映画『春を背負って』〜映像美と拙い台詞〜

14年の映画『春を背負って』を鑑賞。
木村大作監督。
出演は松山ケンイチ、蒼井優、豊川悦司、檀ふみ。

木村大作さんは監督というよりも映像キャメラマン(Wikipediaより原文まま)で名を馳せている人であり、『北のカナリアたち』などを手がけた方。

今作は古き良き日本映画を念頭に撮ったようだが、いかんせん良いところと悪いところの差が激しすぎた。



トヨエツの関西弁

綿密なロケーション探しによって見つけたという立山連峰。

確かに写真集を見ているかのような美しい風景は、時折CGではないかと錯覚させるほどのレベルだった。

基本的に綺麗な画しか使わないぞという監督の信念が透けて見え、視覚的には大変美しい。

トオル(松山ケンイチ)とアイ(蒼井優)をいたずらに関わらせることがなかったのも、主眼を人間模様ではなく山に置くという一貫性として良かったと思う。

全体的にトーンの薄い映画なので、これで二人の恋慕が介入してくるといよいよ収拾がめんどくさくなりそうだった。

一番よかったと思うのは豊川悦司演じるゴローさんが関西系のイントネーションを用いるところ。
ご存知の方も多いと思うが、トヨエツは大阪の出身であり、しかし僕は彼の大阪イントネーションを聞く機会があまりなかった。

その点で言えば、ともに青森出身の松山と新井浩文がこれまた少し違うイントネーションと早口言葉で喋る様も、二人の個性を表していていいなと思えた。

ただし、序盤の葬儀のシーンでは檀ふみら土着の人間が方言を多用していたが、以降はめっきり。このあたりはちょっと残念。
冒頭で述べたように、この作品は古き良き日本映画の再評価を狙ったものであった。

いきなり縦書きのクレジットから始まり、エンドロールも縦書き。まあこれはいい。ノスタルジーを感じる方もいるのだろう。

しかし、節々で流れる音楽が主張しすぎではなかったかな。
シーンに即したBGMを流しているつもりだろうが、過ぎたるは及ばざるが何とやらはこのこと。作品のテンポが良いわけではないので疲れてしまう。

一番悲惨だったのはセリフの言葉遣いや会話を紡ぐリズム。
松山ケンイチや池松壮亮のセリフが学芸会に聞こえてしまうことからその稚拙さは想像していただきたい。

山小屋に客が集うシーンなどはセリフが不自然すぎて驚いた。大根監督が極めて会話的な言葉遣いを撮る監督さんだとすれば真逆である。
キャストの雰囲気づくりはよかった。
ただ、使いこなせなかったなという印象。彼らだったから見ることのできるレベルまで引き上げられたというべきか、この演出なら大根役者でも同じだったのか、それはよくわからない。

終盤にトヨエツが倒れたシーンを入れるくらいなら松ケンの山小屋主人としての奮闘を描くべきだったのではと思う。
物語の起伏が乏しくなったとしても。

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