先日、13年の映画『俺はまだ本気出してないだけ』を鑑賞。
主演は堤真一、福田雄一監督。
バツイチ、子持ち、フリーターの冴えない42歳・シズオが一念発起して漫画家で成り上がりを目論むコメディーである。
プレステのコントローラーを手放さない42歳
父親(石橋蓮司)、娘(橋本愛)とともに暮らすシズオはファーストフードでバイトをする42歳。
Tシャツにトランクス姿で寝そべり、ウイイレをする、まさにクズな42歳。
なお、この場面は番宣や予告編でも見ていたのだが、実際に見るとインパクトがものすごい。
ウイイレに興じるシズオのシーンでは、話があると親父に引っ張られながらも、いいところだと言ってコントローラーを離さず、結局一時停止するところが面白い。キャバクラや風俗などの描き方など、さすがテレ東が絡んでいるなと思わせるクオリティである。
この作品の評価に当たっては、シズオの中のもう一つの世界を面白いと思えるかどうかにかかってくると思う。彼の中での本音と建前が擬人化したシズオたちによって戦うわけだが、少なからず時間を割いていたこのシーンが、僕は蛇足だと思った。
漫画の原作を知らないからなんとも言えないところだが。
それよりもシズオのだらしなさをさらに深く突っ込んだり、父親や娘、あるいは宮田(生瀬勝久)などの主要キャラクターに主眼を置いたシーンがあっても良かったかもしれない。
まぁ、この自我の中を描いたような抽象性がテレ東ならではの作り方であるが。
最後まで飽きさせないネタのこぼし方は拍手。
山田孝之の贅沢な使い方と、ムフフなシーンでも全くエロく見せなかった引き算の作り方にご注目を。
明日やろうは馬鹿野郎。
でも、無計画の今日からやろうも馬鹿野郎。
いいじゃないか、馬鹿野郎でも。
客観視して笑える作品でした。