映画『ラストレター』ネタバレ感想〜祝・降谷凪くん俳優デビュー〜

(C)2020「ラストレター」製作委員会

こんにちは。織田(@eigakatsudou)です。

21世紀初頭の音楽シーンを牽引したDragon Ashというグループがいます。

俺は東京生まれHIP HOP育ち 悪そうな奴は大体友達
の名フレーズをACO、ZEEBRAとともに世の中に投下した『Grateful Days』は衝撃的であり、vodafoneのCMソングとして使われた『Life goes on』、日韓ワールドカップで脚光を浴びた『Fantasista』などは今の30代なら一度は聴いたことのある代表曲ではないでしょうか。

Dragon Ashのボーカル・降谷建志(kj)は2008年にタレントのMEGUMIと結婚。
二人が交際を始めたきっかけはMEGUMIからのアプローチでした。

Dragon Ashの15枚目のシングルである、2005年にリリースされた『夕凪Union』を歌うkjを見て、MEGUMIは一目惚れ。

交際を経て結婚し、2009年に授かった長男の名前は「凪」
MEGUMIがkjに惚れた原点の一曲から、大切な愛息の名前が取られています。

 
そんなkjとMEGUMIの長男・降谷凪が俳優デビューを果たした作品。
それが、今回ご紹介する映画『ラストレター』です。



『ラストレター』のスタッフ、キャスト

スタッフ、キャスト

監督・原作・脚本:岩井俊二
岸辺野裕里:松たか子
遠野鮎美/遠野美咲(高校生時代):広瀬すず
岸辺野颯香/遠野裕里(高校生時代):森七菜
岸辺野宗二郎:庵野秀明
岸辺野瑛斗:降谷凪
遠野純子:木内みどり
遠野幸吉:鈴木慶一
岸辺野昭子:水越けいこ
波戸場正三:小室等
阿藤陽市:豊川悦司
サカエ:中山美穂
郵便局員:矢部太郎
乙坂鏡史郎(高校生時代):神木隆之介
乙坂鏡史郎:福山雅治

『Love Letter』『花とアリス』などの岩井俊二監督が、地元・宮城を舞台に製作した本作品。
広瀬すず、森七菜を配し、岩井監督が得意とする透明感のある少女像を描き出しています。

タイトル画像

映画『花とアリス』ネタバレ感想〜後年の『殺人事件』と合わせてどうぞ〜

2019年12月29日

あらすじ紹介

夫と子供と暮らす岸辺野裕里(松たか子)は、姉の未咲の葬儀で未咲の娘・鮎美(広瀬すず)と再会する。鮎美は心の整理がついておらず、母が残した手紙を読むことができなかった。裕里は未咲の同窓会で姉の死を伝えようとするが、未咲の同級生たちに未咲本人と勘違いされる。そして裕里は、初恋の相手である小説家の乙坂鏡史郎(福山雅治)と連絡先を交換し、彼に手紙を送る。

出典:シネマトゥデイ

 

描かれているのは勘違いがきっかけとなった奇妙な文通と、手紙のやり取りを通して現実に向き合う少女の成長です。

高校生時代と現代パートの二層構造。
福山雅治が演じた作家・乙坂の高校生時代は、神木隆之介。年齢を重ねても制服姿の神木隆之介は強いですね。

広瀬すずと森七菜が母娘の二役を演じています

恋心の矢印では、高校生Partの裕里(森七菜)から乙坂(神木隆之介)へ、乙坂から未咲(広瀬すず)へとハートの矢印が向かっています。

相関図に関してはこちらのページにより分かりやすいものが掲載されていましたので、ぜひご覧ください。

以下、感想部分で映画の内容やネタバレに触れていきます。未見の方はご注意ください。



映画のネタバレ感想

以下、作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。

なぜ裕里は未咲のふりをし続けたのか

姉・未咲の死を伝えるために訪れたはずだった高校の同窓会で、未咲に間違えられて結局姉のふりをし続けた裕里(松たか子)

この「姉のふりをする妹」が奇妙な手紙のやり取りのきっかけとなったわけですが、彼女がとった行動の真意がわかりませんでした。

姉のふりをした同窓会の終わりに姉の同窓・乙坂(福山雅治)に(未咲と思われて)声を掛けられ、裕里は未咲を演じながら乙坂と連絡を取ることになります。
ところが最初に交換したメッセンジャーが夫(庵野秀明)にバレて、スマホ没収とか大型犬の世話だとか、いわゆる「罰」を旦那から食らうことに。

何のために姉の同窓会にわざわざ出向いたのか。そこで、なぜ裕里が(同窓生でもない)男と仲良くなって帰ってきたのか。
夫が怒るのも当然ではないでしょうか。

裕里は、乙坂が自分に興味を持っているのをいいことに、自分の日常を一方的に手紙にしたためて送っていきます。

一方的に、というのは岸辺野家に返事が投函されると困るから。
乙坂に対しても、そして旦那に対しても自己中心的な印象を受けました。

乙坂は自分の初恋の相手であったこと、そして自分の姉を乙坂が好きだったこと。
姉は自分と比べて出来が良く、周りからも信頼されるスーパースターであったこと。

20年ほどの時を経て自分が物語の主役になれる瞬間を、裕里はとにかく楽しみたい様子でした。

この裕里というキャラクターが最初から最後まで、僕は好きになれませんでした。好きな人には申し訳ありません。
彼女が勘違いをして姉のふりをしなければ、たぶん何も起きませんでした。

独身女性ならまだしも、家庭を持つ人がやるべきことではなかったと個人的には思います。

そんな自意識の強い裕里を演じ、「この女性苦手だな…」という意識をこちらに植え付けた松たか子と、高校生当時の裕里を演じた森七菜は素晴らしかったです。

俳優・降谷凪の演技は?

冒頭で語った降谷凪くんは、そんな裕里(松たか子)の息子・瑛斗として作品に登場します。
目元はお母さんのMEGUMIによく似ていました。

棒読みのセリフや、演じている感じは皆無。
ひいき目に観たのを差し引いても、凪くんの演技は他の子役のキャストと比べても遜色のないものでした。

ゲームに興じ、部屋でくつろぐ瑛斗。
口をとがらせながら片づけをする瑛斗。
等身大の小学生そのままに、大型犬に引きずられるように散歩をする瑛斗。

決して目を見張るようなシーンがあったわけではありません。
けれど、お友達役の佐々木逢介が結構キャラの強い(ませた口調で裕里にツッコミを入れる)子だっただけに、まだ素直なあどけなさを残す瑛斗は作品のバランスを取る上で大切な存在でした。

かつて天才子役として世の中に衝撃を与えた神木隆之介と共演したのも、凪くんにとっては良い経験になったと思います。

史上最高を更新し続ける広瀬すず

『ラストレター』の主演は松たか子になっていますが、個人的な印象では広瀬すずが圧倒的な印象を残しました。
もはや若手女優の括りではありません。大女優・広瀬すずです。

前述した裕里のキャラクターに加え、岩井俊二監督が得意とする“ひらひらした透明感のある少女”像はあまり得意ではないのですが、そんなことがどうでも良くなるほどに二役を演じた広瀬すずに魅了されました。

広瀬すずが好きな方には是非とも『ラストレター』を見ていただきたい。
それくらいに絶大な存在感を放っていました。彼女の代表作といってもいいと思います。

母親・未咲の葬儀で、手を合わせる鮎美。
心配する叔母・裕里に対して、静かに、そして気丈にふるまう鮎美。

映画が始まって間もない中、広瀬すずの演じる鮎美は涙腺を大いに刺激してきます。

誰もが憧れる才色兼備の美少女という強いキャラクターに負けない、凛とした美しさ。
妙齢の美少女特有の「自分がかわいいことを知っている」あざとさの表現も見事でした。

彼女にまっすぐな目で見つめられたら神木隆之介でなくとも「エヘヘ」と情けない笑い声を漏らしてしまうはずです。
広瀬すずと一緒に生徒会室の机を運ぶ高校生活をうらやましいと思ったのは、たぶん僕だけではないでしょう。

清さとか少女らしさとか、奥ゆかしさとか。

岩井監督が追求したであろう、「らしさ」を体現しつつ、その少女像をさらに超える強さが彼女の演技には宿っていました。

 

これまで、主演を務めた『ちはやふる』が広瀬すず史上最高作品だと思っていました。
が、僕の中での広瀬すず史上最高は更新されました。

未咲を、鮎美を愛で、ともに泣きましょう。

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2018年4月20日

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