06年の劇場版コナン『探偵たちの鎮魂歌』を鑑賞。山本泰一郎監督。
10周年記念作品で、全レギュラー陣が勢ぞろいしたオールスター版として制作された。
『探偵たちの鎮魂歌』のスタッフ、キャスト
監督:山本泰一郎
原作:青山剛昌
脚本:柏原寛司
江戸川コナン:高山みなみ
毛利蘭:山崎和佳奈
毛利小五郎:神谷明
工藤新一:山口勝平
服部平次:堀川りょう
灰原哀:林原めぐみ
吉田歩美:岩居由希子
小嶋元太:高木渉
円谷光彦:折笠愛
あらすじ紹介
青山剛昌原作の人気TVシリーズの劇場版で、今作は節目となる第10作目。それを記念して、オールスター・キャストが豪華に集結、シリーズ最大の難事件に挑む。謎の依頼主から招待を受け、横浜へとやって来た小五郎とコナンたち一行。しかし男の罠にはまり、蘭や少年探偵団たちを人質に取られてしまう。タイムリミットは12時間。それまでに依頼の事件を解決できなければ、蘭たちに取り付けられた爆弾が爆発するというのだった…。
観たのは初めてではなかったものの、そこまで内容を覚えていなかったので新鮮な気持ちで鑑賞した。
オールスター版に相応しく魅力的な作品なので好きな点をいくつかご紹介。
以下、感想部分で作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。
悪役がどうしようもなく悪役
本作の犯人グループはまごう事ない悪役。全く同情できない。
最後にコナンが犯人に向かって「貴方は最低」と言い放つが、確かにどうしようもなく最低な奴らだった。
お金を使って殺し屋を雇い、大規模な仕掛けでコナンたちに挑戦する割には動機があまりにも弱い。
行き過ぎた自己正当化だったとしてもおかしい。
さらに今回はコナンおきまりの「犯人」が出てこない。あれれぇ?おかしいぞぉ?
トリックも人間関係のもつれもそこまでないのでコナン、おっちゃん、平次、そしてキッドが駆け回る様は推理ではなくもはや捜査。
しかも別に探偵なんて必要なかったやん、警察が全部つかんどったやんって話。
この振り切れた感じが好きです。
ちなみに平次のウエストバッグが絶妙にダサくて吹いた。脚長いけどダサい…!
かっこいい毛利小五郎
コナンたちとともに謎を解くおっちゃんはかなり有能モード。
コナンと行動していた序盤でも、ほとんど足を引っ張っていない。
目暮警部に挑発的な言葉を吐いて踵を返していくシーンでは、コナンと平次だけでは決して説得できなかった部分を見事に解決するザ・大人の対応。
演技と本音と家族愛。
毛利小五郎史上ベスト5には確実に入るよね。これ。
全てを察した目暮警部のその後も神対応だった。
英理さんと電話するときのおっちゃんも最高。英理さんの嬉しそうな雰囲気も最高。
「捜査は足で、じゃなかった?元刑事さん」
旦那に頼られて上機嫌な英理さん。蘭ちゃん見たら喜ぶだろうなぁ……
そもそも横浜までライトバンを借りてガキどもを連れて行ってくれるんだから…いつも阿笠博士がしている役目を引き受けている優しき名探偵。
最後は大阪の色黒ボウズが手荒な真似をしてすまんな!最高にかっこよかったぜおっちゃん!
園子の活躍、蘭さんのダジャレ
オールスター勢ぞろいとあって周りも結構凄い。
蘭姉ちゃんは珍しくコナンくんとほとんど絡まずに子供たちの面倒を見ている一方で、さりげなく蘭ちゃんと新一の関係をイジる和葉。
博士の代わりにクイズを出して、大谷育江さんではなく折笠愛さんバージョンの光彦に「蘭さんだけは違うと思ってました…」とガッカリされる蘭姉ちゃん可愛い。
阿笠博士は阿笠博士で目暮警部と二人で男気を見せてるし、園子はひったくり犯捕獲に大貢献。
キッド様と間接接触できて良かったね!おめでとう!
相変わらずみんなに迷惑をかける元太と、いつもよりわがまま2割増しの歩美ちゃんに高度な計算技術を披露する光彦。
高木刑事と佐藤刑事の出し方も最高だと思う。
カレーライスはもう少し味わって食べようね?
哀ちゃんの名ゼリフ
恐らく制作側も狙っているんでしょうが、この作品で最強なのはきっと哀ちゃん。
「おもしろいじゃない?」
「じゃあ、預けたわよ?私たちの命。名探偵さん」
ミラクルランドの中にいる人間の中で唯一状況を知り、懸命に蘭たちを守る哀ちゃん。
元太のバカは何度助けてもらっていたことか……
足を怪我したコナンが蘭姉ちゃんにおぶわれ、平次が茶化した後に哀ちゃんが思わずこぼす「かわいっ」もかなり破壊力があった。
医務室でのあの名台詞はもちろん、哀ちゃんの一挙手一投足を観察するだけでこの映画を観る価値があるのでは?と思うレベル。感謝しかない。
コナンの本質である(?)ラブコメを挟みながら、近年より遥かに現実的なアクションシーンの数々が描かれる本作。
いかにも劇場版って感じで好き。