映画『少女』〜本田翼の淡白な表情が奏功〜

湊かなえ原作、三島有紀子監督の『少女』を観てきました。

主演に本田翼と山本美月。

原作の書評はこちら

見たい。人が死ぬとこ

ポスターにも記されているこのフレーズは、原作の根幹を構成しているテーマである。

由紀(本田翼)は転校生の紫織(佐藤玲)が発した「私、親友が死ぬところ見ちゃったんだよね」という言葉に、またボーイフレンドの牧瀬(真剣佑)が電車に轢かれるシーンを見たということに羨望を覚え、人が死ぬ瞬間に立ち会うことへの憧れを強める。

▲電車に轢かれる男を見たという牧瀬。彼が持つ紙くずとは…? (C)2016「少女」製作委員会

ただし、ありがちな(?)人を殺してみよう大作戦ではなく、彼女の選んだ対象は病死。
由紀はとても頭のいい子である。

親友の敦子を演じるのは山本美月。

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ヨルの綱渡りの前後

小説が手元にある人、あるいは小説を読もうかなと思っている人は先にそちらを読んでから映画を見るといい。
由紀と敦子の関係性はやはり原作が上手い。
由紀>敦子の単純な不等号だけでは表せない微妙な関係性だ。

▲由紀と敦子(山本美月・左)の一人称で語られる小説とは視点を変えて、様々なテーマから2人を補強している。 (C)2016「少女」製作委員会

心情描写がそれほど多くない映画は視点を変えて、原作に描かれていない部分をえぐり出した。

国語教師は由紀に何と言ったのか、牧瀬はどのように由紀に絡んでくるのか。
なぜ紫織は転校してきたのか。

原作に新たなストーリーを加えて、「死ぬとこ見たい」以外のテーマを補強している。
詩織の足の部分の描写はその典型だと思う。

輝く山本美月と恍惚の本田翼

原作を読んだ印象だと、敦子が山本美月というキャスティングはいささか意外だった。

元気だけが取り柄のようなキャラクターを想像していたが、可愛く素直な山本美月だからこそ敦子の闇の部分を表現できたのかなという気も。

加えて、敦子のロングヘアを生かした照らし方がとても上手い。黒髪が明かりに照らされるとこうも美しいのかと息をのんだ。

▲小説を読んで感じていた敦子のイメージと山本美月は正直違ったが、新鮮。 (C)2016「少女」製作委員会

本田翼の由紀は焦点が合っていないような浮遊感と冷たさ、そして恍惚を浮かべる表情がたまらない。

冷たさと言えば音楽、色彩、さらにミッション系の女子校という設定も湊かなえ作品の「怖さ」を再現するものとしてエッセンスを加えていた。

▲本田翼の由紀は焦点のぼやけた冷たい目が奏功したと思う。紫織(左)を演じるのは佐藤玲。 (C)2016「少女」製作委員会

原作以上にどんでん返しの要素は薄い。
正直、小説を読んでいない人には序盤は退屈に映り、終盤は茶番に見えるかもしれない。

だからこそ、是非原作を読んでから鑑賞してほしい一本。
小説、映画で合わせて一本の作品を作り上げた好例だと思う。

映画単品なら★3つ。
ただし、原作と照らし合わせながらの鑑賞がはまった。
★★★★★。映画の2時間以上に楽しめる作品。

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