います。オーバーオールはとっても可愛かった。
父親役のダンカン、母親役の佐藤仁美に比べても自然な、爽やかな演技でした。
評価は★★★★☆。観る前は予想だにしなかった部分で引き込まれました。

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