映画『八日目の蝉』〜原作よりも哀しさを薄めて〜

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11年公開、『八日目の蝉』をHDDから鑑賞。主演は井上真央、永作博美。成島出監督。角田光代の原作書評はこちら



逃避行は弱め

小説では希和子(永作)とカオル(井上)が別章になっていたけども、映画では交互に描かれていた。

これは原作を読んだ僕のイメージだけど、カオルの視点よりは希和子の逃避行に対する印象が強かったので少し物足りなかった。

エンジェルホームの不気味な感覚とか、小豆島のラブホテルでの住み込みとか。

後者に関しては完全に端折られているので潔いけれども。

カオルの子供時代を演じたのは『明日、ママがいない』でボンビを演じた渡邉このみちゃん。何という演技派。大阪出身というだけあって、四国のイントネーションも抜群だった。

方言が染み込む形もスムーズだったし、言語習得によって視聴者に時間の進行を伝える形は良かったと思う。

他の部分ではやはり四年間の逃避行というのが肝なので日時の掲示はしたほうが良いかなと思ったけど。

井上真央が演じるカオルの胸中は?

井上真央は達観というよりも無愛想な印象で、もう少し内なる惑いを表現できたんじゃないかな。

永作博美は良かったけど、原作にあるエゴの部分が少し弱かった。一応犯罪者なわけですから。

小豆島の環境に時間を割きたいのはわかったし、良いシーンもあった。

ただ、やはり八日目の蝉というのは少なからずの不気味な部分は欲しかったし、ラストシーンはもったいないなと思った。

総じて良い作品だとは思うけど音楽も含めて単調に。
積極的な改編は好きだった。