映画『夜は短し歩けよ乙女』〜そこにお酒がある限り〜

完成時から楽しみにしていた『夜は短し歩けよ乙女』を観てきました。

湯浅政明監督。「先輩」役の声優に星野源、「乙女」役の声優に花澤香菜。

 

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歩けよ乙女、颯爽と

森見登美彦の小説は5年前に既読

京都大学を舞台にした少し古めかしいようでファンタジーにあふれたラブストーリーがとても気に入った。

きっぷの良い、という言葉がまさにピタリとハマる「乙女」の真っ直ぐさと、お酒や本を通じて出会った人たちとの繋がっていく縁。

一癖ありながらも人間味に溢れたキャラクターたち。

細かい内容は覚えてなかったが、それが逆に映画を観る上で奏功したと思う。

▲先輩の声は星野源。先輩は小説に比べてやや影薄し… (C)森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会

映画の始まりはサークルの先輩の結婚式での披露宴だが、正直アニメーションのタッチはかなり苦手だった。小説版の装丁イラストに寄せているのだろうけれど、平面的な印象だ。

小説を読んで想像していた場面の再現という面では物足りなかった。
ただし、時間が進むうちにタッチの好き嫌いはどうでもよくなった。

「乙女」を中心とした世界に引き込まれた。

東堂さん、李白さんというアクが強いキャラクターの設定。
「ナカメ作戦(ナるべくカのじょのメにとまる)」を実行する「先輩」。
学園祭事務局長とパンツ総番長の掛け合い。

映画だから実現できる「偏屈王」のミュージカル調演出。

そして何よりも「乙女」の真っ直ぐでよどみのない爽快感。

「そこにお酒がある限り!!」

 

▲この独特なタッチに慣れるのは少しだけ時間がかかりました (C)森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会

人間臭さと京都という土地の独特な時間軸と純粋な「乙女」が映画のキャッチコピーとなっている「こうして出逢ったのも、何かのご縁」に繋がっていく。

完全なる悪役やラスボスはいないので性善説に基づいて作られている作品だとは思うが、原作の雰囲気が大好きだった僕にはそれが心地よかった。

事務局長が思っていた以上にイケメンに描かれていて、パンツ総番長の救われ方も良かった。

 

人と人を繋ぐ縁

小説を読んでいても思ったが、偽電気ブランとはなんと美味しそうなお酒なんだろう。

人と人を繋ぐお酒とは何て素敵なものなんだろう。

『君の名は。』では結びという言い方で繋がりが表現されていたが、本作ではもっと表面的な関係性でご縁が紹介されている。

だからこそわかりやすいし、だからこそ日常からいささか乖離したファンタジーを感じることができる。
春夏秋冬を一夜という時間軸で語るとは、なんて素敵な恋物語なんでしょう。
夜は短しの意味がすごい深い。

一番好きなシーンは「乙女」を先頭に登場人物が列になって夜の飲み屋街を更新するところ。

自身が酒豪でなくとも、知り合いにお酒が大好きな人がいると、この作品は一気に親近感が増すと思います。

あとは、日本語の言葉の使い方も注目してほしい。さすが文学作品と言うべきか。
これほどまでに美しい「ご都合主義」という言葉は僕は耳にしたことがありません。

▲最高にポジティブなご都合主義。ファンタジーと現実世界の融合を楽しんでください! (C)森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会

 

小説よりも先輩の影が薄いのでそのへんが好き嫌いを選ぶかな。

★★★★★。
期待以上。

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