映画『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』〜もう、嘘は終わりにしよう〜

7月13日に公開されたポケモンの映画『みんなの物語』を観てきました。

原案・田尻智、脚本・梅原英司、矢嶋哲生監督。

声の出演は松本梨香、大谷育江ら。芦田愛菜、川栄李奈らがゲスト声優として出演しています。

 

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作品の公式サイトでは予告編やCMを観ることができます!

最終段落を除いてなるべく作品のネタバレには触れずに書いていきますが、設定、展開の多少の描写はご了承ください。

また、僕のこの映画の評価は★★★★★です。

子供たちに混じりながら鑑賞して、ズビズビ泣きました。前の列のお姉さんも泣いていました。

いい映画です…!!

ルギア登場。舞台は風の街。

2017年には『キミにきめた!』が公開。

ピカチュウとサトシの邂逅からアナザーストーリーを見事に描き、ポケモン赤緑青世代の僕は感涙にむせいでおりました。

 

 

今年はピカチュウとサトシの旅の続きと捉えてもいいかもしれません。

フウラシティという風力発電によって成り立っている街のお祭りに参加したサトシたちは、そこで様々なポケモントレーナーと出会っていきます。

 

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▲ピカチュウを肩に乗せて走るサトシ。風の街らしく、帽子が吹き飛ばされます。 (C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

フウラシティの風力は、ルギアによってもたらされるものです。

ポケモンを知らない人に補足すると、ルギアとは伝説のポケモンの一つ。伝説のポケモンというのは、そのゲームで一体しかいない希少な存在です。すごくざっくりですが。

ルギアはエスパーとひこうタイプを持ち、雄大に空を飛ぶ姿が印象的です。

ゲームのポケモン第2弾では「銀」バージョンのパッケージを飾りました。

「金」パッケージのホウオウが昨年の映画で一つのテーマになったので、今回のルギア起用は昨年からのつながりを感じさせます。

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駆け出しのJKトレーナー・リサ

フウラシティのお祭りに外からやってきたのはサトシたちだけではありません。

 

女子高生のリサ(cv/川栄李奈)は、足を怪我した弟にイーブイをゲットしてきてほしいと頼まれ、お祭りにやってきました。

モンスターボールを手にしたのも初めてのビギナーです。

 

ポケモン界隈を飛び越えた人気を持つイーブイは、今秋のゲーム最新版でついに主役に昇格します。

今後ピカチュウと並び立つ上で、この映画はとっても大事な意味を持っているんですね。

 

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▲リサとイーブイ。どっちも可愛い! (C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

予想に違わず、イーブイはめちゃくちゃ可愛いです。

 

「ぶいっ」

「プイッ」

ほぼこの2語だけで感情を表しているんですけど、素人のリサにはそう簡単になつかないぞ!という意志が見てとれます。

ピカチュウもサトシに対してそうでしたからね。いつでもいつも本気で生きてる姿を見て、イーブイはだんだん信頼を寄せるようになりました。

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▲イーブイのもふもふを抱え上げて、おでこにコツン。 (C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

リサについてはキャラクターデザインを見た当初から「あ、この子好きだわ」と思っていました。

派手な外見ながらも実は臆病な女子高生。自分の弱さを認めながらも、駆け出す「一歩」を踏み出せない弱さも垣間見せます。

ショートパンツを履き、脚を露出しているリサは足を映されるシーンが多いんですが、その理由は彼女のバックグラウンドにあったんですね。

川栄李奈がリサで本当に良かった

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▲上段左から二番目が川栄李奈。 映画ナタリーさんの記事から転載。

リサの声優を演じたのは川栄李奈。

「家で何度も練習した」そうですが、本当に素晴らしかったです。

リサは派手な(けばけばしい)化粧のギャルでありながら、それなりに可愛く描かれています。胸の膨らみも少しありますし露出も多めです。

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▲セクシーという意味では今作のムサシ(左)の色っぽさは異常です。絵柄の影響かなぁ。 (C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

でも、あまり女の子を全面に出したりはしません。媚びたりもしません。

当時の時代背景もありますが「か弱い女の子」の部分を見せていたカスミとは違います。

川栄のリサは喜怒哀楽を出しながらも、自分の抱える迷いとか恐怖感をうまく行間に滲ませていました。

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▲ポスターでも象徴的にリサの左半身が描かれています。

他のキャストが有名どころばかりでしたが川栄李奈は全く臆することなく、主人公級のキャラクターを演じていたと思います。

繰り返しますが、リサはポケモンを知らないド初心者でした。そんな女子高生がサトシたち、イーブイとの出会いをきっかけにポケモンの世界に入っていきました。時におっかなびっくり、時に目の下にクマを作りながら…。

リサはポケモンをよく知らずに劇場に来た人たちの代役も果たしているんじゃないでしょうか。なにこれ。ポケモンって面白いじゃんって。

それに大きく貢献を果たしているのがcvの川栄だと思います。

彼女がリサに魂を吹き込んでくれて本当に良かったです。

ホラ吹き男と、はぐれ研究員

本作『みんなの物語』はサトシも含めた6人の「みんな」に焦点が当たります。

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ポケットモンスター公式サイトから転載

その中で最も主人公に値する存在感を見せたのはホラ吹き男のカガチ(cv/大倉孝二)かもしれません。

彼はある人をがっかりさせないために、大風呂敷を広げ続けます。バレたらどうなるか、自分でもわかってるんです。でも、彼は期待に応えられない自分が怖くて嘘を並べます。

誰かを笑顔にできるための嘘とか見栄ってあると思います。

そんな彼に、とあるポケモンがついてきました。

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▲カガチ(左)についてくるのはウソッキー。 (C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

ウソッキーという、いわタイプのポケモンですね。正直これまで陽のあたる種類ではなかったのですが、この作品でカガチに見せる信頼は泣けます。

で、多分泣きながら直後のシーンで笑うと思います。

カガチのモンスターボールにはぜひ着目してくださいね!

カガチは彼の実妹のミア(cv/嶋村侑)、ミアの娘のリリィ(cv/水瀬いのり)との絡みも時間がしっかり割かれています。

嘘をつくという、ある意味人間らしい行為に依存するカガチを描くためには、その理由が必要。

彼女たちの存在によって、僕はカガチという男に深く感情移入しました。

逆に、人見知りのポケモン研究員として登場したトリト(cv/濱田岳)にはそれほど心を動かされませんでした。

研究員の同僚のアフロヘアの人は凄くいい人だったんですが、彼の厚意をトリトは素直に受け取ることができませんでしたね。

 

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▲トリトの背中をさするラッキー。母性やばいです。 (C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

ただし、トリトの融通の利かなさもポケモンへの愛情が並外れているからこそのものです。

ボクならもっとポケモンにとって良い答えを導き出せる。そんな思いを言葉に滲ませる彼のプライドの描写は上手でした。

なぜポケモンを忌み嫌うのか

ポケモン嫌いのヒスイばあさんの声を演じたのは野沢雅子。

言うまでもなく抜群の演技力はもちろん、ヒスイが持つ過去のストーリーも見応えがありました。

ある過去の出来事がきっかけでポケモンを嫌悪するようになった彼女。その“ある出来事”のシーンが結構重いです。

まだ観ていない人は気をつけてください。僕は直視できませんでした。

 

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▲ヒスイは右手に手袋をはめて杖をつきます。くっついてくるのはワニノコ、トゲピー、ムチュール、マリル。 (C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

カガチが誰かをがっかりさせないために嘘をつくという選択をしたのに対し、ヒスイは誰かを傷つけないために自分の心をシャットアウトしました。

言い方を変えれば、自分に嘘をついてポケモンを嫌いになったんですね。

その意味では、リサも自分に嘘をついて高校生活から逃げ出してきたと言えます。

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▲(左から)イーブイを背負うリサ、ヒスイ、ワニノコ、ラルゴ、ラッキー、トリト、カガチ、ウソッキー。 (C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

この後のネタバレで言及するラルゴ(cv/芦田愛菜)も含めて、「みんな」の物語がきっちりと描かれています。

100分の尺の中でそれぞれのキャラクターに迷いや悩みを持たせ回収した製作陣に拍手。

本当にいい映画です。

周りのちびっ子たちも集中を切らさずに静かに見入っていました。

以下、ネタバレに言及しますのでご注意ください。

これはサトシとみんなの物語

上で述べた人物にプラスしてもう一人、ラルゴという少女が物語の中心人物として登場します。彼女もまた何かを守るために嘘をついていました。

その何かこそが、この映画の象徴的なポケモンのゼラオラでした。

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▲ゼラオラ。二本足で屹立する姿がかっこいい! (C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

一方で、ラルゴの父であるフウラシティ市長は、市民を不安から守るために「ゼラオラなんていない」と嘘をつきました。

彼や市民にとってゼラオラは忌避すべき存在。そのまた一方でラルゴにとってはそういう人間が信用ならない存在だったわけです。

 

僕も成人してだいぶたつ大人なので、市長の言い分もよくわかります。人々とポケモンが共生できるのは素晴らしいこと。

でも、それを悪用する人がいる可能性がある以上、リスクを減らすために嘘をつくっていう手段をとったんだと思います。

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▲ラルゴの無垢な想いも騒動を増長させることに… (C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

前述した、リサは“走れるのに走れない”、カガチは“ポケモントレーナーと言って見栄を張る”、ヒスイは“ポケモン嫌いと公言”という形で嘘をつきました。

トリトは自分の気持ちを周りに伝えることを放棄しました。

みんな、自分にどこかで嘘をつきながら過ごしてきました。

そんな中で、嘘をつかず、ただまっすぐに突き進む人がいました。

サトシです。

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(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

混乱して暴走したバンギラスをピカチュウとのカッコよすぎるコンビネーションアタックで見事に確保し、体重202キロのバンギラスに肩を貸し、ゼラオラの攻撃を身体で受け止めて倒れるなどポケモンマスターかな?という超人的な描写は確かに多かったです。

コナンくんばりにスーパー。

けれど、サトシが全部をやり遂げたかというとそうではなくて、町の危機に瀕した時、彼はみんなの長所を信じてタスクを託しました。

この作品のバトルシーンで起用したのはピカチュウのみ。決して圧倒的な強さを誇示したわけでもありません。

 

彼が強かったのは「みんな」を信じたところですね。

「一人じゃできないことも、ポケモンとならできる!」

 

この作品で連呼される「ポケモンパワー」。言葉にすると安っぽく、正直なところ聞いた当初は「はいはい、ポケモンパワーね」と馬鹿にしていました。

 

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▲真っすぐに突き進む聖人サトシ。 (C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

観終わった後に他の言葉はなかったものかと考えました。

出てきませんでした。

 

ポケモンとトレーナーが信頼で結ばれた「みんなの物語」の原動力はやっぱり「ポケモンパワー」なんだなって。

それを実感させてくれたのは、みんなを巻き込んで前を向かせたサトシの真っすぐさだと思います。

 

サトシとピカチュウのバックボーンについては『キミにきめた!』の回想が少しある程度。

基本的には前作の世界が続いているとみていいと思いますが、この作品は「サトシと」「みんなの物語」で、「みんなの物語」を補強するためにサトシがお膳立てするというイメージでした。

 

ここも本作品を気に入った理由の一つです。

 

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足を怪我したイーブイが必死に聖火を動かそうとして、リサのハートに火をつけるシーン。

 

市長がゼラオラに向かって頭を下げるシーン。

 

ウソッキーがモンスターボールをカガチに渡すシーン。

 

ヒスイのブルーとの回想シーン。

 

 

もう色々泣きました。ハンドタオルぐっしょりでした。

出てくるポケモンもカントー、ジョウト地方のいわゆる第2世代までが主だったので、アラサーには突き刺さりました。

 

ブレス
2018-07-06

 

エンディングはポルノグラフィティの『ブレス』。エンドロールとともに流れる場面集と、ファンのイラストは必見です。

 

どうか最後まで席を立たずに「みんなの物語」を見守ってあげてください。

 

いい映画でした。

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