2002年の映画『ピンポン』を鑑賞しました。
松本大洋のコミックスが原作。曽利文彦監督、宮藤官九郎脚本。主演は窪塚洋介、ARATA。
日本の卓球界を変えた作品として言っても過言ではありませんね。15年が経ってもなお新鮮です!
『ピンポン』のスタッフ、キャスト
監督:曽利文彦
原作:松本大洋
脚本:宮藤官九郎
ペコ:窪塚洋介
スマイル:ARATA
チャイナ:サム・リー
ドラゴン:中村獅童
アクマ:大倉孝二
太田キャプテン:荒川良々
オババ:夏木マリ
小泉:竹中直人
あらすじ紹介
松本大洋の同名人気コミックを、ジェームズ・キャメロンのデジタルドメインで「タイタニック」のVFXに参加した曽利文彦監督が映画化。脚本は「GO」の宮藤官九郎。小学校のガキ大将ペコは、得意の卓球をいじめられっ子スマイルに教える。が、高校入学初の全国大会で、スマイルは勝ち進むが、ペコは幼なじみのアクマに負けて大ショック。優勝は名門校の主将、ドラゴンに。彼らそれぞれの1年間の後、次の大会がやってくる。
以下、感想部分で作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。
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映画のネタバレ感想
以下、作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。
スポーツ映画の王道がここに
星野(窪塚洋介)。通称ペコ。幼なじみの気弱な月本(通称スマイル・ARATA演)に卓球を教え、彼を暗闇から引っ張り出します。
才能に恵まれ、心から卓球を楽しむペコでしたが、高1の夏の大会の敗北を機に卓球から離れてしまいました。
一方で星野を負かしたアクマこと佐久間(大倉孝二)はスマイルに完敗を喫してラケットを置き、退学。夏の大会前はペコの練習相手に過ぎなかったスマイルでしたが、大会で甘さを見せ敗退してからはストイックに強さを追い求めるようになり、ぐんぐんと力を伸ばしました。
スマイルが夏大会で負けた相手は中国人留学生の孔(通称チャイナ=サム・リー演)でしたが、ペコは道場破りの形で乗り込んだ練習試合で孔に0-21で敗れており、僅差で競り合ったスマイルとの序列はもちろん、その後に孔を破って優勝したドラゴンこと風間(中村獅童)の強さにも衝撃を受けたのでしょう。
世界をまたにかけて戦う選手になる!とのたまったペコにとって、屈辱的な序列が示されました。
風間>孔>スマイル>佐久間>ペコ
卓球は個人戦とはいえ相性などももちろんあるスポーツなので、ピラミッドの力関係が適応されるわけではありません。
しかし本作品では意図的にそれが示されており、ペコのプライドを傷つけ、彼はドロップアウトの道をたどって行きます。
周囲の描き方が秀逸
能ある鷹は爪を隠すと言いますが、その隠した爪を孔や風間に評価されていたスマイル。しかし彼は、勝ちに貪欲になれませんでした。
相手を蹴落として上に行くことを嫌い、どこかであと一歩を踏み出せない。そんなスマイルに勝利の味を覚えさせるべく、顧問の小泉(竹中直人)が提案した賭けは見事でした。
この映画の醍醐味の一つはスマイルがめきめきと力をつけ、毛嫌いしていた小泉とも少しだけ心を通わせ、ペコなき卓球部の中で勝ちにコミットした冷酷なエースに成長していくところです。
何より、彼を上のレベルに引き上げたい、上のレベルで見てみたいと渇望する周囲の環境が素晴らしい。
孔は最後まで全力でスマイルを倒しにいきましたし、風間もその才能に惚れ込んでいました。また荒川良々が演じる片瀬卓球部部長の、スマイルに対する言動も見ごたえがありました。
指導に執着を見せていた小泉を含めて、スマイルには周りの人を夢中にさせる才能と伸びしろがあったんですね。突出して目立たなくても、実力者から認められる存在、スポーツをやっている人なら共感できるのではないでしょうか。
当時若者のカリスマだった窪塚が演じるペコの独特すぎる言語感覚も必見。「アツがなついぜ!」は彼くらいしか言えないでしょう。
ボクシングをテーマにした『ボックス!』に少し似てる作品ですが、卓球のみならずスポーツ映画の金字塔だと思います。
たくさんの作品と出会えます。
ぜひお試しください!