福山雅治主演の『SCOOP!』を鑑賞。
脚本、監督は『モテキ』などの大根仁。
週刊誌風のポスターが秀逸で、「日本一撮られない」福山雅治が、まさかのパパラッチ役を演じるというのも胸熱。
公開にあたってのFLASHのインタビューで福山が「僕は袋とじを綺麗に開けることには自信がある」と言っていたけど、本作の彼は袋とじを乱暴に開けている。
あらすじ紹介
数々の伝説的スクープをモノにしてきたカメラマンの都城静は、輝かしい業績も過去のものとなり、今は芸能スキャンダル専門の中年パパラッチとして、借金や酒にまみれた自堕落な生活を送っていた。そんなある時、ひょんなことから写真週刊誌「SCOOP!」の新人記者・行川野火とコンビを組むことになり、日本中が注目する大事件に巻き込まれていく。
スタッフ、キャスト
監督・脚本 | 大根仁 |
原作映画 | 原田眞人 |
都城静 | 福山雅治 |
行川野火 | 二階堂ふみ |
横川定子 | 吉田羊 |
馬場 | 滝藤賢一 |
チャラ源 | リリー・フランキー |
映画のネタバレ感想
フリーのカメラマン・都城(福山)は夜の街を中古のベンツで徘徊。
時間と場所を英語でテロップを流すあたり、場面設定の可視化は『恋の渦』と似ていたりする。
ただ、『恋の渦』『モテキ』『バクマン』で感じた大根監督のカラーを前面に出す、という部分は弱く感じた。
口語的なセリフによる会話のリズムの良さは残しながらも、ストーリーの起伏とカメラの音で勝負している印象。
中年パパラッチと陰口を叩かれるロートルの都城を演じる福山は、それでも福山雅治だった。
パンツの中に手を突っ込んで尻をボリボリ掻いていても、鼻毛を抜いても、なお都城はかっこいい。
相棒は中古のベンツ。どこまでもカッコつける男。
二階堂ふみも良かったが、俳優ではリリー・フランキーが抜群だった。
『そして父になる』でも福山と共演しているが、本作のチャラ源というキャラクターはリリー・フランキーでしかありえなく、僕が今『そして父になる』や『モテキ』を見てもそこに映るリリー・フランキーはチャラ源にしか見えないと思う。
それほどに彼はチャラ源というキャラクターに染まっていた。
サイテーな職業だけども
有名人のケツを追いかけ、ゴシップを取り、スキャンダルとして週刊誌で扇動するのが都城や野火(二階堂ふみ)の仕事である。
僕自身もメディアの端くれなのだが、彼らのような人のスキャンダルを食い扶持にしている職業はよくわかるし、だからこそ本作は少し美化して描きすぎている気もする。
ベッキー、SMAP、高知東生…様々な芸能人の犯してしまった、あるいは起こってしまったことに対して、週刊誌やスポーツ新聞は煽り立てて糾弾した。
読む人は(時に仕立て上げられた)悪者を非難することでうさを晴らし、自らの正当性を確認した。
ただ、そこには誰かを傷つけた事実が介在している。
有名税というにはあまりにしつこく彼らはターゲットにされてしまったと思うし、叩きたがる人たちもあまりにしつこかった。
雑誌の現状は厳しいながらも、文春のように一山当てて、この作品の編集部のように数字を伸ばすことはあるだろう。
でも、その数字の裏にある痛みは、どうだろう。
記者やカメラマンが汗水流しリスクを負って取ってきたネタならば許されるのだろうか。
撮られた側に人権は尊重されているのだろうか。
ストーリーだけ見れば盛り上がりどころがいくつか点在していて飽きず、二階堂ふみの艶やかなシーンなど綺麗なカットもあった。
ただ、同業者として人の傷につけ込むような仕事が正しいかどうかは賛同できない。
都城が言う「俺たちの仕事はゴキブリ以下だ」というセリフ。
もう少し下衆な部分も描いてほしかったのが本音である。二階堂ふみの仕事なんて良いところしかない。
全然ゴキブリ以下じゃない。
ちなみに、編集部には滝藤賢一演じる馬場というキャラクターがいるが、彼の考えこそが真っ当だと思う。スキャンダルに辟易している一般市民から見たら。
そしてああいう人は業界内では貴重な存在だ。
出版社を目指す人はどうか、そのあたりのバランス感覚を忘れずに。
沖田杏梨やAV女優、グラビアアイドルもちょいちょい登場。
そちら方面がお好きな殿方は是非ともチェックを。
大根さんの作品はやっぱりタバコが美味そうに見える。
福山がスパスパ吸うので僕も鑑賞後は速攻で喫煙所へ。
電子タバコ吸える職場っていいですね。