映画『白ゆき姫殺人事件』〜湊かなえ風味全開〜

タイトル画像
※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

映画『白ゆき姫殺人事件』を観てきました。湊かなえの原作は未読。出演は井上真央、綾野剛ら。監督は『ゴールデンスランバー』『アヒルと鴨のコインロッカー』などの中村義洋。

湊かなえ作品お決まりの、事件が起こって、さあ犯人は誰だ紐解きましょう、という展開。

焦点は城野美姫という井上真央が演じる被害者の同僚になり、美姫の周りの証言をもとに進んでいくわけだが、『桐島、部活やめるってよ』の桐島のように顔を見せずに進行していく方式ではない。

だから城野美姫は回想シーンで登場するし、本人が主眼となって語る箇所もある。

被害者の三木典子(菜々緒)と比較される陰の存在として描かれていたが、どう見ても井上真央の方が可愛いと思うのは僕だけだろうか。



記憶は捏造されるもの

テレビ局で働く赤星(綾野剛)の取材カメラと彼のTwitterを軸に視聴者は推理を行っていくが、
「記憶とは本人にとって都合の良いように捏造されるもの」というちょっと都合の良い?法則によって証言はねじ曲がった部分が存在し、ミスリードを誘発する。

これから観る人は、証言による再現部の映像をよく見比べてほしい。
同じ場面を異なる証言者が語るから重層的に繰り返される。

事件当日、社員が向かった居酒屋で城野美姫はとっくりで酒を飲んでいたのか、ウーロン茶を飲んでいたのか、焼き鳥を食べていたのか。

本人にとって良いように捏造した部分の証言は何処なのか。

典子の部下・狩野(蓮佛美紗子)、みっちゃん(小野恵令奈)、篠山課長(金子ノブアキ)、そして城野美姫。

たぶん、みんなにそれぞれ歪められた記憶がある。それが重なっているから、きっと本当の真実なんてよくわからない。

いろんなテーマを上手にまとめた

小野恵令奈は『さんかく』以来に見たような気がするけど、相変わらず遅れ気味の声が魅力的。美姫や典子の先輩役として出演していた宮地真緒も人の良さが白い歯から滲み出てた。

小松利昌さんも二度目の登場くらいで、あっ!『高校入試』の宮下先生かって気づいて楽しかった。

生瀬勝久のワイドショーの再現度も最高。ミヤネ屋というわかりやすいリアルがあるからこそ活きる。

SNSの乱用や報道倫理、人間の嫉妬や利己主義、いろんなテーマを抱えながらもストンと落とした印象。

湊かなえらしさもきちんと残してあって大満足。