映画『捨てがたき人々』〜大森南朋の暴力性に耐えられますか?〜

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『私の男』と二本立てで観たのは14年の『捨てがたき人々』。

撮影は12年、榊英雄監督、主演は大森南朋。長崎の五島列島を舞台にした作品である。原作はジョージ秋山。脚本は彼の実子である秋山命とのこと。



身体で示す愛

『私の男』が血の繋がった愛という血脈の話であるならば、『捨てがたき人々』で描かれる愛は、体の結びつきを第一義としたものである。その行為自体が合意のものであれ強姦であれ、商売であれ。

R18指定の本作は作品の性格が実に振り切れており、18歳以上でも駄目な人は駄目だろう。

大森南朋が演じる主人公の勇介は、見方によっては、というか普通に見れば女性に襲いかかる単なる異常者である。

そんな彼が主人公たりえるのは周囲の女性の貞操観念ではないかと思う。

五島列島の小さな町、お弁当屋にのり弁を買いに行ったその瞬間に既に他所者と判別されるほどの小さな町である。

娯楽はパチンコと競艇くらいと説明されていたが、もうそうなると本当の娯楽は単純な風俗しかない。お店とかじゃなくて。

勇介は本当に民度の低いキャラクターだったが、この環境に置かれた女性だからこそ、彼を受け入れることができたのではと考える。

五島列島を舞台にして良かったと思うのはこの設定くらい。あとは作り手側の撮りたい風景があったのだろうが、小さな埠頭(あまちゃんのオープニングをイメージしてもらえればいい)のシーンにこだわりを感じるくらいだった。

エンドロールを見るとわかるが、スタッフは恐らく狭いサークルの中に集まっている。

音楽は榊監督の妻。協力一覧で出ていた役者も同姓が目立ったので家族ぐるみで出演とかもあったのかな。

いろいろと製作にあたって障壁があったのは想像できるし、だからこそ振り切れたものを作り、それが映画コンテストに出品されるようになった。野心的なアプローチは評価に値する。

三輪ひとみって、あの?

もたついた身体つきを惜しげもなく見せつける大森南朋。ファンはたまらないだろう。

だが、それ以上にびっくりしたのが顔に痣のある京子を演じた三輪ひとみであった。

大森南朋に襲われる彼女はせいぜい僕より少し年下の20代前半かと思いきや。

36歳?ってかハリケンジャーの御前様の人?顔変わってなさすぎでしょう!

ハリケンジャーが02年だから撮影年の10年前。いやいやいやいや。…変わってないですね。

実質の主役は彼女と言って良いと思う。

男女の捨てられない何かを刺激的に描いた作品。大森南朋の目を使って徹底的に女性をなめ回すように映していくので上でも言ったとおり嫌いな人は嫌いだと思う。

僕はというと、どうもいまいち引き込まれず。主人公の勇介に魅力を感じるかどうかがこの作品を評価するに当たってのバロメーターかも。