映画『ミックス。』ネタバレ感想〜ガッキーvs永野芽郁をもっと見たい〜

タイトル画像
※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

昨年の暮れに、久しぶりに卓球をやる機会がありました。
台で弾むピンポン球の音。テーブルの縁に当たって落ちるラッキーショット。

王子サーブを真似てみたり、面白い回転をかけてみたり。
スーツ姿の大人たちが全力で笑い、喜び、悔しがる。
童心に帰ることのできるスポーツの一つ、それが卓球だと思います。

こんにちは。織田です。

今回は2017年に公開された映画『ミックス。』を鑑賞してみました。
石川淳一監督がメガホンを取り、主演は新垣結衣と瑛太。

卓球の男女混合ダブルス(ミックス)を題材に描かれた、古沢良太氏のオリジナル脚本作品です。

以下、感想部分で作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。



『ミックス。』のスタッフ、キャスト

監督:石川淳一
脚本:古沢良太
富田多満子:新垣結衣
萩原久:瑛太
吉岡弥生:広末涼子
佐々木優馬:佐野勇斗
江島晃彦:瀬戸康史
小笠原愛莉:永野芽郁
張:森崎博之
楊:蒼井優
石原:斎藤司
富田華子:真木よう子
富田達郎:小日向文世
落合美佳:田中美佐子
落合元信:遠藤憲一

あらすじ紹介

幼いころには天才卓球少女として名をはせた富田多満子(新垣結衣)は、恋愛と仕事に挫折して帰郷する。亡き母が経営していた卓球クラブは赤字に陥り、活気もなく部員もさえない面々ばかり。しかし多満子は、クラブを再建し自分を捨てた元恋人ペアを倒すため、元プロボクサーの萩原久(瑛太)とペアを組み、全日本卓球選手権の混合ダブルス部門に出場することを目指す。

出典:シネマトゥデイ

以下、感想部分で作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。



映画のネタバレ感想

以下、作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。

実在の卓球選手たちが出演!

まず驚いたのが、リオデジャネイロ五輪のメダリスト・水谷隼をはじめとする、日本代表選手たちが出演していること。
水谷は女子の石川佳純とともに、壮行パーティーに本人役として登場します。
海外転戦もこなし、多忙なスケジュールで戦う日本最高峰の選手が、邦画に出演する。これは本当にすごいことです。

映画『ミックス。』スター卓球選手が参戦!(TSUTAYA ニュース)

リオ五輪の女子シングルスで大活躍した伊藤美誠、世界卓球のミックスで石川と組んで金メダルを獲得した吉村真晴、加えて木造勇人浜本由惟の4人は、なんと選手役で登場。
主人公たちの相手ペアとして、実際にラケットを握ります。


サッカーで言えば本田圭佑選手や大迫勇也選手がスーツ姿で映画に出演し、作品内では代表選手が俳優の相手役としてプレーするといったところでしょうか。
日本卓球協会の協力が大きかったとは思いますが、この本気はすごい。

卓球用品メーカーも全面バックアップしており、色々なブランドのウェアや製品が登場します。バタフライとNittakuが興行作品で共存するなんて普通はありえません。
強豪選手として江島(瀬戸康史)、小笠原(永野芽郁)を「かっこいい」スタープレーヤーとしてゴリ押ししたのも熱意が感じられます。
卓球をメジャースポーツにしたい。卓球界が一丸となって協力したのはそこが全てでしょう。

『ピンポン』との違い

昨年観た窪塚洋介主演の『ピンポン』は、才能を持つ者と持たざる者との違い、序列が如実に表れる個人競技としての側面など、スポーツ映画の金字塔とも言える作品でした。

タイトル画像

映画『ピンポン』ネタバレ感想〜必見!部活映画の最高級傑作〜

2018年3月4日

公開から15年以上が経っても、そこはやっぱり色褪せません。
特にメンタル面においては、競技者に近い目線で描かれていた映画でした。

それに対して『ミックス。』は「卓球が好きだ!」という熱意にフォーカスしている印象です。
主人公の多満子(新垣結衣)たちが所属する「フラワー卓球クラブ」という地域クラブを題材にしたのも良かったですね。

部活や実業団と違い、クラブは練習を強制されるところでも、自分の全てを捧げるところでもありません。
遠藤憲一、田中美佐子が演じた落合夫妻は、卓球とあのクラブの居心地が本当に好きなんだなと感じたし、初心者のくせにムキになってスマッシュを連打する萩原(瑛太)も、楽しそうな表情が印象的でした。

通算試合成績が全敗でありながらも、未だ卓球を愛し続ける落合(旦那)。
ちょっと臆病な主人の背中をいつも笑顔で押してあげる落合(妻)。
医者の妻としての息が詰まるような日常を少しだけ抜け出して、パーカー姿で卓球クラブに駆けつける吉岡(広末涼子)。
不登校の弱い自分を何か変えたくて、門を叩いた優馬(佐野勇斗)。
謎のガテン系入門者・萩原。

そんな中で、ガッキー演じる多満子は、彼らのエンジョイレベルを「勝つ」ためのレベルにまで引き上げようと奮闘します。
母のスパルタ教育を受けて卓球をやらされ、勝ちを求められ、競技から離れた元天才少女・多満子。
あれだけ嫌だった勝利至上主義にも大事な部分はあるのだと本人が気づいたところは、この作品の良いポイントでした。

クラブのメンバーたちが溜まり場として利用していた中華料理屋の使い方も上手。
周囲を巻き込みながら、弱小チームが強くなっていくストーリーは、スポーツ作品の王道に沿っていたと言っていいでしょう。

願わくは、優馬(佐野勇斗)の描き込みがちゃんとされていればベターでした。
広末の吉岡はかなり詳細にキャラづけがなされていただけに、この強弱のつけ方は正直もったいなかったです。
もっと佐野君に感情移入したかった…!

恋愛要素は減点

ミックス、すなわち混合ダブルスということで、テーマは男女のペアです。
当然のことながら、恋愛の要素をぶち込んできました。

多満子が少女時代に憧れていた江島(瀬戸康史)が、職場の強豪卓球部(企業チーム)に入部。
社会人になってからの運命的な再会を果たし付き合ったものの、江島の新パートナー・小笠原(永野芽郁)に江島を寝取られて多満子は会社を辞めて実家に帰ります。

そこから萩原と出会い、江島への仕返しの思いと、彼を小笠原から取り返せるのではないかという一縷の希望を抱き、彼女は再び卓球に取り組んでいきました。

察しの通り、結局多満子と萩原がだんだんと「パートナー」の関係になっていきます。
個人的には、この恋愛模様が作品の主な減点材料。
時と場所によって、多満子と小笠原に「キミじゃなきゃダメなんだ」と二枚舌を使い分ける江島がクズ男として描かれていますが、それ以上に自分の気持ちをはっきり整理しない多満子に腹が立ちました。

女のバチバチバトル

彼女にとって卓球を再びプレーする原動力になったものは、江島を小笠原に寝取られたことでしょう。
その反発心や、好きだった江島に再び言い寄られて心が揺らぐのはわかります。

でも、彼女はその惑う気持ちを全然こちらに示してくれません。

これは新垣結衣の演技の問題なのか脚本の問題なのかは不明ですが、幸せな男女を執念深い目で見ているわりには、彼女がどうしたいのか全くわかりませんでした。
萩原に対しても、え、好きだったの?っていうほどには難解だった多満子のキャラクター。僕は萩原と江島に同情します。

多満子の気持ちが二人の男の間で揺れるという設定は面白いんですけどね。負け組だった彼女が、暫定的であれ男を選ぶ立場になったわけですから。

恋敵兼・ライバルプレーヤー兼・性に奔放なアスリートとして登場する江島、小笠原役の瀬戸康史と永野芽郁は、逆に応援したくなりました。
萩原に「ピアス野郎」と罵られる江島のチャラついた貴公子感はたまらなかったですし、小笠原に対してはそれ以上の敵視する目線が主人公サイドから向けられました。
単純に二人とも美しいんですよね。顔が。

永野芽郁にはチークの使い方と口角の上げ方に、魔性の女をたっぷり感じられました。

多満子から見た小笠原もそうですが、小笠原にとっての多満子もギャフンと屈服させてやりたい対象ですからね。
この女2人のマウント合戦はもう少し見たかったなというのが本音です。

多満子をめぐる萩原と江島にはそこまでの因縁はありません。江島は多満子と萩原の関係(そもそもあるのか?)を知らないから当然ですね。彼にとっての多満子は乗り換え候補に過ぎません。彼女候補ではなく、乗り換え候補です。

憎まれ役を演じた2人については、ザ・テレビジョンさんの対談記事が面白かったです。
“憎まれ役”を演じた瀬戸康史&永野芽郁『撮影はアウェイでしたよ(笑)』

斎藤さんから惜別の封筒が

森崎博之と蒼井優が演じた中華料理店員の提供する激辛マーボーだったり、緊張でトイレから出てこない落合旦那だったり。
多満子の超鬼畜な母役を演じた真木よう子だったり、その旦那(小日向文世)だったり。
吉田鋼太郎と中村アンの県警ペアだったり、生瀬勝久のわけわからないオカマバー特訓もあったり。

ラブコメと銘打たれただけあって、視聴者を笑わせにかかる面白い場面が結構あります。

その中で印象的だったのは萩原の勤める作業現場の先輩(主任?)を演じたトレンディエンジェル・斎藤司。
萩原を「モヤシ」とバカにして笑いながらいびる、器の小さな男です。

萩原の前に多満子が現れてからの彼の言動に、ぜひ注目してください。萩原が多満子を意識したのは、このうざったい主任がいたからかもしれません。

終盤に萩原へ渡した惜別の金一封と思われた封筒には、本気で爆笑。
初めてちゃんと観ましたが、斎藤さんは演技が上手いと思いました。マジで。

 

ミックス。(Prime Video)