映画『サッドティー』〜色恋の傑作〜

渋谷のユーロスペースに、映画『サッドティー』を見に行きました。

今泉力哉監督。主演に岡部成司。

「好きってどういうこと?」を観る者に問いつつ、なおかつキャラクターがそれぞれの「好き」を演じていくものである。

ちなみに20:50上映の本作品の前には『恋の渦』が上映されていた。

こちらは同じLOVEでも下心とか建前とかのオンパレード。前にもレビューしたので触れませんが、恋の渦観てから連続してサッドティーを観たら、これはラブソングが一曲書けるくらいの多様なLOVEを蓄えられるんじゃなかろうかと思います。

『恋の渦』のナオキくんはラブソングじゃなくて卒論を書こうとしてたみたいだけどね。浮気論で。

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キスシーンに頼らずスキを描く

さて、『サッドティー』。

章だてが12個(だったかな?)に渡っているんだけど登場人物は重なっているので独立した章だてではない。

これから観る人のために簡単な最初の相関図を書いておくと、

とあるカフェでバイトする女の子(棚子・青柳文子)と店長(ボンさん・富士たくや)。そのカフェで脚本を書く男(柏木・岡部成司)は二股をかけており、その相手である緑(國武綾)と夕子(永井ちひろ)の周辺コミュニティを巻き込んだ総勢10人余りのいわゆる【恋の渦】である。

青柳文子が演じる棚子(C)2013 ENBUゼミナール

公式サイトでも紹介されているとおり、恋愛事情を第三者的視点で傍観→自分自身に投影という手法は『恋の渦』やテラスハウス、古くはあいのりによく似ている。

映画で脚本、セリフがしっかりと練られている分、エンターテイメントとしての完成度も高い。

キャラクターの個性を生かしてのやりとりでは何度も会場が笑いに包まれた。

二股男を演じるのは岡部成司(C)2013 ENBUゼミナール

中盤からとある男性のキャラクターが登場してくるが、彼の屈託のない表情と言葉はとにかく必見である。本当に笑える。ちなみにJリーグ好きの視点からみるとエスパルスの石毛に顔がよく似ている俳優さんである。

二股男は前述したが、一目惚れゾッコン男なるものも登場する。一途と言えば聞こえがいいが、実はこの一目惚れもとっても自分勝手な側面を秘めていた。

好きの概念を再考しよう

「好きってどういうこと?」となるとどちらが正しくてどちらがまちがっているなんてよくわからない。

それは二股をかけられていることを知りながら付き合っている女もそうだし、恋人や配偶者がありながら新たなワンチャンスに胸を躍らせる人間もそうである。

好きっていうのはどういうときに感じるのか、一緒にいるときなのか、離れているときなのか、喧嘩をするときなのか、別れ話を持ちかけられたときなのか。

人によってそれぞれ違う。

主演の岡部さんと夕子役の永井さんは赤の他人に思えないほど親近感が湧いた。僕が26年生きてきてどこかで話したことなかったっけ?ってくらいに、既視感にとらわれる外見とキャラクターだった。

國武綾の目力は健在(C)2013 ENBUゼミナール

國武さんは『恋の渦』でも見せていた顎を少し引いて相手の目を見つめる目ヂカラトークが健在。今作でも可愛らしいパジャマ姿が拝める。
また、夕子の同僚・夏を演じる内田慈さんはドラマ・リバースエッジの第三話で素晴らしいデリヘル嬢を演じて泣かせてもらったばかり。(ちなみに第七話には國武さんが出ている)

口角の上げ方で人はこんなにも快活で幸せそうな表情ができるのだなとびっくりした。

内田慈は眼帯女として登場(C)2013 ENBUゼミナール

あとは棚子役の青柳文子さん。昔の岩佐真悠子に桐谷美玲を足したみたいな子だなと思ってたら、後で調べたらタメでした。若い。可愛い。

一番傍観的な視点で作品に対峙している役だけど、ラストシーンに彼女は何を思うのか。

他の役者さんもキーパーソンなんだけど、実際に映画館で観た方が面白いです。

それにしてもベッドでのラブシーンはおろか、キスシーンも使わずにクールに、それでいて体温の感じられる恋愛風景を描いていることには驚き。

セリフが詰まったり、あーとかえーとか挟んだり極めて自然な会話スタイルも良かった。

また観に行きたい。今度は誰かと一緒に。

ただし、彼女は除く。

満点!★★★★★!

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