映画『バクマン。』感想〜エンドロールまで度肝抜かれっぱなし〜

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先日、映画『バクマン。』を鑑賞。

原作はジャンプコミックスの大場つぐみ、小畑健のデスノートタッグ。何年か前に友人の家で単行本を7巻くらいまで読んだのかな。小畑先生の絵が最高に好き…!

平日の午後に行ったが、10代から3,40代まで比較的幅広い客層。
20人くらいはいたかな。郊外のシネコンというのを考えるとまずまずではないでしょうか。

あらすじ紹介

高い画力に恵まれながらも夢を持たず普通の生活を送ってきた高校生の真城最高は、同じクラスの秀才・高木秋人から一緒に漫画家になろうと誘われる。プロの漫画家だった叔父を過労で亡くした過去を持つ最高は漫画を描くことを拒否するが、思いを寄せる声優志望のクラスメイト・亜豆美保と交わした約束をきっかけに漫画家を目指すことに。週刊少年ジャンプでの連載を目標に漫画づくりに励む最高と秋人は、敏腕編集者・服部に才能を認められ漫画家としての第一歩を踏み出す。しかし、そんな2人の前に同年代の天才漫画家・新妻エイジが現われる。

出典:映画.com

スタッフ、キャスト

監督・脚本 大根仁
原作 大場つぐみ、小畑健
真城最高 佐藤健
高木秋人 神木隆之介
亜豆美保 小松菜奈
福田真太 桐谷健太
川口たろう 宮藤官九郎
佐々木編集長 リリー・フランキー
新妻エイジ 染谷将太

監督が大根仁さんということで、クランクインした時から観に行きたい!と思っていた一本。
佐藤健がサイコー(最高)、神木隆之介がシュージン(秋人)を演じる。

ちょっと弱気な編集者を演じる山田孝之は新鮮だったし、鬼才・新妻エイジを演じた染谷の「〜ですぅ」という言葉遣いも最高だった。

この後、本記事はネタバレ部分に入ります。映画をまだご覧になっていない方はご注意ください。



ジャンプである必要性

原作ファンとして観に行くと評価は分かれると思う。
途中までしか読んでいない僕でさえもえっ?と思うほどストーリーは端折られ、出てこない主要キャラクターがいた。

シュージンの彼女のカヤとか好きだったんだけどな。
ただ、2時間ちょいの枠に当てはめること自体がそもそも無理がある。デスノは二部作というのと上手な切り取り方をして成功したけど、バクマン。には再現性は求めない方がいい。

じゃあこの映画の見所って何よ?って訊かれたら。
集英社・週刊少年ジャンプという固有名詞を堂々と使って、漫画を扱えるということ。
当然ロケにも集英社が協力。日本最強のコミックを公式の形で描けるメリットを、大義名分を存分に大根監督が生かしているところだと思う。

仮にこれがジャンプじゃなくてマガジンとかサンデーだったら成立しなかったんじゃないかってくらい、観る人がジャンプを「多少は」知っていることが前提になっているし、ジャンプが好きな人にはたまらないシーンがたくさんある。スラダンのセリフ引用の場面はそこまでドヤ顔でやること?って感じで個人的に引いたけど。

絶賛の嵐のエンドロール(これは凄い。発想からしてとんでもなく秀逸である)はやっぱりジャンプじゃないと駄目なんだよね。色がね。どうしても。

大根仁さんの本気。やばいね!

エンドロールももちろん度肝を抜かれたけど、冒頭から技術が凄すぎる。
プロジェクションマッピングっていうらしい。

二次元の漫画を描いているはずの実写の三次元が、二次元を優に超えているこの感覚。スクリーンの上を彩る、とかじゃなくて、スクリーンの上で高度な技術が遊び回っている、そんな感覚。
集英社の廊下を後にする二人が漫画の世界に書き込まれていくのを皮切りに、枠が、ベタが、キャラクターが、コマが浮かび上がって世界を自由に飛び回る。とにかく凄い。

シュージンの眼鏡に映るコマ割りや、二人がネームの中に入っていって漫画になっていく姿。少し蛇足かなと思われるバトルシーンもご愛嬌。

漫画の作法や絵を映画に落とし込むというのは考えつくところであるが、映像でしかできない動きや技術を(原作の)漫画に与え、再びスクリーンに転化する。
僕たちはページをめくる代わりにテンポの良いカットを合図に次から次へと目を飛ばしていく。うまく言えないけど。

絵を描いているときのペンの音、定規の音から刻まれるリズムも最高だった。大根監督の中にあるリズム感はやはり気持ちいい。
これはやや寄りのカットが多くてメリハリが効いている構図も同様。

どういうふうにしたら観る人は退屈せずに観られるか。
あの手この手を駆使して作り手目線の象徴のように見える大根監督だけど、僕はとっても観る側に配慮した撮り方をする人だと思う。今回も作り手側で自己完結しているシーンは少なかった。

しかしまあ、低予算の『恋の渦』であれだけの作品を叩き出したと思ったら、予算があったらこれですか。

頭の中を覗いてみたい。きっと「やってみたいこと」だらけなんだろうなぁと思う。

最後に、「あっ、」とか「えっと、」とか日常性を感じさせる話し方は『恋の渦』と近いレベルで多発。これがあるから安心する。
佐藤健のサイコーが亜豆ちゃんと喋るときに声が上ずるのもナイス。最後まで貫いたのがさらにナイス。

主演の二人が配役逆では?っていう声が多いみたいだけど僕は気にならなかったな。
原作とだいぶシュージンもキャラが変更されてるし。

完璧な作品ではない。所々至らぬ点ややり過ぎな点はあった。

でもそれを遥かに上回るエンターテイメント性、また映画と漫画の融合する面白さをこれでもかと見せつけてくれた。

マイナス20点からのプラス150点を叩き込まれた感じ。

「先に行くから」
「もう待つなんて無理」

亜豆が言ったあのセリフ。先に漫画の中の新キャラが使っていたのは、あまりにも意味深で泣けた。

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