映画『ロック わんこの島』

昨日、映画『ロック

わんこの島』を鑑賞。2011年、中江功監督、主演は佐藤隆太。

この作品は公開当時、弟と母が一緒に観にいったらしく、犬好きの彼らはいたく感動したと言っていたので記憶に残っていた。
三宅島で民宿を営んでいた家族が、火山の噴火により島から避難。愛犬のロックとも離れ離れになり、離れていても思いはつながるか?という実話を基にした物語である。
犬種の違いや、疎開後の犬の里親など、実話とは色々と相違はあるようだが、そこは置いておこう。
■残念だった、やり過ぎ感
ナレーションは主人公といっても差し支えないロックの飼い主・芯くん(小学二年生)。土師野隆之介くんという子役が演じているが、このナレーションが、その無垢さがゆえに涙腺を刺激するものであり、同時にどこか我々視聴者に冷めた視点を与えるきっかけにもなっている。
人間が何人か噴火とは関係ない所で死んでしまったり、ロックとの節目のシーンに土師野くんの叫びを多用したり、佐藤隆太がマジな表情で芯くんを宥めたりと、製作サイドの「泣かせよう」という意識がかなり顕在化していた。
もちろんそれぞれのエピソードに、感動はするんだけど、少し極端だったかなと。
これがマイナスポイントその1。
■被災者=可哀想?
次に、離れていても繋がってるんだ、とのキャッチコピーに基づく、精神的、社会的な繋がりについて。
2011年に公開されたことから、幾分か東日本大震災に対して視聴者がインスパイアされる作りは狙っていただろう。
ロックと家族(野山家)の繋がりに関してはケチのつけようもないが、野山家と周囲の人々の繋がりとは、どうだったのか、となるといささか疑問符が付く。
三宅島から避難してきた人たちを対象に復興バザーをしている描写があり、そこで「三宅島にロックらしき犬が生存していたらしい」との噂が飛び交い、佐藤隆太の周りで島民出身者が大騒ぎをするシーンがある。
島民にとってロックという犬が認知されているということだろうが、それまでロックと芯くんの関わりこそあれどロックと島民の関係が描かれていないので唐突だった。
また、芯くんの母・麻生久美子に同僚の女性がひたすら「(避難してきて大変で)可哀想ねぇ」と言うところや、一時的にロックを保護していた獣医の助手が、「噴火が起きてくれたおかげ(で野山さんと出会えた。まともに獣医に向き合うきっかけをもらえた)」などとのたまうシーンがある。
何のためにこのような無神経な台詞を入れたのか。
とりわけ獣医の助手(中林大樹)はある種キーパーソンのような映され方をされていたが、最後まで空気が読めないままだった。
島民を傷つける同情しかできない他所の人間を描写したかったのだろうか。
意図が不明だった。
実際に宮城の被災地に行ってわかったことだけど、可哀想、とか、大変ですね、なんて言葉は論外である。
あとは、東京で里親から犬を引き取るシーンで、里親に四年間お世話ありがとうございました、みたいなのはないのかなと。彼らにしてみたら約束とはいえ悲しいでしょう。あまりに酷い。
これがマイナスポイントその2。
■キャラクターは魅力的だった
悪いところを先に2つ挙げましたが、良いところはそれよりも多くありました。
地震が頻発する三宅島で、麻生久美子が震度を言い当てられるようになったというシーン。
何を呑気なと言われるかもだけど、揺れに敏感になると案外震度1でもわかるようになります。これは体験的にわかる視聴者も多いのでは。
上でも述べたマジ顔の佐藤隆太も新たな発見。顔をくしゃっとさせて笑うのがお決まりになっている中で、最後まで笑わずに真面目なフレーズをビシッという馬鹿正直、良いと思います。
土師野くん演じる芯くんも物分かりがとても良くて感動した。これは見る人によるだろうけど、僕は芦田愛菜しかり、出来の良い子に感情移入しやすいので、このあたりは製作サイドの狙い通りか。
その芯くんの帰り道で通せんぼをする図体のでかい少年。いかにもな悪ガキの風貌なのですが、この少年に秘められたエピソードは作品随一の琴線に触れたシーン。蛇足ではなかったエピソードだった。
そして、麻生久美子と倍賞美津子(佐藤隆太の母)のキャラクター。ずかずかと気持ちの良い直球で、姑と嫁という関係においても新たな一面を見せてもらった気がする。麻生久美子の気丈な様は本当に見てて気持ち良かった。これぞ母ちゃん。
かなり長くなりましたが、突っ込みどころを除けば良作だったと思います。感動という点では素材がとても刺激的なのでもう少し引き算していたらどうなったのかなと。
評価は★★★★☆。
おやすみなさい


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