映画『紙の月』〜梨花と旦那はどちらが可哀想?〜

14年公開の映画『紙の月』を鑑賞しました。監督は『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八。主演は宮沢りえ。

角田光代の小説が原作になっている。

 

彼のために、横領する

 

予告編を目にする機会が多かっただけに、鑑賞後は予想を結構裏切られた。

宮沢りえ演じる梨花の所業は、もう少し社会的な罪として描かれるものかと思いきや、極めて独善的な動機によるものだった。

 

梨花の行動に共感できる部分を見つけるのはなかなか難しい。
魔が差したというには計画的かつ利己的で、その動機を梨花が貢ぎ続ける光太(池松壮亮)に背負わせるのもあまりに酷だと思う。彼はまだ大学生である。

▲池松壮亮の光太と宮沢りえ演じる梨花。梨花の横領の動機が学生くんというのは何とも酷… (C)2014「紙の月」製作委員会

2人の関係の深め方は唐突に感じた。

この作品に限っては、池松壮亮は池松壮亮らしくないというのが率直な印象。

 

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正義感に蝕まれ

梨花が犯罪に手を染めるきっかけとして描かれているのは光太への恋心でも日々の鬱屈でもなく、施しである。

 

困っている人を助けるためにお金を与え、そのお金を捻出するためにルールを外れた手段を使う。

 

この正義感の強さは歪んでいるとまでは僕は思わなかったけど、エスカレートしていった先は麻痺だけではなくて、見栄だった。

おそらく自分に対してよりも光太に対しての見栄の部分。

 

▲梨花の横領がエスカレートしていくのは麻痺ではなく見栄だと思う。 (C)2014「紙の月」製作委員会

お金が欲しいのではなく、光太に施しを与える行為、また光太と贅沢な時間を過ごせるというだけの財力が梨花は欲しかった。

 

光太との恋の落ち方が描写不足だということは上で書いたけど、このあたりは上手に作っていたと思う。

クルマの話題から、2人が高級車でドライブしているシーンなどはとても良かった。

 

金銭感覚で言えば梨花の旦那(田辺誠一)との時計のエピソードも秀逸。
彼のような夫を持って梨花が可哀想と思えるか、旦那が可哀想と思えるかで作品の見方は少し変わってきそう。

▲田辺誠一が演じる旦那に肩入れできるかで見方が変わってきそうだ。 (C)2014「紙の月」製作委員会

 

大島優子は残念でした

池松が池松らしからぬ存在感と書いたのでもう1人。

 

相川という梨花の同僚は、梨花の心の代弁者として機能していたが、大島優子の演技が軽すぎた。

 

闇を持つキャラクターならそれ相応の演じ方があると思うし、今回の相川は少なくともあんな軽くぺらぺらと話すべきではない。
背景の時代を鑑みても。

▲大島優子(右)の浅薄さは浮いていた。それが撮る側の指示なのか彼女のやり方なのかは不明。 (C)2014「紙の月」製作委員会

予想よりも軽い作品だったが、根っこのテーマに好感。

ニセモノという言葉が終盤に出てきますが、ハッと息を飲むシーンでした。

★★★★☆。

 

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