映画『海炭市叙景』〜地方都市のリアル〜

基本的に映画というものは、設定がある程度わかりやすくあってほしいというのが僕の思いだった。

人物の相関図が脳内でつながるからこそ視聴者は関連づけた人間ドラマを期待するし、また人間関係における緻密なプロットを楽しむことができる。

『サッドティー』とか『恋の渦』とかはそういう人間関係のアヤを上手く用いて作られた作品だった。とっても狭い人間関係のコミュニティを舞台に。

今回観た『海炭市叙景』は熊切和嘉監督がメガホンを取り、函館をモデルにした架空の都市・海炭市における市民の市井を描いたものである。

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他人と繋がりなんてないのが普通

予備知識を全く持たず観たのも手伝って、登場人物の関係をつかむのにひどく苦労した。

加瀬亮が出ると聞いていたので第一章の谷村美月と一緒にいる男(兄=竹原ピストル)が加瀬亮だと思い込み、別章で加瀬が出てきてからありゃ?となる体たらくであった。

何じゃ、関係ないんかいって感じで。

しかし、である。

市井を描くという手前、何十万といる地方都市から抽出した人間がともに関わりを持っていることなんてありえない。

人口二百人とかの集落ならまだしも。

登場人物が必然的に絡み合っていく作品に見慣れていた僕にとっては、当然のことであるのだけれど、街を描くとはこういうことなんだなと再認識させられた。

何より凄かったのが加瀬亮の奥さんを演じた方と息子を演じた方、それに開発中の街中で立ち退きに応じないおばあさんを演じた方が素人という事実。これはびっくりした。

三人とも凄い演技力だった。

加瀬亮が演じる青年も単発の出演(C)2010佐藤泰志/「海炭市叙景」製作委員会

ストーリー的に起伏はないんだけど、それが逆に地方都市の鬱屈を表しているというか。

曇り空が多かったのも印象に残っている。

評価は★★★★★。

素人さんの頑張り、映画化にこぎつけた函館の皆さんのガッツに感服です。

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