映画『風に立つライオン』感想〜ケニアロケが感動的〜

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15年の映画『風に立つライオン』を鑑賞しました。
さだまさしの同名曲、また曲をベースにした小説が原作。主演・大沢たかお、三池崇史監督。

あらすじ紹介

アフリカ医療に生涯を捧げたシュバイツァーの自伝に感銘を受け医師を志した航一郎は、大学病院からケニアの研究施設に派遣される。日本に恋人を残しながらも、ケニアの地で充実した日々を送っていた航一郎は、現地の赤十字病院から1カ月の派遣要請を受ける。そこで彼が目にしたのは、重傷を負って次々と運ばれてくる少年が、みな麻薬を注射され戦場に立たされた少年兵であるという事実だった。そんな中、病院に少年兵・ンドゥングが担ぎ込まれた。目の前で両親を惨殺され、麻薬でかき消されたという深刻な心の傷を抱えたンドゥングに、航一郎は真正面から向かっていくが……。

出典:映画.com

スタッフ、キャスト

監督 三池崇史
原作 さだまさし
脚本 斉藤ひろし
島田航一郎 大沢たかお
草野和歌子 石原さとみ
秋島貴子 真木よう子
青木克彦 萩原聖人
村上博行 石橋蓮司



彼を語り、彼が語り、
また彼を語る

Wikipediaには三池監督らしからぬ、バイオレンスを排除した作品と記載されている。

確かにそういえばそうなのだが、ジャンルを選ばないのが三池崇史という監督なのでさほど驚くこともない。

ストーリーとしては長崎大学病院の医師である航一郎(大沢たかお)がケニアに赴任し、内戦で傷ついた子供たちを心身ともにケアして、アフリカの地に笑顔を咲かせるというもの。

ケニアで撮られた時代は80年台後半の出来事なので、現代(東日本大震災が時間軸として設定されている)で周りの人たちが彼との思い出や印象を振り返って、航一郎という人間の説明を補強する形をとっている。

原作を読んでいないので少し図りかねるが、この現代の思い出話と航一郎のケニア時代と航一郎の在りし日という複数の時間軸が行ったり来たりしてわかりにくい。

さらに必然性が見えてこないエピソードも多く、真木よう子や藤谷文子のものは果たしてそんなに時間を割く必要があったのかと思わされた。

ただし、医大生時代の真木よう子はとても可愛かったことを記しておく。

ケニアロケの意味

島田航一郎は実在する人物で、CATV(日本映画専門チャンネル)の解説によるとまだご存命とのこと。

作品のテーマとなっている「頑張れ」の他にも「ダイジョーブ」「ヤベー」「スゲー」といったキーワードを用いながら、大沢たかおが前向きすぎるほどの爽やかさで演じている。

現地・ケニアの子供たちを都合の良いように描きすぎかなというのは思ったが、人にたくさん喋らせて、人を映していくスタンスは良かった。

ケニアでロケを敢行しながらも安易に風景や環境でアフリカ感を押し出そうとしない。

だからドキュメンタリーのタッチが入った作品になったし、最初と最後のシーンに意味がある。

真木よう子が演じる貴子は航一郎の元恋人だったが、恋愛エピソードで安易に尺を使わなかったのも好印象。

後半から急にばたついてしまったので、孤児院設立後の石原さとみや子供たち、院長をもう少し補強しても良かったと思うかな。

「頑張れ、は人に言う言葉じゃない」は響いた。他にも幾つかいいセリフがあった。セリフを通じて元気をもらえる作品だと思う。