映画『バクマン。』〜エンドロールまで度肝抜かれっぱなし〜

先日、映画『バクマン。』を鑑賞。

原作はジャンプコミックスの大場つぐみ、小畑健のデスノートタッグ。何年か前に友人の家で単行本を7巻くらいまで読んだのかな。

平日の午後に行ったが、10代から3,40代まで比較的幅広い客層。
20人くらいはいたかな。郊外のシネコンというのを考えるとまずまずでは。

監督が大根仁さんということで、クランクインした時から観に行きたい!と思っていた一本。
佐藤健がサイコー、神木隆之介がシュージンを演じる。

▲原作はジャンプのコミックス。小畑さんの絵が最高に好きだ…… (C)2015映画「バクマン。」製作委員会

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ジャンプである必要性

原作ファンとして観に行くと評価は分かれると思う。
途中までしか読んでいない僕でさえもえっ?と思うほどストーリーは端折られ、出てこない主要キャラクターがいた。

シュージンの彼女のカヤとか好きだったんだけどな。
ただ、2時間ちょいの枠に当てはめること自体がそもそも無理がある。デスノは二部作というのと上手な切り取り方をして成功したけど、バクマン。には再現性は求めない方がいい。

▲当然ロケにも集英社が協力。日本最強のコミックを公式の形で描けるメリットを大根さんは最大限に使っている。 (C)2015映画「バクマン。」製作委員会

じゃあこの映画の見所って何よ?って訊かれたら。
集英社・週刊少年ジャンプという固有名詞を堂々と使って、漫画を扱えるということ。
その大義名分を存分に大根監督が生かしているところだと思う。

仮にこれがジャンプじゃなくてマガジンとかサンデーだったら成立しなかったんじゃないかってくらい、観る人がジャンプを「多少は」知っていることが前提になっているし、ジャンプが好きな人にはたまらないシーンがたくさんある。

▲編集者の山田孝之(左)の描き方にこだわりが見えた本作。いつも同じジャージ着てたなこいつは。 (C)2015映画「バクマン。」製作委員会

正直なところ、スラダンの物まねをするシーンとかは僕は薄いなーって思ったし、作り手側がどうしてもジャンプが好きなんだ!って熱量は伝わってはこなかった。
でも絶賛の嵐のエンドロール(これは凄い。発想からしてとんでもなく秀逸である)はやっぱりジャンプじゃないと駄目なんだよね。色がね。どうしても。

大根仁の本気。やばいね!

エンドロールももちろん度肝を抜かれたけど、冒頭から技術が凄すぎる。
プロジェクションマッピングっていうらしい。

二次元の漫画を描いているはずの実写の三次元が、二次元を優に超えているこの感覚。スクリーンの上を彩る、とかじゃなくて、スクリーンの上で高度な技術が遊び回っている、そんな感覚。とにかく凄い。

シュージンの眼鏡に映るコマ割りや、二人がネームの中に入っていって漫画になっていく姿。少し蛇足かなと思われるバトルシーンもご愛嬌。

▲二次元の原作を生かしてファンタジーも取り入れた構成。その根底に流れるのは大根監督の挑戦心だと思う。 (C)2015映画「バクマン。」製作委員会 

漫画の作法や絵を映画に落とし込むというのは考えつくところであるが、映像でしかできない動きや技術を(原作の)漫画に与え、再びスクリーンに転化する。
僕たちはページをめくる代わりにテンポの良いカットを合図に次から次へと目を飛ばしていく。うまく言えないけど。

絵を描いているときのペンの音、定規の音から刻まれるリズムも最高だった。大根監督の中にあるリズム感はやはり気持ちいい。
これはやや寄りのカットが多くてメリハリが効いている構図も同様。

どういうふうにしたら観る人は退屈せずに観られるか。
あの手この手を駆使して作り手目線の象徴のように見える大根監督だけど、僕はとっても観る側に配慮した撮り方をする人だと思う。今回も作り手側で自己完結しているシーンは少なかった。

▲熱意と楽しさが一人歩きせずに視聴者に訴えかけてくる。これが大根監督の本気だ! ともに(C)2015映画「バクマン。」製作委員会 

しかしまあ、低予算の『恋の渦』であれだけの作品を叩き出したと思ったら、予算があったらこれですか。

頭の中を覗いてみたい。きっと「やってみたいこと」だらけなんだろうなぁと思う。

最後に、「あっ、」とか「えっと、」とか日常性を感じさせる話し方は『恋の渦』と近いレベルで多発。これがあるから安心する。
佐藤健のサイコーが亜豆ちゃんと喋るときに声が上ずるのもナイス。最後まで貫いたのがさらにナイス。

主演の二人が配役逆では?っていう声が多いみたいだけど僕は気にならなかったな。
原作とだいぶシュージンもキャラが変更されてるし。

▲小豆(小松菜奈)と喋る時のサイコーの上ずる声が素晴らしく青春。 (C)2015映画「バクマン。」製作委員会 

完璧な作品ではない。所々至らぬ点ややり過ぎな点はあった。

でもそれを遥かに上回るエンターテイメント性、また映画と漫画の融合する面白さをこれでもかと見せつけてくれた。

マイナス20点、プラス150点。
★★★★★。

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