映画『とらばいゆ』感想〜カップルの仕事の話〜

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2001年の映画『とらばいゆ』を鑑賞。
大谷健太郎監督、出演は瀬戸朝香、市川実日子。

あらすじ紹介

麻美と里奈は女流棋士の姉妹。同じ名人戦のBリーグに属している。だが、スランプ続きの麻美は自分の負けをエリート・サラリーマンの夫・一哉のせいにして口論が絶えず、一方の里奈も同棲中の売れないミュージシャン・弘樹の焼き餅にうんざりしていた。ふたりは、互いのパートナーが羨ましくて仕方がない。そんな中、麻美がこのまま負け続けCリーグに落ちるようなことがあれば一哉と離婚すると言い出し騒動に。しかもそれは里奈たちにも飛び火、4人の関係はこじれにこじれてしまう。

出典:映画.com

スタッフ、キャスト

監督・脚本 大谷健太郎
本城麻美 瀬戸朝香
本城里奈 市川実日子
宮前一哉 塚本晋也
矢島弘樹 村上淳



メンヘラ棋士の癇癪

女流棋士の姉妹とその旦那、また彼氏の四人を中心に描いた作品。

とらばいゆ(travail)とはフランス語で仕事という意味。とらばーゆという名前で求人情報誌もありますね。

瀬戸朝香と市川実日子が女流棋士の麻美、里奈という姉妹を演じていて、麻美は一哉(塚本晋也)と既に結婚、里奈は弘樹(村上淳)と同棲している。

麻美と一哉の夫婦としての家事の振り分けや、お互い働く相手への気遣い。
また里奈の浮気疑惑に伴う弘樹との関係の亀裂といった部分が喧嘩として露呈する。

基本的に大体この姉妹がそれぞれの男にまくしたてるという始末。一回スイッチが入ると止められない女の怒りの炎である。女の意地っ張りと、それに油を注いでしまう男の哀れさ。

とはいえ、激怒する女二人にも非はあると思うし、当時なかった言葉で言えばメンヘラ、特に麻美はかまってちゃんの気が強い。

一哉が自分のものを出しっぱなしにして片付けていないくせに亭主ヅラしているのももちろん悪いんだけども。

「仕事」の定義

カップルや夫婦において仕事の話をするのって実は結構難しかったりする。

職場での相手のことは自分は知らないし共感もなかなかできない。だから聞いていても面白くなかったり。

仕事で辛いことがありました。不満をぶちまけたい。
じゃあ私はそれを聞きます。うん、大変だね、また次があるよ。頑張ろうね。

違う!全然わかってない!わかってないくせに知ったような口をきかないで!

労働という訳の他にも、この作品の仕事とは意味があると思う。
それは夫婦とか恋人同士の間でのタスク。役割に近いのかな。
麻美と一哉はそこが破綻しかけていた。里奈と弘樹は料理という面で齟齬があった。

怒り方が尋常じゃないために、おおごとになる展開だけども我々傍観者から見たら些細な原因。

男女二人ずつにフォーカスしているのでそれぞれのカップリングを隣の芝は青く見えるのノリで描いているのも良い。彼氏を交換しちゃおうだなんてまさに姉妹関係だからこそ出てくる発想である。

あまりのめり込む類の作品でもなければ、共感を繰り返す対象でもなかったが、「仕事」という単語の多義的な意味を見つけられる一本。

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