映画『名探偵コナン 迷宮の十字路』〜から紅と比較してみた〜

迷宮のクロスロード タイトル画像
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2003年の映画『名探偵コナン 迷宮の十字路』を鑑賞。こだま兼嗣監督。

『迷宮の十字路』のスタッフ、キャスト

監督:こだま兼嗣
原作:青山剛昌
脚本:古内一成
江戸川コナン:高山みなみ
毛利蘭:山崎和佳奈
服部平次:堀川りょう
遠山和葉:宮村優子
工藤新一:山口勝平
毛利小五郎:神谷明
鈴木園子:松井菜桜子
綾小路文麿:置鮎龍太郎
大滝警部:若本規夫

あらすじ紹介

 ある日、東京郊外のとある神社で密談を交わしていた3人の男たちが殺された。犯人は翁の能面をつけ、日本刀と弓矢で一瞬のうちに3人の命を奪った。時を同じくして大阪、京都でも殺人事件が発生。やがて殺された5人は、有名な仏像や美術品の窃盗を繰り返してきた盗賊団のメンバーであることが判明する。彼らはお互いを義経や弁慶、あるいはその家来たちの名前で呼び合っていた。その頃コナンたちは、8年前に山王寺から盗まれた国宝級の仏像の捜索を依頼され、京都を訪れていた。コナンは仏像を盗んだ犯人を窃盗団と疑い、早速捜査を開始するのだったが…。

出典:allcinema

『迷宮の十字路』はかなり歴代劇場版の中でも人気が高く、昨年の『純黒の悪夢』の前に行われた人気投票では1位に輝いている。

以下、感想部分で作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。



から紅との比較

舞台は京都。題名の十字路[クロスロード]は碁盤の目のように交差する京都の通りのこと。

五条大橋、鞍馬山など義経と弁慶に関連する名所も多い。
物語のメインに平次の初恋の人は誰やねんというところがあるんだけど、そのあたりは最新作の『から紅の恋歌』と似ている。

京都を舞台にして京都ならではの歴史が関係しているところも。

僕は先に『から紅』を観てからこちらを鑑賞。多くの人とは逆の順番なので、どうしても基準点がから紅になってしまうが、世間で言われるほどこの二作品に差はないのでは?と思った。

舞台が京都である理由


[から紅△ 迷宮◯]

この部分に関していえば、確実にこちらの方が意味がある。

『から紅』の主題となっている百人一首は京都だけのものではないが、『迷宮』は前述の町の大通り、また舞妓や義経記といった要素を出すことから京都に限定した理由はあったと思う。

歴史的文化の描きこみ

[から紅◎ 迷宮△]

百人一首を紅葉の歌というテーマに限定しつつ上手に取り込んだ感のある『から紅』。
一方で、『迷宮』は義経、弁慶の歴史的背景に対する描写が薄かった。あくまでも古美術品、弓、剣道といった要素の次点に位置している。
ただこれは平次の過去、葛藤や、盗まれた仏像の謎解きに時間がかかったことから仕方ないと見る。

犯人


[から紅◯ 迷宮△]


ともに百人一首や剣道の流派の違いを出しているところはさすがだが、動機に大きな差がある。

『から紅』が哀しい誤解に端を発したものだとすれば『迷宮』の犯人は至極自分勝手に映った。

しかも殺しの手口が鮮やかで、平次の前に何度も現れる自信家の部分を考えればもう少しね…頭の良い動機が欲しかったところ。殺し屋としては間違いなく一流。



ラブコメ要素

[から紅◎ 迷宮◎]

『から紅』の平次と和葉は素晴らしかった。強く凛々しく美しく咲く和葉と、彼女を守り抜く平次。

『迷宮』でも確かに強い平次が和葉を守るんだけども、消耗する平次とさらわれる和葉という構図がいかにもで強引に感じた。冒頭の平次の部屋のシーンもどこか歯切れが悪かったし。

っていうか水晶玉を持って京都に行く平次は下心ありすぎやろ!

その点『から紅』の二人の距離感はこの作品を経たアンサーになっているようでとても良い。

正直『から紅』の平和ラブコメ要素に対してはケチのつけようがないくらい好きだ。

一方で『迷宮』は新一の出し方が(当たり前だけど)前時代的でとても良かった。

夢だったのかな…となる蘭姉ちゃんにコナンくんがさりげない気遣い。新一の匂い。よみがえる温もり。帰りの新幹線の会話。

作画がとても安定していて、珍しく爆発のないコナン作品である。

高評価の理由はうかがえたし、この映画に凄く満足した人は『から紅の恋歌』が物足りなく映る場合もあることがわかった。

個人的には白鳥刑事がツボだったな。いい味出してる。

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