映画『ピース オブ ケイク』を鑑賞。
多部未華子、綾野剛、監督は田口トモロヲ。
男と別れ、引っ越し先の隣人・京志郎(綾野剛)との少し運命的な出会いにて彼を好きになってしまった志乃(多部未華子)。
しかし、その京志郎には女がいて…というお話。
多部未華子の心情描写が小刻みに入り、彼女の目線から好きな男を求め、依存し、捨てられる恐怖と背中合わせの幸福を感受する志乃が描かれる。
多部をモテ女と判断できるか
ふしだらというわけではないが、隙があり男を吸い寄せる多部未華子に納得できるかどうかで評価は決まりそうな感じである。
志乃は非常にモテる。
常に男の気配を察知し、恐らく無意識的にエヘヘとはにかみ、飲み会では真っ赤な顔でくだをまき、男に付け入る隙を与えている。そして、寄ってきた男を拒まない。
これは女から嫌われる典型のようだが、意外と作内ではそれは描かれない。
僕は彼女が魅力的だとは思わなかった。でも、彼女が男を惹きつけている以上、彼女の仕草や服装はモテ女のそれであり、非モテの女性にとっては教本になるのかもしれない。
適度に緩い多部未華子を魅力的に感じられるかどうかがこの作品のキーポイントになりそう。
適度に緩い多部未華子を魅力的に感じられるかどうかがこの作品のキーポイントになりそう。
絶対的な美女ではないが、狭いコミュニティにおけるアイドル的存在。そして志乃は幾つかのコミュニティを介在し、男を惚れさせていく。
オカマを演じる松坂桃李
そんな風に志乃へのバイアスを剥がしながら観ていたが、他のキャラクターもなかなかに魅力的だった。
綾野剛の京志郎は果てしなく御都合主義だったが、彼は男のだらしない部分をさらけ出す貴重な存在だった。
女への依存と建前と言い訳と。
志乃が実際にいそうでいない小さなアイドルだとすれば、彼は内面的にはどこにでもいる体裁の良い男だった。
その京志郎と付き合う志乃の執着を描くことで作品は日常に近づいていった。
オカマのテンちゃんを演じた松坂桃李も特筆しておく。
彼の演技も久々に見た気がするが、作品で一番良かった。「ウホッ、いいオトコ」とのたまう松坂桃李、素敵。半端ないって。
峯田和伸の歌を含めて色々な要素を散りばめた作品で、少女コミックの原作の範疇を超えた一本。
ど直球で勝負するだけではない勇気が最高でした。
女子から見たら多部未華子と綾野剛はどう映るのか、気になるところ。