映画『SCOOP!』〜ゴシップメディアの綺麗事〜

福山雅治主演の『SCOOP!』を鑑賞。

脚本、監督は『モテキ』などの大根仁。

この週刊誌風のポスターがまた秀逸。

「日本一撮られない」福山雅治が、まさかのパパラッチ役を演じるというのも胸熱。

公開にあたってのFLASHのインタビューで福山が「僕は袋とじを綺麗に開けることには自信がある」と言っていたけど、本作の彼は袋とじを乱暴に開けている。

まあここらへんはどうでもいい話。

スポンサーリンク



圧倒的リリー・フランキー

フリーのカメラマン・都城(福山)は夜の街を中古のベンツで徘徊。

時間と場所を英語でテロップを流すあたり、場面設定の可視化は『恋の渦』と似ていたりする。

ただ、『恋の渦』『モテキ』『バクマン』で感じた大根監督のカラーを前面に出す、という部分は弱く感じた。

口語的なセリフによる会話のリズムの良さは残しながらも、ストーリーの起伏とカメラの音で勝負している印象。

▲都城の相棒・中古のベンツ。どこまでもカッコつける男。 (C)2016「SCOOP!」製作委員会

中年パパラッチと陰口を叩かれるロートルの都城を演じる福山は、それでも福山雅治だった。

パンツの中に手を突っ込んで尻をボリボリ掻いていても、鼻毛を抜いても、なお都城はかっこいい。

二階堂ふみも良かったが、俳優ではリリー・フランキーが抜群だった。

『そして父になる』でも福山と共演しているが、本作のチャラ源というキャラクターはリリー・フランキーでしかありえなく、僕が今『そして父になる』や『モテキ』を見てもそこに映るリリー・フランキーはチャラ源にしか見えないと思う。

それほどに彼はチャラ源というキャラクターに染まっていた。

▲チャラ源を演じたリリー・フランキーが抜群。キャラを染め上げ、自らが染まっていく。 (C)2016「SCOOP!」製作委員会

サイテーな職業だけども

有名人のケツを追いかけ、ゴシップを取り、スキャンダルとして週刊誌で扇動するのが都城や野火(二階堂ふみ)の仕事である。

僕自身もメディアの端くれなのだが、彼らのような人のスキャンダルを食い扶持にしている職業はよくわかるし、だからこそ本作は少し美化して描きすぎている気もする。

▲編集部の内部。週刊誌の編集部には入ったことがないけど実際どうなんだろうか。 (C)2016「SCOOP!」製作委員会

ベッキー、SMAP、高知東生…様々な芸能人の犯してしまった、あるいは起こってしまったことに対して、週刊誌やスポーツ新聞は煽り立てて糾弾した。

読む人は(時に仕立て上げられた)悪者を非難することでうさを晴らし、自らの正当性を確認した。

ただ、そこには誰かを傷つけた事実が介在している。
有名税というにはあまりにしつこく彼らはターゲットにされてしまったと思うし、叩きたがる人たちもあまりにしつこかった。

▲数字至上主義はよくわかる。ただし、いわゆるゴシップメディアのやっていることは人権すれすれ、むしろアウトなわけで、そのへんの傷つける責任ももう少し描いて欲しかった。 (C)2016「SCOOP!」製作委員会

▲スクープを狙う潜入取材には危険がつきものだ (C)2016「SCOOP!」製作委員会

雑誌の現状は厳しいながらも、文春のように一山当てて、この作品の編集部のように数字を伸ばすことはあるだろう。

でも、その数字の裏にある痛みは、どうだろう。
記者やカメラマンが汗水流しリスクを負って取ってきたネタならば許されるのだろうか。

撮られた側に人権は尊重されているのだろうか。

ストーリーだけ見れば盛り上がりどころがいくつか点在していて飽きず、二階堂ふみの艶やかなシーンなど綺麗なカットもあった。
ただ、同業者として人の傷につけ込むような仕事が正しいかどうかは賛同できない。

▲二階堂ふみは艶やかな場面もあったが基本的に苦労しなさすぎである。全然ゴキブリ以下じゃない。 (C)2016「SCOOP!」製作委員会

都城が言う「俺たちの仕事はゴキブリ以下だ」というセリフ。

もう少し下衆な部分も描いてほしかったのが本音である。二階堂ふみの仕事なんて良いところしかない。

ちなみに、編集部には滝藤賢一演じる馬場というキャラクターがいるが、彼の考えこそが真っ当だと思う。スキャンダルに辟易している一般市民から見たら。

出版社を目指す人はどうか、そのあたりのバランス感覚を忘れずに。

▲滝藤演じる馬場(中央)。彼のバランス感覚は実はすごく大事なこと。 (C)2016「SCOOP!」製作委員会

沖田杏梨やAV女優、グラビアアイドルもちょいちょい登場。

そちらの下衆な殿方は是非ともチェックを。

大根さんの作品はやっぱりタバコが美味そうに見える。

福山がスパスパ吸うので僕も鑑賞後は速攻で喫煙所へ。

電子タバコ吸える職場っていいですね。

▲美味そうに一服する福山。電子タバコを吸える職場が羨ましい。 (C)2016「SCOOP!」製作委員会

★★★☆☆。

関連記事