映画『聲の形』ネタバレ感想|いじめる側の臆病も描く良作

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映画『聲の形』を鑑賞。
封切りから一月半。ようやく観ることができました。

アニメーション制作・京都アニメーション。山田尚子監督。

『聲の形』のスタッフ、キャスト

監督:山田尚子
原作:大今良時
脚本:吉田玲子
石田将也:入野自由
西宮硝子:早見沙織
西宮結弦:悠木碧
永束友宏:小野賢章
植野直花:金子有希
石田将也(小学生時代):松岡茉優

あらすじ紹介

退屈することを何よりも嫌うガキ大将の少年・石田将也は、転校生の少女・西宮硝子へ好奇心を抱き、硝子の存在のおかげで退屈な日々から解放される。しかし、硝子との間に起こったある出来事をきっかけに、将也は周囲から孤立してしまう。それから5年。心を閉ざして生き、高校生になった将也は、いまは別の学校へ通う硝子のもとを訪れる。

出典:映画.com

以下、感想部分で作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。



映画のネタバレ感想

上映館数が少なく、映画の日の公開ということもあり、館内は9割がた埋まっていた。
この作品の前提として耳の聞こえない少女と、彼をいじめた少年、そして彼に対する因果応報がある。

異質なものを無視し、ついには手を出す。

聴覚を持つ西宮へのいじめと、その加害者が今度はいじめられるという構図は確かに今までにあまりないものだった。

障がい者と小学生

誤解を恐れずに言えば、小学生が障がい者と関わるには勇気がいる。

自分たちと違う者を受け入れることへの周りの目、恐怖、気恥ずかしさ。
みんなと違うことをするのが怖いから淘汰する。

それが石田の西宮に対する行動には含まれていたのではないだろうか。

石田に見えている世界や手話、そして結弦との関わり方。このあたりはとても丁寧に描かれていると思う。

結弦は人間味、外見共にこの作品で一番魅力的なキャラクターだった。

いじめた側の贖罪

いじめる側の石田が逆に標的となったことについて。

いじめをするクラスというのは対象を探していることが多い。

あのクラスでは石田が槍玉に上がり、的にされたが、その対象は植野でも島田でも川井でもよかった。

だから、植野は小学校の時は西宮に引っ掻き回され、大事な空間を壊された(たぶん石田のこと)と言うが、彼女の中に自分がターゲットにならないでよかったという安堵はなかっただろうか。

植野はクラスでカースト上位の女子だったが、それは恐らく石田も同じである。

僕が植野ならば安堵し、スケープゴートとなった石田へ贖罪の気持ちを持つ。あるいは無視を決め込む。関わりたくないから。
西宮ならなおさらだ。

なのに四年を経た植野は、石田と西宮に執拗に関わり続ける。

これが西宮と一緒にいる石田への想いというのならば、彼女は歪んでるし、その歪み方の描写が足りない。
一方、贖罪というには全く反省の色が見えなかった。

コミュニケーション能力の決定的な不足により植野に人間味を感じられるという評価が多いようだが、僕にはそうは見えなかった。

自分の犯した傷に対する描写が欠けている。

あの花との共通点

小学校のある出来事に対し、忘れ物を取りに行くような書き方は「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」に似ている。
限られたメンバーのみで形成されたコミュニティというのも同じ。

現在進行形で、例えば全員が同じ高校で、というのならばわかるが、本作は違う。
いつまでも小学校の出来事に縛られすぎてる割には前述の通り罪の意識への描きが足りない。

橋の上でのシーン、石田が悪いみたいになっていたけど、僕にはそうは感じられなかった。

繰り返すが、結弦は相当に可愛い。
西宮も可愛い。また、基本的に主人公の視点から描かれるので石田もよく描写されている。

あの花が好きな人には良いかもしれない。

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