映画『愛と誠』〜リメークの虚構感を上手く利用〜

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先日観たのは『愛と誠』(12年、三池崇史監督)。
原作は梶原一騎原作の漫画、映画化も70年代に既にされている。
しかし、いつもながらにそういった予備知識はゼロで鑑賞スタート。

主演は妻夫木聡。



不良がツッコむという構図

愛は平和ではない

愛は戦いである

引用から始まり、アニメーションへ。
なかなか掴みが面白い。

日本が一番活気を持っていた時代という説明がなされ、シーンは70年代の新宿に向かう。

かつて作られたオリジナルがあり、今の時代で何をやろうかという部分は表現できていたと思う。

僕は音楽に詳しくないので『あの素晴しい愛をもう一度』くらいしか知らなかったが、70年代の歌をミュージカル調に出演者が歌う。

早乙女愛(武井咲)、岩清水(斎藤工)、ガム子(安藤サクラ)はかなりキャラが立っており、どうしようもない不良であるはずの誠(妻夫木)が突っ込むという流れ。

恐らくだけど撮影の多くはセットで行われて、その虚構感というかフィクションっぽさが上手にオリジナルとの区別や時代の区分を表現していたと思う。

しかしまぁ誠と愛を中心とした掛け合いは非常に面白かった。

テンポの良さが絶妙で、それでいて押し付けやしつこさがない。
こういうのは得てして作り手側が「これ面白いだろ?」とドヤ顔で披露するものが多く、もちろんその類が好きな層もいるとは思うけど、辟易して醒めてしまう人もまたいるだろう。

その点、この作品ではキャラクターに従って自然に、コミカルな笑いを提供してくれた。武井咲の心ここに在らず的な演技もこの作品においてはハマった。

斎藤工に注目してください!

安藤サクラがあれだけの演技と自虐ネタをできるのはよく知っているので驚かなかったが、斎藤工の岩清水には痺れた。

誠の周りに愛が付きまとうように現れ、その愛に付きまとうのが岩清水。

付きまとうというのはすなわち「愛」であって悪意はないのだが、この岩清水がまた嫌味の一切ない、純粋すぎる咬ませ犬役でたまらない。

愛や誠と同じシーンに映ることがほとんどなのだが、フレームアウトぎりぎりの場所にいるときも是非彼に注目してもらいたい。
画面の端っこでも何かしら反応をしていて実に面白い。

ここまでは三池監督にしては少し意外な印象。

三池監督らしさは妻夫木の喧嘩喧嘩アンド喧嘩シーンに見えるかな。喧嘩が強ければ全て良しという前時代的ヤンキー理論。
作品が前時代の前時代くらいだから全く否定しない。いいと思う。

ストーリーは大して面白くもなかったのかもしれないけど、声あげて笑えるくらいには掛け合いを楽しんだ。突っ込みどころが的確すぎてツボでした。

ちなみに取り巻きのヤンキー女子で可愛い子がいたが名前がわからない。
どこかに写真付きキャスト一覧ないかな。

音楽、掛け合い、セットと面白いポイント盛りだくさん。