映画『センセイ君主』〜新しい浜辺美波を観に行こう〜

月川翔監督の『センセイ君主』を観に行ってきました。
『君の膵臓をたべたい』でもコンビを組んだ浜辺美波が主演を務め、担任の先生・竹内涼真に恋をするラブコメに仕上がっています。

浜辺の同級生役で川栄李奈、佐藤大樹が出演。

原作は幸田もも子のコミックス。月川監督が得意とするキラッとした青春作品の実写化ですね。

作品の解説はeiga.comさんより引用します。

幸田もも子による人気少女漫画を、竹内涼真と浜辺美波という注目若手俳優共演で実写映画化した学園ラブコメディ。浜辺主演のヒット作「君の膵臓をたべたい」を手がけた月川翔監督がメガホンをとり、共演にも佐藤大樹、川栄李奈、新川優愛、福本莉子らフレッシュなキャストがそろう。恋に恋する16歳の元気娘・佐丸あゆは。現在のところ告白7連敗中の彼女は、ふとしたことがきっかけで、ひねくれ者の新任数学教師・弘光由貴を好きになってしまう。感情がすべて顔に出てしまうため、告白する前から「高校生相手の恋愛なんてない」と弘光にフラれてしまうあゆはだったが、それでもくじけない彼女は「先生を落としてみせます」と宣言。猛アタックするあゆは、冷たくあしらう弘光に、それぞれの幼なじみも加わって恋の攻防が繰り広げられる。

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君の心臓をたべたい

 

「キミスイ」の透明感からは一転、今作の浜辺美波は笑わせてくれます!(C)2018 「センセイ君主」製作委員会 (C)幸田もも子/集英社

女優・浜辺美波のポテンシャルが一気に花開いた『君の膵臓をたべたい』(以下『キミスイ』)から1年。『となりの怪物くん』を経て、再び月川監督は彼女を主演に据えて高校生のラブストーリーを放ってきました。

今回浜辺が演じる佐丸あゆはは、高校生になったらみんな彼氏ができて恋愛できるんだろうなあ〜という夢を胸に抱き、全力で彼氏ハンティングする女子高生。
果敢に告白するも7連敗を喫し、すき家で暴飲暴食している彼女の前に突如現れたイケメンの年上男子は、のちに新担任となる弘光先生(竹内涼真)でした。

これって運命?
佐丸は全力で先生にアタックし、自らの青春を彼に捧げていきます。寝ても覚めても頭の中と心の中は先生でいっぱい!

お会計を払えない佐丸の前に颯爽と現れた高身長のメガネ男子(C)2018 「センセイ君主」製作委員会 (C)幸田もも子/集英社

『キミスイ』で見せた強くて透明感のある女子高生とは一転、今作の浜辺は百面相で彼女のイメージをガラリと変えました。

変顔という言葉では足りないくらいのレパートリー。「胸がボンババボン!」と表現する恋心を胸に秘め、圧倒的に表現していきます。つまり、妄想を胸の内に秘めていません。妄想を現実化するために走り続ける、それが佐丸という女子高生なのでした。
最高に笑わせてもらいました。弘光先生を追跡する時の顔、やばすぎ!!!

松岡茉優が演じた『勝手にふるえてろ』のヨシカとも少し似ていますが、ヨシカが自分語りに終始していたのに対して、佐丸は自分を語るよりまず行動に移しています。そこまで自己分析できていないのかもしれませんね。高校生だし。

これこそ君主だ!竹内涼真

弘光先生を演じた竹内涼真も出色の出来でした。
高身長イケメンの自分の武器をわかっていて、自らにアタックする佐丸を弄び、試します。

自分の上着を傘がわりにして佐丸の頭にかけたり、壁ドンを模したシーンもあったりと、もうキラキラ少女の夢をすべて具現化したかのような演出のオンパレード。それってクールな弘光先生というキャラクターがあって、初めてできるものですよね。
完全無欠のカッコイイ大人を嫌味なく演じきれたのは、竹内涼真だからこそだったなのかなと思いました。

数学教師の弘光先生(C)2018 「センセイ君主」製作委員会 (C)幸田もも子/集英社

数学教師の弘光先生は、数式を用いて答えを導き出す行程に快感を覚えています。
音楽が好きな理由も、決められたもの(音やリズム)を組み合わせて一つの作品(答え)にしていく部分で数学と似ているからだと語ります。一つの解に向けて邁進していく様は本当に理系脳ですね。

何となく始めた教師という職業に闖入してきた佐丸に対しても、彼は論破を試みました。三段論法とか言ってましたかね。どうして、なぜを重んじる数学教師にとって「胸がボンババボン!」な女子生徒は異質に映ったでしょう。

音楽が好きな弘光先生は、文化祭のクラスの出し物に合唱を提示します。珍しくやる気のあるところを見せた先生でしたが、「伴奏は僕がやります。昔ピアノをやっていたので」という頼もしい言葉とは裏腹にピアノは全然弾けませんでした。
自分では弾けているつもりなところも可愛い君主ぶりでしたね。

結局先生は指揮者に落ち着きます(笑)(C)2018 「センセイ君主」製作委員会 (C)幸田もも子/集英社

合唱曲に選んだのはジュディマリのあの曲。
今の高校生にとってはもしかすると、親世代のヒット曲として知っている子がいるかもしれませんね。

僕のようなアラサー人間にとっては、懐かしくて最高の選曲でした。月川監督はこの辺りのノスタルジーのくすぐり方が独特。本作が現役高校生だけではなく、その上の世代でも楽しめるものなのかなという気がします。

『モテキ』では主人公の幸世くん(森山未來)が、年上の恋人(麻生久美子)に対して「俺はジュディマリは通ってこなかった。YUKIになってから聴くようになった」と言っていましたが、JUDY AND MARYは懐メロとして絶妙な距離感にある選択だったと言えます。

川栄李奈の安心感

主人公・佐丸の親友役「アオちん」として出演していたのは川栄李奈。
BL漫画家として活躍する彼女は、厳しく、時に優しく佐丸を支えます。

アオちんの存在が、百面相・佐丸の演技と映画の設定による何とも言えないファンタジー感から僕たちを現実に引き戻す役割を担っていました。
「いや、そんなのねーから!!」ってスクリーンに向かって突っ込みたくなる時に、それを代弁してくれるのがアオちん。前髪が短く、なんか重ったるい格好の川栄李奈が強烈です。

バーガンディーのカーディガンが目印。(C)2018 「センセイ君主」製作委員会 (C)幸田もも子/集英社

川栄李奈については声優を務めた今夏のポケモン映画「みんなの物語」でも高評価をさせていただきましたが、役に染まるのが本当に上手な女優だと思います。

クラスの男子には見向きもされず、というか気持ち悪がられる中で自分の軸をしっかりと持ち、口は汚くとも顔は綺麗。
すごいバランス感。可愛いのに毒舌、彼氏なしというパターンはよくあるんですが、彼女の場合は彼氏がしっかりいるというところが上手かったなと感じました。

2人が恋愛面では好対照なのも面白い(C)2018 「センセイ君主」製作委員会 (C)幸田もも子/集英社

アオちんの彼氏役には『君の膵臓をたべたい』でも主人公の北村匠海を支えていた矢本悠馬が抜擢されていたのも見逃せません。これは月川監督の明確な愛が為せるキャスティング。
また付け加えると、佐丸がランニングしているシーンでは、キミスイに出ていたあの役者さんがわずかな時間ではあるものの出演します。

キミスイの中でその役者と浜辺美波は同じ時間軸にいなかったので、この2人の共演は感慨深いものが。出てきた時は「えっ、えっ」っていう感じだったので、帰りの電車で思いがせり上がってきましたね。

たくさん笑って元気になろう

ど直球の感動作を投げ込んできた『君の膵臓をたべたい』とはまた違ったアプローチの青春作品でしたが、この『センセイ君主』も綺麗な作品に仕上がっています。
僕の横では高校生の男子が5人のグループで観ていましたが、結構なペースで笑っておりコメディ作品としても優秀であることは確かだと思います。

僕も相当笑わせてもらいましたが、浜辺美波の挙動不審さに笑い、同情し、傍観しているつもりが、いつの間にか頑張れ佐丸!!!になっているというのが感想でしょうか。
正直なところ、中盤までは現実感とファンタジーの境界の引き方や結末の見え方に辟易すらしていました。でも、佐丸の面白さの中にある真っ直ぐなハートと、それを誰も馬鹿にすること無く進んでいく綺麗な環境設定に惹かれていきました。

楽しく撮影が進んだんだろうなと思わされるエンドロールも素敵。
節々に散りばめられた笑いのスパイスや、伏線の回収も丁寧でした。たくさん笑って元気になりましょう。

僕の「たいへんよくできました」は浜辺美波さんに!ぽん!

★★★★☆。