映画『奇跡のリンゴ』〜家族の繋がりが泣ける〜

13年公開の『奇跡のリンゴ』を先日鑑賞。青森のリンゴ農家の実話がモデル。

出演は阿部サダヲ、菅野美穂。監督は中村義洋。

予告編を目にする機会が多かったが、どうもお涙頂戴の作り物感が透けて見えて、劇場には足を運ばなかった。
家で再生ボタンを押しても、しばらくは懐疑的な目で観ていた。
菅野美穂の津軽弁ナレーションはめちゃくちゃだし、阿部サダヲもいつものマルモの調子だし……

ううむ、やはり外れか…と思いきや…である。

スポンサーリンク



婿を迎える山崎努

菅野美穂の父親役を演じた山崎努で流れがぐっと変わった。
婿入りした阿部サダヲ演じるアキノリが、祝いの場で「……お義父さん」と呼ぶ。
山崎は「親父でいい」と一言。

それ以降もアキノリの無茶苦茶な農法に対して静かに、温かく見守っていた。
今までどうも偏屈なイメージが強かったが、そんな印象もギャップの大きさに味方したかもしれない。

IMG_3757

▲山崎努の演技は必見。この映画を引き締めた唯一無二の存在。 (C)2013「奇跡のリンゴ」製作委員会

時間を追うごとに菅野美穂=美栄子とアキノリの拙い津軽弁も気にならなくなった。

美栄子はとてつもなく人間的に大きいキャラクターで、夫の無謀な挑戦を応援して支え続ける健気な妻を好演した、というのが菅野美穂への一般的な評価であり、ぼくもそう思う。
でも、それだけじゃない。
普通、この種の良妻賢母はどこかでフラストレーションを溜め込み、爆発することがあるのが通例である。
その激突を乗り越えてこそストーリーが成り立つわけだが、美栄子はそういった怒りで物語のヤマを作ろうということがなかった。

あくまでも主役はアキノリと彼の農業であり、不作続きで家族が貧乏でも、美栄子は家庭を支え続けた。
家庭内で喧嘩まがいの諍いを起こさなかったことで物語が引き締まったと思う。

IMG_3755

▲美栄子を演じた菅野美穂。彼女の器の大きさに感動したのは僕だけではないはず。 (C)2013「奇跡のリンゴ」製作委員会

主役級三人の繋がりがとても良くて見る気にさせられた良作。
課題はリンゴ畑の描き方くらいか。
あとは山崎努が本当に素晴らしかっただけに終盤の展開は残念。実話がそうだったならしょうがないけど。

★★★★☆。

リンゴ云々よりも婿入りした男の、家族としてのヒューマンドラマに感動した。

関連記事