映画『明日の記憶』〜ずっと覚えていたい名作〜

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06年公開『明日の記憶』。

堤幸彦監督、原作は荻原浩の同名小説。

渡辺謙が主演、エグゼクティブプロデューサーとしてもクレジットが載っている。



メモを持ったことすら忘却する

広告代理店で働く佐伯(渡辺謙)を突然襲ったアルツハイマー病。

認めたくない自分が、病院での簡単な記憶力テストにより脆くも崩れさる様は、何年か前のドラマ『ビューティフルレイン』にも通じる。

僕の身内にアルツハイマーにかかった人間がいたので、佐伯の記憶力や集中力が欠落して叱責される会社のシーンからもう見ていられなかった。

メモを書いていても、メモを持っていることすら忘れてしまう。
毎日使う地下鉄の駅なのに一つ違う出口から出た途端にわからなくなる。

口約束を覚えていない。

アルツハイマー病に馴染みの薄い人からすれば大げさな描写に見えるかもしれないけれど、本当にそんな光景や短い間での急な変化を見てきたので他人事ではなかった。

退職する際に、写真に名前を書いて同僚が佐伯にプレゼントするシーンは感涙もの。

基本的に病気とかで人を死なせて同情を誘う作品はあまり好きではないんだけど、もうこの映画に関しては胸が詰まって限界だった。

泣けます、じゃなくて、泣きます

原作の荻原さんに映画化を懇願したという渡辺謙は迫真とかそんな簡単な言葉で済まされないほどの演じっぷり。

在宅静養してからは携帯がらくらくフォンになっているなど細かいところも描写が達者。

彼を支えた樋口可南子の強さ、優しさもまた観ていて涙が出た。家のあちこちに貼られた物事の手順を示すメモたち。

あれも大げさではなく、実際あること。

病のありのままを描き、ありのままの患者を演じた一本。たまに思うけど堤監督がこんな作品も撮るんだとびっくり。

見る人の環境によって変わってくるとは思うけど、ラストはガチで泣きます。

泣けます、じゃなくて、泣きます。