映画『アヤメくんののんびり肉食日誌』ネタバレ感想〜良質な理系ラブコメ〜

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こんにちは。織田(@eigakatsudou)です。

2017年の映画『アヤメくんののんびり肉食日誌』をAmazon Prime Videoで鑑賞しました。
芝崎弘記監督の下、黒羽麻璃央、足立梨花のダブル主演。草食系に見えて中身は肉食系の「ロールキャベツ男子」の恋愛を描いた町麻衣のコミックスが原作になっています。

B級に見せかけて、結構実践的な良質ラブコメです!
単なるオタク女子と肉食系後輩のラブストーリーではありません。

高校や大学などで「先輩・後輩」のコミュニティに属していた方は結構親近感が沸くのではないでしょうか?



『アヤメくんののんびり肉食日誌』のスタッフ、キャスト

監督:芝崎弘記
原作:町麻衣
脚本:阿相クミコ
菖蒲瞬:黒羽麻璃央
椿雛菊:足立梨花
鈴木仁英:佐伯大地
エリザベス:瑛茉ジャスミン
高山春樹:尾関陸
里中弘之:永田崇人
竹中望:唯月ふうか
奈良アキラ:GENKING
斉藤秀則:酒井敏也
菖蒲綾夫:鶴見辰吾

あらすじ紹介

大学の生物学科研究室で、動物の骨格研究に熱中する理系女子大生・椿雛菊(足立梨花)は、恐竜オタクな帰国子女の後輩・菖蒲瞬(黒羽麻璃央)に口説かれる。大人しそうな見た目とは裏腹に、一目ぼれした椿に猛烈なアプローチを仕掛ける菖蒲に困惑する椿だったが、その純粋さにいつしか惹(ひ)かれていく。そんなとき、菖蒲の幼なじみだというエリザベス、椿のことが好きな先輩・仁英が現われ……。

出典:シネマトゥデイ

恋よりも動物の骨が好き!という理系女子の椿(足立梨花)が、研究室に新しくやってきた後輩・菖蒲(黒羽麻璃央)に猛アタックを食らい、彼のことを意識していく…というお話です。

この映画は、足立梨花演じる椿が決してウブ過ぎないところが気に入りました。

純粋無垢なオタク系の先輩女子が肉食系のイケメン後輩に言い寄られて恋に落ちていくという構図はよく見るパターンですが、本作の椿は恋愛経験が皆無というわけではなさそうですし、服装や化粧にも気を遣っており学内の女子ヒエラルキーとしては高い部類に入る存在だと思います。
一方でアヤメ(黒羽麻璃央)も留学先でできたガールフレンドを有しており、男子ヒエラルキーの上位に入っていておかしくない存在です。

お相手の男性が後輩か同期かの違いはあるものの、シチュエーションが似ている『勝手にふるえてろ』のヨシカ(松岡茉優)よりは経験値が豊富な女性ですね。

以下、感想部分で作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。



映画のネタバレ感想

以下、作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。

足立梨花の魅力を余すことなく!

主人公の椿を演じたのは足立梨花
163cmの身長以上に高く見えるスタイルの良さと、すらっと伸びた脚が印象的な女優です。Jリーグが好きな人にとっては2010年から務めたJリーグ特命PR部・女子マネージャーの印象が強いかもしれません。

本作『アヤメくんののんびり肉食日誌』では、足立梨花の椿は膝上のスカートやショートパンツを履いている場面が目立ちます。
これがまた似合っていて本当におしゃれなんですよね。大学の中でいえば間違いなくおしゃれさんにカテゴライズされるファッションだと思います。
脚の長さを生かしたハイウエストのコーディネイトも、採掘のフィールドワークに向かうアウトドアファッションも、衣装さんのセンスの良さがうかがえます。

一方で研究室の同期である高山(尾関陸)里中(永田崇人)はしばしば同じ服をローテーションしており、CHUMSのパーカーだったり、比較的安価なショップで売っていそうなシャツだったり、大学生らしい服をセレクトしているのが本当に上手でした。

望(唯月ふうか)を含めた同期生の間では恋愛シグナルが皆無だったこともお上手。

お互いが信頼しあっている友達という関係で同期を描き、そこから一つ外れた先輩・後輩の異性と恋愛関係に落ちていく。
こちらは大学のサークルを舞台にした作品ですが、温泉サークル内の恋愛模様を描いた『ヘタコイ』という漫画にも通じる部分がある気がします。

後輩男子(アヤメ)にとってよく知らない先輩男子(仁英=佐伯大地)が恋敵になる設定も『ヘタコイ』とよく似ています。
同じコミュニティ以外の人間が唐突に出てくるのも、大学という設定ならではの醍醐味ですね。

丁寧で繊細な演出

本作では冒頭のキャラクター紹介をはじめ、化石研究の用語に至るまで様々な説明がメモ帳のようなアイコンの注釈を使ってなされています。
また登場人物の思っていることや、感情が揺さぶられた際には漫画チックな吹き出しを使って強調されています。

このようなコミカルなギミックはともすればチープなものに作品を落としてしまいそうですが、そうならなかったのはこれらの演出が丁寧かつデザイン性の高いものだったこと。
加えて化石の採掘活動に出かけるシーンなどではフィールドワークを楽しそうに行う学生たちに効果的なフィルターをかけて、フォトジェニックな要素も醸し出しています。

彼らの通う大学は千葉国立大学という国大が舞台。
大学の近くであろう千葉モノレールを中心に、江川海岸、養老渓谷といった千葉県の観光名所のセレクトも芸が細かく、“映える”ポイントを上手に押さえていました。
千葉の美景を効果的に使った作品では2019年に公開された『殺さない彼と死なない彼女』が印象的でしたが、本作も負けていません。

アヤメくんの父親(鶴見辰吾)の日本語を微妙に訛らせたり、父子間で英語を使ったりすることでロンドン暮らしの長さを表現する手法も芸が細かかったです。
気付くかわからないような(自己満足ではない)丁寧な小ネタが大量に散りばめられているので、楽しみながら探してみましょう!

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映画『殺さない彼と死なない彼女』ネタバレ感想〜未来の話をしましょう〜

2019年11月30日

B級なのは見かけだけ

意図したものかはわかりませんが役者さんのセリフは結構棒読みだったりします。
バツンと切る斬新な場面転換も多く、いわゆる余韻を楽しむタイプの映画ではないと思います。

アヤメくんと椿のストーリーもこちらの予想をひっくり返すような大きな展開はありません。予定調和のラブコメです。

それでありながらもこの映画を評価したい理由は丁寧なキャラ付けを施し、ラブコメとしての楽しさをこちらにもたらしてくれた演出面が大きいと思います。繰り出される小ネタの数々を押し付けがましいとか、単調な演技を安っぽいと感じない人はこの作品を楽しめるのではないでしょうか。

劇中歌、主題歌のeddaもこの映画のポップな雰囲気にハマっていて非常に良いです。エンディングで明かされる秘蔵シーンも必見。

個人的には登場人物に感情移入するタイプの映画ではなく、愛すべき登場人物たちを観察して楽しむ作品だと思います。
大学のゼミ、研究室、サークルなどで(自分が当事者ではなくても)恋愛物語を見たことがある人にとっては“コレあるある”が感じられることでしょう。

足立梨花が好きな人にはおすすめです!

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