映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』ネタバレ感想|ヒロイン哀ちゃんに悶絶した

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こんにちは。織田(@eigakatsudou)です。

2021年の劇場版コナン『緋色の弾丸』を遅ればせながら観に行ってきました。

通算24回目の本作品は赤井秀一が登場し、“赤井ファミリー”が集結しました。

結論から言うとミステリー要素は少なめ。
一方でコナンくんが久しぶりにかっこいい活躍を披露する映画だったのではと思います。

個人的にはまとまっていて好きでした!



あらすじ紹介

世界最大のスポーツの祭典「WSG」と、世界初の「真空超伝導リニア」の開発という2つのキーワードを軸に、前代未聞の事件に挑む江戸川コナンの活躍を描く。FBI捜査官・赤井秀一が、シリーズ20作目「純黒の悪夢(ナイトメア)」以来に劇場版に登場。さらに、赤井の弟でプロ棋士の羽田秀吉、女子高生探偵の妹・世良真純、3人の母親で“領域外の妹”と名乗る謎の女性メアリーも登場し、“赤井ファミリー”が集結する。4年に一度開かれる世界最大のスポーツの祭典「WSG ワールド・スポーツ・ゲームス」が東京で開催され、その開会式にあわせ、最高時速1000キロを誇る世界初の「真空超電導リニア」を開発することが発表された。しかし、世界の注目を集める中、名だたる大会スポンサーが集うパーティ会場で突如事件が発生し、企業のトップが次々と拉致されてしまう。そして、その裏には事件を監視する赤井秀一と、彼の指令を待つFBIの姿があった。江戸川コナンは、今回の事件と、15年前にアメリカのボストンで起きた「WSG連続拉致事件」との関連性を疑うが……。

出典:映画.com

スタッフ、キャスト

監督 永岡智佳
原作 青山剛昌
脚本 櫻井武晴
江戸川コナン 高山みなみ
毛利蘭 山崎和佳奈
灰原哀 林原めぐみ
赤井秀一 池田秀一
石岡エリー 浜辺美波
この後、本記事はネタバレ部分に入ります。映画をまだご覧になっていない方はご注意ください。



将棋の理詰め要素

『緋色の弾丸』でフィーチャーされるのが赤井秀一さんをはじめとした“ファミリー”です。

自分は原作やアニメを追っているわけではないので、赤井さんファミリーについてはあまり深く理解していません。

劇場版コナンのオフィシャルサイトを引用すると「危険な一家」として以下のように紹介されています。

赤井秀一[長男]
現FBI捜査官で射撃の名手。黒ずくめの組織に潜入捜査をしており、コードネームは「ライ」。来葉峠での一件で偽装死。正体を隠すため沖矢昴に変装している。

メアリー[母親]
イギリスの秘密諜報機関「MI6」に所属しており、「領域外の妹」と名乗る。身体が小さい理由とは…?

羽田秀吉[次男]
かつて七冠をも達成したことのあるプロ棋士。現在は六冠王。恋人は警視庁の宮本由美婦警。

世良真純[妹]
新一や蘭と同じ帝丹高校に通い、女子高生探偵を名乗る。截拳道(ジークンドー)の使い手。

出典:オフィシャルサイト

特に印象的だったのは棋士であり赤井さんの弟でもある秀吉さん。勢いでどうにかするコナン映画にあって、秀吉さんの理詰めは非常にアクセントになっていました。

FBIのキャメルがえぇ!?となってるとことか本当に好きです。可愛い。

秀吉さんのモデルは将棋の羽生さんだと思うんですけど、昨今の将棋ブームを考えるとハマっている起用ですよね。
藤井聡太さんの知名度などを考えれば、プライベートをキャッチされる秀吉さんの人気度も実感が沸きます。

僕は将棋全然わかんないんですけど、スポーツ雑誌でも特集組まれるほど人気ですからね。推理の文脈に将棋を組み込んだのはとても時代に即していると思います。

●リンピック会場大爆破

今回のコナンでは、WSG(World Sports Games)というオリンピックを模したイベントが描かれます。

元太が「WSGって何だ?」と我々の疑問を代弁してくれてましたが、現実に置き換えると「五輪って何だ?」と言ってるのと同じで、若干無理を感じましたね。笑

WSGのメイン会場となる芝浜スタジアム(芝浦のあたりでしょうね)は、懐かしの新国立競技場ザハ案を彷彿とさせる流線型の屋根を模したもので、屋根の骨組みは5つの円が並べられています。

本家の「五輪」は上に3つ、下に2つの輪っかが重なったものですよね。

実は「オリンピック」「五輪」「パラリンピック」といった商標・ロゴなどの知的財産権はとっても厳しく、コナンの映画であっても簡単には使用できないんですね。
だからWSGというわかりづらい名称に終始したのもやむを得ません。

オリンピック・パラリンピックに関する知的財産等の無断使用および不正使用ないし流用は法的にも罰せられます。

芝浜スタジアムに直結する「芝浜駅」を新設し、名古屋から東京(芝浜)を結ぶ「真空超伝導リニア」がWSGに合わせて開通。
最高速度1000km、東京ー名古屋を25分。現実でも多分何年か前に夢見た話です。

このリニアは、時速によって車体の色が変わるそうです。ミニ四駆のシャイニングスコーピオンみたいですね!

五輪への逆風が強い今年だから…

そんな●リンピックのメイン会場も新リニアも、最終的には事件の解決と引き換えに破壊されます。ちゅどーん!どかーん!!
誰も死者を出さなかった代わりに、損害賠償額が半端ない件。やっぱり劇場版コナンはこうでなくちゃ。笑

2021年現在は五輪に対してのネガティブな国民感情が強く、様々な産業、また日常生活で自粛と我慢を強いられている中で、「何で五輪だけはいいんだ!」という風潮ですよね。

だからWSGのメイン会場が爆破され、開会式が中止になった映画の世界を見て、スカッとした方もいたのではないかと予想します。

興味深いのが、もしこれが1年前の2020年に、コロナ禍ではなく歓迎ムードの中でオリンピックを控えていた時期に公開されてたらどうだったのかなという話。

けしからんと怒る意見も少なからずあったんじゃないかなと思うんですよ。

映画では会長やスポンサーといった開催側も色濃く描かれ、WSGは利権とテロの脅威と怨恨が絡んだ商業イベントという文脈が出ているように感じます。
平和とスポーツと国際交流の祭典!!みたいなポジティブな要素は描かれません。

公開が1年先延ばしになって描写を変えたのかはよくわかりませんが、『緋色の弾丸』は皮肉に東京五輪を風刺した作品だと感じました。そのアイロニカルな描写は結果的に、2021年の世論にマッチしたのではないでしょうか。

永遠の不在証明

世論に即した表現と言えば、小五郎のおっちゃんがジョン社長の身を案じて「今は何の関係もない赤の他人が束になって人を叩く時代だ」と言っていたのも印象的です。

単純に顧客との約束という面だけではなく、情報を開示してしまうことで人間がどれほどの危険に晒されるのか。それをデジタルネイティブではない小五郎のおっちゃんから言わせたというのは大きいと思います。

オリンピックにまつわる嫌悪感、また政治家やスポーツ選手などに対してもそうですが、現代は「叩いて良い」と判断した相手を徹底的に袋叩きにする時代です。

叩く、批判するっていうのはそれなりに対象やテーマに対して熱意がないと出来ないと僕は思うんですけど、大して興味がない人たちも「生意気」とか「〜のくせに」とか表層的なところだけ掬い取ってぶん殴っています。Twitterやヤフコメのリプ欄を見てるとマジで吐き気がします。

『緋色の弾丸』の主題歌となった、東京事変「永遠の不在証明」は、本当に素晴らしい曲だったんですけど、誰しもが加害者になり得る危うさにも歌詞で触れています。

歌詞は歌ネットさんのページでご確認ください

おっちゃんのシーンは味噌汁をこぼし、シリアスとコミカルの入り混ざったものでしたが、あれは作り手側の意志、こだわりが感じられました。

少年探偵団の扱い方

劇場版コナンで鍵になるのは子どもたち(元太、歩美、光彦)の扱い方です。

事件のキーポイントをズバッと突く意外性がある一方で、やはり子どもがゆえに危険な状況を招いてしまうことも少なくありません。

名古屋からのリニア乗車組(おっちゃん、蘭、コナン、灰原)
新幹線で帰る組(おっちゃん、蘭、灰原)/リニア潜入組(コナン、世良)
名古屋追跡組(沖矢、世良、メアリー)
名古屋観光組(秀吉、由美)
東京残留組(元太、歩美、光彦、園子、博士)

今回はこういった形で登場人物が東京と名古屋に分かれました。
結果的に東京にいた人たちは難を逃れたので、少年探偵団の子たちが危ない目に巻き込まれることはほぼ無かったと言えます。

コナンたちが「子どもたち」を案ずることなく、事件に向き合えるシンプルな形でした。

本作のコナンは躍動していたと思います。過去3作品が影薄かっただけに嬉しかったです!

(見た目が)子どもなのが自分と哀ちゃんだけでしたので、コナンは珍しく子どもっぽい台詞を吐きます。

名古屋(リニア)が危険な状況ということから、蘭姉ちゃんはコナンと灰原に、なんで来ちゃったの、こっから新幹線で帰れるよね?と確認しましたが、「だって子どもだもん」と都合の良い時だけ子どもを振りかざすコナン。まじ笑いました。

大人と子供という文脈で言えば、当初のリニア乗車券・脱落者1名をめぐる博士のダジャレクイズで、園子が子どもたちに花を持たせていたのも良かったです。
休日に小学生の引率役を務める社長令嬢の女子高生。クソガキとぼやきつつも、園子も完全に大人ですね…。嬉しい…。

紺青の拳 タイトル画像

映画『名探偵コナン 紺青の拳』ネタバレ感想〜園子ファンの僕が大歓喜!とはならず〜

2019年5月11日

灰原と蘭のセリフに痺れる

今回何よりも好きだったのが哀ちゃんの描写です。コ哀大好きおじさんの自分からすると喝采ものでした…!

今回はコナンくんと哀ちゃんの名コンビがたっぷりと描かれています。

ジョンさんを運ぶ犯人を追うコナンは追跡メガネが壊れ、病院に残る哀ちゃんに予備のメガネを使ったナビを頼みました。

「何であなた私が予備のメガネ持って来てるの知ってるのよ」
「だってお前用意いいだろ?」
「待ってなさい」

みたいな会話があったと思うんですけどね、はい。ありがとうございます。本当にありがとうございます!尊い!

煙を充満させるやり口に気づいた哀ちゃんが、ドヤ顔でコナンにクエンチを説明するところも、WSGのレセプションパーティーで哀ちゃんが二つのグラスをこちんと乾杯させるシーンも最高でした。

さらにジョンさんの無事を確認したコナンが蘭姉ちゃんに電話をかけるシーンですよ。隣で聞いてた哀ちゃんはこう言います。

「ったく。こっちにも連絡よこせっつーの」

!!!!!!
ありがとうございます!!

 

リニアと新幹線に分かれてからも、哀ちゃんは遠隔でコナンをサポートします。

乗客の名簿を見せてほしいというコナンの無茶ぶりにもしっかりと応える素晴らしい活躍ぶり。
「子ども」な部分を見せておっちゃんを出し抜く姿は、いつものコナンと酷似しています。

そして新幹線の中で圧倒的リーダーシップを発揮する哀ちゃんに、「何者…?」と思わず口にする浜辺美波さん演じる石岡エリー

「科学が大好きなただの小学生よ」

いつもはコナンくんが「江戸川コナン、探偵さ!(どや)」とか言ってる決め台詞ですが、哀ちゃんが!!良い!!

最後には蘭姉ちゃんに抱きしめられているコナンくんが哀ちゃんを見つけ、探偵団バッジを振ります。哀ちゃんも振り返します。
これもう哀ちゃん、まごう事なきヒロインですね。尊すぎる。息止まるかと思いましたよ。
蘭姉ちゃんでさえも背景に見えてしまうほどには、コナンくんと哀ちゃんの繋がりを感じる本作品でした。

ただ、コナン×灰原が多かった中で、蘭姉ちゃんも引き立て役にとどまっていたわけではないんですよね。

リニアに乗るのはやめるよう、コナンが新一として蘭に電話したシーンです。

おっちゃんは俺が守ると言った新一に、新一が行くなら私も行くと言った蘭。

「新一が一人くらい増えても私が守ってあげるから」

いやぁ。ここはマジで鳥肌立ちましたね。

この後新一の「お前を守るのは俺の…」と、バーロー…言わせんなよ…に繋がるわけですけど、蘭は新一もお父さんもどっちも私が守るから!なんですよね。

前作の『紺青の拳』では園子が“守られている”側ばかりに映ったんですが、本作の蘭姉ちゃんのこのセリフには痺れました。

 

「殺意のない犯人」という特性もあり、ミステリーとしては簡単だった『緋色の弾丸』でしたが、オリンピック(のようなもの)とリニアというテーマ設定、また哀ちゃん×コナンくんの活躍ぶり、名バディぶりに大満足でした!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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