映画『新宿スワンⅡ』ネタバレ感想〜気になるアノ役者を見つけよう〜

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こんにちは。織田(@eigakatsudou)です。

2019年最初の映画は、2017年に公開された『新宿スワンⅡ』を選びました。
原作は和久井健のコミックス。

以下、感想部分で作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。

『新宿スワンⅡ』のスタッフ、キャスト

監督:園子温
原作:和久井健
脚本:水島力也
白鳥龍彦:綾野剛
滝マサキ:浅野忠信
真虎:伊勢谷友介
関玄介:深水元基
葉山豊:金子ノブアキ
時正:村上淳
鼠賀信之介:桐山漣
洋介:久保田悠来
小沢マユミ:広瀬アリス
アリサ:高橋メアリージュン
ハネマン:中野裕太
キルビル:梶原ひかり
梶田:要潤
倉石:神尾佑
天野修善:吉田鋼太郎
住友:椎名桔平
涼子:山田優

前作同様、監督は園子温
新宿のスカウト集団・バーストの構成員としてタツヒコ(綾野剛)真虎(伊勢谷友介)関(深水元基)らが登場しています。

あらすじ紹介

スカウト会社の新宿バーストが横浜に勢力を広げることになり、エース格となった白鳥龍彦(綾野剛)がその命を受ける。だが、横浜には横浜ウィザードのタキ(浅野忠信)が君臨。警察やヤクザともコネクションのあるタキの工作により、新宿バーストはピンチを迎えてしまう。龍彦は、歌舞伎町を守るために立ち上がり……。

出典:シネマトゥデイ

今回は横浜のスカウト集団・「ウィザード」との抗争が一つのテーマに。
関と横浜時代の悪友・滝(浅野忠信)がメインキャラクターにもなっています。昨日の友は今日の敵を地で行くストーリー。
全体的に整合性を欠くシーンが多かった中で、この2人の過去の関係性、現在の相互の誤解といった人間ドラマは見応えがありました。

新宿スワンⅡ(Prime Video)

新宿スワン(Prime Video)

以下、感想部分で作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。



映画のネタバレ感想

以下、作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。

「園子温らしさ」はどこに?

前作ではヘルス嬢を演じた今野杏南を中心に、ヒロインとなった沢尻エリカ、関との濃厚なシーンを体当たりで披露した丸高愛実など、セクシーなキャラクターをフィーチャーしているように感じました。

園子温監督らしさというのは、わかりやすくエッチな女性キャラクター。それが僕の中での定説です。

女性キャストの紹介

前作と同じ2015年に公開された『みんな!エスパーだよ!』において特にその傾向は顕著で、エロガキの妄想を凝縮したような描写が溢れていました。

風俗嬢の描写が多かった前作の『新宿スワン』に比べて、今作の『新宿スワンⅡ』は山田優がママを演じるクラブの嬢がメインだったこともあり、性的に訴えるシーンはほとんどありません。

しかし、クラブの女性が一同に並び立つ光景には、やはり園監督の圧倒的なこだわりを感じてしまいます。

エンドロールでは福田愛美、小宮有紗、三浦萌、小間千代、忍野さら、あかね澪、乙葉ななせ…と幅広いカテゴリーのキャストの名前が羅列。シンガーソングライターのAnlyは劇中でミニライブを披露しています。

嬢を演じた女性キャストで印象的だったのは、バーストの井出(佐藤祐基)がスカウトしながらも、ウィザードに寝返ってしまった(横取りされた)アンナ(山本紗也加)。
オーディションコンテストで演歌を披露した彼女を見て、タツヒコがこぼした「上手いな」という一言は視聴者も完全に同意でしょう。

結果的に、ヒロインの咬ませ犬のような役になってしまったアンナでしたが、恋心すら抱いていたようにも思わせる井出の熱演も相まって存在感を放ちました。

広瀬アリスと高橋メアリージュン

前作の沢尻エリカのような立ち位置に起用されたのが広瀬アリス
タツヒコにスカウトされ、前述の山田優のお店で働くことになったマユミという女性を演じました。

借金返済に苦しんでいるという触れ込みでしたが、このマユミの言動や行動にはおかしなところが目立ちます。
橋から飛び降りようとする理由も、タツヒコにすがりつく理由も、僕にはよくわかりませんでした。

彼女のキャラクターを素直に可愛いと捉えられるかどうかが、この作品を楽しめる一つのカギになるのかと思います。
正直なところ新宿vs横浜の抗争、バーストの存亡を賭けたストーリー展開においては蛇足とすら感じました。

一方で、横浜のボス・滝の愛人役を演じた高橋メアリージュンは作品随一の存在感を放ちました。
彼女も『みんな!エスパーだよ!』に出演。昨年末に『スマホを落としただけなのに』でも観ていたので、なじみ深かったとも言えます。

低めの声と少し伏し目がちに話す仕草が、「敵の愛人」として完璧。作品内では一番感情的に逡巡するキャラクターだったとは思いますが、こちらにもその迷いや葛藤、滝の女としての覚悟が感じ取れました。
滝とタツヒコは対立する関係。でも、そのリスクを承知の上で彼女はタツヒコに接触を試みます。

横浜で薬漬けになってしまった旧友・洋介(久保田悠来)をタツヒコが奪還するというキーポイントも、彼女の印象的なキャラクター形成に影響しました。
洋介を失ったら滝に何をされるかわからない。だけど洋介のことを思えば、新宿に戻して上げるべきではないか。

怖いもの知らずで突き進む浅野忠信の滝も魅力的でしたが、高橋メアリージュンもまた、彼に負けない堂々たる演技ぶりでした。細かな表情を写すアップのカメラワークも多く、監督もかなり入れ込んでいたのかなと。薄く浅くのキャラクターが多かったこの映画で、一番の見どころです。

敵役・横浜ウィザードとは?

タツヒコたちのバーストと抗争になった横浜のスカウト集団「ウィザード」。
滝を頂点に君臨する彼らは、基本的にならず者感が半端ない描写に終始しています。
喧嘩の強さは確かなものの、やり口が凶暴かつ結構アンフェア。
タツヒコとフィールドでしつこくやりあったハネマン(中野裕太)キルビル(梶原ひかり)は顔つきからセリフ、仕草まで全てが腹立たしく映りました。逆に拍手を送りたいくらい。

新宿=歌舞伎町なので、その対比という意味でわかりやすくしたのかもしれませんが、「横浜」を表現するためにみなとみらいに飛びついたのは本当に安易でした。
桜木町駅を挟んで反対側の野毛方面を除いて、みなとみらいはそういう街ではありません。
新宿に比べて未開という印象を受け、ハネマンたちの幼稚なキャラクターもそれに拍車をかけました。

世間一般から見た「横浜」のイメージは、繁華街もやはりみなとみらい地区なんでしょうね。残念。

男性キャストは?

ウィザードのメンバーには前述の高橋メアリージュン、久保田悠来の他に、栗原類北村昭博といったメンバーが出演。また滝をバックアップする「宝来会」の田坂総長役で中野英雄、若頭役で三浦力が渋い演技を見せています。
他にも元Jリーガーの俳優・青山隼の名前もエンドロールで確認。滝に絡む役だったようですが確認できませんでした。

両者の構想を煽るようなコンテストを実施した「全酒連」では黒幕的な存在とも言える椎名桔平要潤神尾佑が出演。椎名桔平のような権力者が自らの手を汚さずに生き残るあたりは、世の中の闇を描いた結果だと思います。

バースト側の幹部では真虎(伊勢谷友介)山城(豊原功補)時正(村上淳)らが新宿に待機。葉山(金子ノブアキ)は関たちの状況を視察しに、また洋介を探して横浜へ向かいます。
タツヒコとともに横浜でスカウトに奔走するメンバーには、上地雄輔や成田凌も。その他、エンドロールでは奥野瑛太、玉城裕規、藤巻勇気、根岸拓哉、武田一馬といった名前が並んでいました。

また、タツヒコの右腕として活躍を見せた鼠賀(桐山漣)はかっこよかった…!新宿のキャバ嬢役として出演している野崎萌香との対談もしているので、興味があればご覧ください!

野崎萌香のカルチャー連載 俳優・桐山漣と対談

俳優さんのお名前を女性、男性ともに羅列していきましたが、たくさんの出演者の中から知った顔を探すというのも一つの楽しみ方かもしれません。

アクションがすごい!

最後にこの映画の一番の見どころです。
ずばり、アクションシーンです。

タツヒコと森長(上地雄輔)の喧嘩に始まり、タツヒコとハネマンによる新宿路上での激闘、さらにタツヒコと滝の本牧での激闘は、前作を凌駕しています。
他のバトルものと比べても臨場感の凄さは明らか。細かいカットを使わずに長回しで撮るシーンが多いんですが、園監督の勇気に綾野剛をはじめとした役者がしっかりと応えている証拠でしょう。

園監督の作品では清野菜名と坂口茉琴の名演が光った『TOKYO TRIBE』が好きでしたが、本作品もストリートバトルとしてはかなり高い完成度に仕上がっていると思います。
前作に比べてキャラクター面における描写が薄かった綾野剛でしたが、今回の主役はまさに体で勝ち取りました。

マユミのエピソードを中心に脱線の多い、またそもそもの抗争の意味がよくわからないストーリーでしたが、たくさんのキャスト陣やアクションシーンに見どころを感じて欲しいと思います。

 

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