こんにちは。織田です。
今回は2020年7月に公開された映画『私がモテてどうすんだ』をご紹介します。
笑いあり、共感羞恥あり、鮮やかなダンスあり、BL成分ありとカロリー高めでありながら、こちらの予想を覆すテンポの良さが抜群でした。しかもエンドロール後までたっぷりと楽しませてくれる満腹感。
この満腹感は浜辺美波と竹内涼真の『センセイ君主』を観たときに近いものがありました。
あらすじ紹介
第40回講談社漫画賞・少女部門を受賞し、2016年にテレビアニメ化もされた同名人気コミックを実写映画化。アニメキャラやクラスのイケメン男子たちのBLを妄想するのが大好きな女子高生・芹沼花依は、大好きなアニメキャラが死んだショックで1週間寝込んだことで激ヤセし、誰もが振り向く美女に変身する。そんな彼女に、スーパーイケメン男子高生の六見遊馬、五十嵐祐輔、七島希、四ノ宮隼人が熱烈なアプローチを開始。彼らをBL目線で妄想してしまうのをこらえ、真剣に向き合おうとする花依だったが……。
原作は別冊フレンドで掲載されていた、ぢゅん子のコミックス。
TBSテレビでアニメ化もされました。
またMIHOシネマさんの記事では、映画のあらすじや合わせて観たい映画などをご紹介されています。こちらもどうぞご覧ください。
予告編はこちら
『私がモテてどうすんだ』のスタッフ、キャスト
監督 | 平沼紀久 |
原作 | ぢゅん子 |
脚本 | 吉川菜美、福田晶平 渡辺啓、上條大輔 平沼紀久 |
芹沼花依(激ヤセ後) | 山口乃々華 |
芹沼花依(激ヤセ前) | 富田望生 |
六見遊馬 | 吉野北人 |
五十嵐祐輔 | 神尾楓珠 |
七島希 | 伊藤あさひ |
四ノ宮隼人 | 奥野壮 |
あまね(花依の親友) | 上原実矩 |
坂下(演劇部) | 坂口涼太郎 |
土井(演劇部) | ざわちん |
琴葉 (五十嵐の元カノ) |
優希美青 |
花依の兄 | 宮崎秋人 |
花依の母 | 戸田菜穂 |
簡単なキャラクター紹介はフライヤーの裏面が詳しいのでこちらを載せますね。
『ちはやふる』のヒョロくん同様、坂口涼太郎がなんとも小物感の滲み出た熱血演劇部長を演じていたり、リバウンドした花依に「ヒロイン失格」の烙印を押したり、ヒロイン・花依の兄を演じた宮崎秋人が明らかに弱ペダに寄せていたりと、他の青春作品を想起させる演出が目立ちます。
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さすが兄妹💫
趣味は違っても熱量は同じ⁉️
\花依をオタク扱いする兄・拓郎の
趣味は「#弱虫ペダル」🚴♂️
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— 映画『私がモテてどうすんだ』公式 (@eiga_watamote) July 21, 2020
劇場で鑑賞すると、本編終了後に特典映像が流れます。これ見るだけで得した気持ちになれるので是非劇場で見てほしいです…!
以下、感想部分で作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。
映画のネタバレ感想
以下、感想部分で作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。
BL思考への誘い
この作品は導入部分がまず鮮烈です。
ヒロインの花依(山口乃々華/富田望生)に対してアプローチをかけることになる4人のイケメンを、花依(富田)がオタク目線で紹介。
同じクラスの五十嵐祐輔(神尾楓珠)、
こちらも同じクラスの七島希(伊藤あさひ)、
部活の先輩・六見遊馬(吉野北人)、
部活の後輩・四ノ宮隼人(奥野壮)。
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この4人に対して「攻め」か「受け」か、どのようなところがオタク女子に突き刺さるポイントなのか。それをオタク目線から花依が舐め回すように紹介していきます。
イケメンたちの名前が四、五、六、七と数字を冠するものがゆえに、「五七(ゴ・ナナ)」「七五(ナナ・ゴ)」という風にカップリングの攻め受けを説明する時もわかりやすい・・・
カップリングとはなんなのか、「攻め」「受け」とはなんなのか、そもそもBLとは何なのか。
それをよくわからない人たちでも、花依がオタク特有の丁寧な語り口で説明してくれるので大丈夫です。
文字情報を使いながらオタクが好きな対象をプレゼン紹介していく手法は足立梨花主演の『アヤメくんののんびり肉食日誌』にも似ていました。
オタバレは大した問題ではない件
推し(アニメキャラ)の死を受けて寝込み、激ヤセしてしまった花依。
激痩せする前の「こんな私がモテて」な花依(富田望生)と、変身後の花依(山口乃々華)は、基本的に同じ世界線に共存しないはずなのですが、オープニングでは一度退場したはずの花依・富田.verが出てきて、途中から山口.ver花依にスイッチします。
/#私モテ 💘裏トーク🤫
ミュージカルシーン💫
実は〇日で撮影⁉
\W花依ちゃんたちが踊る🕺⭐
華やかな冒頭のミュージカルシーン!なんと1日で撮影😳スゴイ‼
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エンドロール後の特典映像でも、このスイッチには苦労の跡がうかがえましたね…!!
ポップなダンスと主題歌に乗り、まるでミュージカルです。異世界感半端ない。
このオープニング、そしてラストシーンの全員登場の幻想感が、この作品はフィクションであることの確かな証明になっていた気がします。
この後に花依は、イケメンカルテットとデートをすることになります。
親友のあまね(上原実矩)からもオタバレはダメ絶対、と釘を刺され、花依は素の自分を隠して池袋へと向かいます。
(僕はたまたまこの作品を池袋のグランドシネマサンシャインさんで観たんですが、映画館に来る前に通ったアニメイトやサンシャインシティの看板を映画内で観たときは鳥肌が立ちました。偶然って怖いですね)
このあまねというキャラクターの存在もまた絶妙でした。
彼女って、イケメン男子・特にクラスメイトの五十嵐(神尾楓珠)と七島(伊藤あさひ)にとっては単なるモブだったはずなんですよね。
でもそのあまねが花依をよく知る親友であるという立ち位置が、彼らを変えていきます。
自分一人では何かを成し得ないヒロインがオタクの親友の助けを受けて動いていくところは『センセイ君主』にやっぱり似てるなあと思います。あの作品でも浜辺美波演じる佐丸という妄想成分高めの主人公を、川栄李奈演じる「アオちん」がしっかりとサポートしていましたね。
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しかし、あまねの心配もむなしく、花依はアニメイトで推しの抱き枕(限定品)の誘惑に耐えきれずに盛大にオタバレをかましてしまいます。
彼女の部屋に響くGet Wildと、エンドロールを思わせる主要キャストのシティーハンター風のクレジット。
終わった。
終わった、はずでしたが、
実は花依のオタバレ自体はこの映画にとって些細なものに過ぎなかったのです。
まあ別にBL好きの腐女子だってよくね?事実可愛いわけだし!なイケメン4人。(六見先輩はちょっと立ち位置が違いますが)
かと言って、彼らが花依を巡ってバチバチにバトルするわけでもありません。
こちらの予想の斜め上を常に進んでいくストーリー。それは本当に秀逸だったと思います。
花依は主人公ではない?
この映画は六見先輩を演じる吉野北人さんが主演として銘打たれています。
タイトル『こんな私がモテてどうすんだ』の「私」は花依ですし、ストーリーは彼女を中心に回ります。少し意外な感じもします。
ただ、「六見先輩が主演」という点ではなく、「花依が主演ではない」というところに着眼すると合点がいきます。
花依は自分の好きなBL漫画のストーリーを引き合いに出し、王子様の隣には王子様がいるべきであって、ヒロインはモブとなって退場すべきであるという持論を繰り出しました。
つまり、彼女にとっての幸福はイケメン王子様に愛されるお姫様ではなく、イケメンを愛で、愛でられる王子様カップルを傍観することなのです。
エンドロール後の特典映像にもありましたが、五七(五十嵐×七島)のキスシーンでエキストラの皆さんが(嬉しい)悲鳴をあげてらっしゃいました。あれはまさに花依の心境を映し出した鏡とも言えます。
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神尾さん&伊藤さん、お悩み相談の
はずがまさかの…‼️🤔
\本日6/27(土)19時〜CX📺
「芸能人が本気で考えた #ドッキリGP」に #神尾楓珠 さんと#伊藤あさひ さんがペア出演💓これは観なくてどうすんだ⚡️@dokkirigp_cx #ドッキリ#私モテ #私がモテてどうすんだ pic.twitter.com/mygnGSTdFq
— 映画『私がモテてどうすんだ』公式 (@eiga_watamote) June 27, 2020
壁ドンも顎クイもバックハグも、自分がしてもらいたいわけではないんです。彼らを愛でるだけでいいんです。いや、彼らを愛でるのが、いいんです。
(イケメンたちにとっては不本意かもしれませんが)それが彼女の幸せでした。
そしてその幸せを最大限尊重した4人のイケメンたちは本当に凄い。
「こんな私が」の「こんな」は腐女子であることの立ち位置もあるとは思いますが、「私はモブでいいのに」こんな私がモテてどうすんだ、という側面もあると思います。
そこに自分が太っているだとかオタクだとかそういうキャラクターは関係ありません。
彼女は表舞台に自分がいる必要性をそもそも感じていないわけです。
神尾楓珠と優希美青
最後に五十嵐役を演じた神尾楓珠さんと、五十嵐の元カノ・琴葉先輩を演じた優希美青さんについて少し書きたいと思います。
この二人は2019年の映画『うちの執事が言うことには』でも共演を果たしています。
このときは主人公の御曹司・烏丸邸に使える使用人の兄妹という設定でした。
映画『うちの執事が言うことには』の神尾さんは本当に抜群で、主演の二人(永瀬廉&清原翔)に次ぐ存在感を放っていたと思えるほどでした。
また神尾さんの妹役として登場した優希さんも、落ち着いた作品の中に賑やかさをプラスしてくれた存在でした。
そんな二人が今度は元恋人役として共演するわけです。おじさんはもう感涙です。
神尾さんの五十嵐は前半部分、4人の中で(花依に対して)少し抜けた状況にいたのかなと思っていましたが、後半以降だんだんとその優位性がなくなっていった印象を受けました。
出る・引くを上手く計算した、存在感のフェードアウトみたいなところの使い方が凄く上手な俳優さんですよね。
五十嵐のその優位性を奪っていった存在の一つが、優希さんの琴葉でした。
『ちはやふる』の菫ちゃん同様、明らかな恋敵役。
報われないとわかっていながら鑑賞するのは美青ちゃん推しとしては少々きついものがあった中で、最後にささやかな抵抗を見せたことで少し救われました。
『うち執』であれだけ息の合った兄妹トークを見せていた二人の、悲しいすれ違い。
これを観れたのもまた、私得でした。私得ばっかりだなこの映画。
彼女のコナン愛を普段からSNSで拝見しているオタクとしては、シオンで部屋を埋め尽くし、シオンへの愛をほとばしらせる花依のような役どころを演じる優希美青さんも観てみたいですね。
こんなオタク映画もおすすめ
『私がモテてどうすんだ』が響いた方へ。
こんな作品もあります。よろしければご覧になってみてください。
- 佐丸(浜辺美波)が妄想を爆発させる!
- 彼氏持ち&BL漫画家の親友・アオちん(川栄李奈)
- 竹内涼真が演じる完全無欠のセンセイ
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動画配信サービスで会員見放題の作品もありますので、もし興味があればどうぞ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。