映画『スイートリトルライズ』〜浮気夫婦の心はどこにある?〜

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2週間くらい前に見た映画『スイートリトルライズ』のレビュー。

原作は江國香織さんの小説(未読)で、監督は矢崎仁司、主演に中谷美紀。2010年公開。



ちょっと残酷な「綺麗」

中谷美紀と大森南朋の夫婦がそれぞれに浮気をしつつも、その相手は所詮浮気相手でしかないというステディな心を描いた作品でした。

中谷美紀演じる瑠璃子と小林十市のハルオによる逢瀬。
朝起きてコーヒーを入れて窓を拭き、ブレークファストをこしらえたのちに在宅ワークをする瑠璃子は、作内でも僕らが見ても現実感が希薄でいかにも江國作品ぽい描写だった。

そんな彼女に少しの体温というか世俗感を与えるのがハルオとのシーン。
原作が未読なのでスイートリトルライズの意味がわかっていなかった僕は、その言葉を聞いてストンと理解した。

色々と江國作品らしい名台詞はあったけれど、ここで書くよりは見た方がいいと思う。

象徴的な言葉が多すぎて、恐らく小説の再現を狙ったものだろうけど、少しシーンの中でセリフが浮いてしまったものもあったかな。

特筆すべきは中谷美紀の演技の素晴らしさ。
はたから見た生活感の無さと、彼女自身が抱く不安と、たまに見せる聡への依存。
義妹の大島優子が瑠璃子に向かって呟いた「綺麗……」というセリフは既婚女性の瑠璃子に対しては少し残酷な言葉に聞こえた。

悪役がいない作り方をした製作側は、江國作品の再現性という点で素晴らしいと思った。

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