2019鑑賞記録から選ぶ映画10選

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こんにちは。織田(@eigakatsudou)です。

2019年は39本の映画を鑑賞しました。
過去5年に引き続き、今年も個人的なランキング10傑を発表したいと思います。

旧作を合わせたものなので例年と同じく2019年の映画限定ではないのですが、お付き合いいただけたら幸いです。

2018年の10選はこちら
2017年の10選はこちら
2016年の10選はこちら
2015年の10選はこちら
2014年の10選はこちら

2019年に鑑賞した映画は新作、旧作合わせて下記の39本です。

『新宿スワンⅡ』
『ミックス。』
『7s セブンス』
『翔んで埼玉』
『東京難民』
『星ガ丘ワンダーランド』
『何者』
『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』
『名探偵コナン 紺青の拳』
『うちの執事が言うことには』
『名探偵ピカチュウ』
『愛がなんだ』
『さよならくちびる』
『僕だけがいない街』
『凪待ち』
『天気の子』
『ホットギミック ガールミーツボーイ』
『アンダー・ユア・ベッド』
『愛唄 約束のナクヒト』
『溺れるナイフ』
『いなくなれ、群青』
『さよなら歌舞伎町』
『タロウのバカ』
『JOKER』
『心が叫びたがってるんだ。』(アニメ版)
『博士の愛した数式』
『愛なき森で叫べ』
『空の青さを知る人よ』
『殺さない彼と死なない彼女』
『暗闇から手をのばせ』
『オーバー・フェンス』
『娼年』
『どうしようもない恋の唄』
『恋は雨上がりのように』
『雨にゆれる女』
『アヤメくんののんびり肉食日誌』
『花とアリス』
『SR サイタマノラッパー』
『友だちのパパが好き』

(作品名から記事リンクに飛びます)



怪演YOSHI!凶悪の傑作

10位

2015年、長井龍雪監督、水瀬いのり

2015年当時に劇場で鑑賞。久しぶりにAmazon Primeで観てやっぱり心が震えました。
好みは分かれるかもしれませんが僕は屈折を抱えた成瀬が大好きだし、田崎の成長過程があまりにも好きです。

青春の向う脛という言葉通りの、痛さと切なさを優しく描いた作品。ミュージカル部分は何度でも泣くし、これからも泣いていきたいです。

9位

2019年、大森立嗣監督、YOSHI

不良が生まれ、悪が増幅していくさまが描かれた超凶悪作品。
観ていて胸糞が悪くなる種の映画で、僕はどうしようもなくこの悪ガキたちが嫌いです。憎いとすら思う。
その上で心に圧倒的な痛みを刻み込んだという点では間違いなく今年一番。

タロウを演じたYOSHIの狂い方が異常です。タガが外れるとかそれ以前に、リミッターがない人間というのはどんなものなのかを示してくれる映画。

8位

2019年、塩田明彦監督、門脇麦

素晴らしい歌に支えられた映画には元々弱いんですが、音楽以上に3人のキャラクターを描写する本気度に驚きました。
門脇麦、小松菜奈、成田凌のトリオは本当に奇跡だと思います。その中で特に成田凌の負う役割はとっても大きかったのではないのでしょうか。

衣装のチョイスや言葉の選び方も心に染み込むものでした。

7位

2016年、山下敦弘監督、オダギリジョー

設定からキャラクター描写、役者の演技に至るまで全てに穴がなく、それでいて函館三部作の武骨な部分もしっかりキープ。閉塞的な職業訓練校に通う男たちによる、不幸の押し付け合いと自己承認欲求に基づいた牽制が絶妙なタッチで描かれています。

傍から見たら明らかに異常な聡というキャラクターを、自然にこちらへ落とし込んだ蒼井優の圧倒的な演技も必見。隙あらば煙草に火をつける男たちのニコチン依存ぶりも印象的です。

青春映画の新時代

6位

2019年、小林啓一監督、間宮祥太朗

トレンドを開拓しそうな新時代の青春作品。
日常会話から逸脱した「セリフ」を多用してスクリーンの中と僕たち鑑賞者の間に一線を引く一方で、痛みとか恥じらいとか諦めとかを含んだ純粋な青春をこれでもかとこちらに訴えてきました。

「殺すぞ」「死ね」が口癖の小坂と、鹿野の掛け合いをはじめ、登場人物たちの小気味よいセリフの応酬は本当に癖になります。3組の高校生たちを題材にした群像劇の構成としてもハイレベル。泣きました。
万人にお勧めできる類の作品ではないかもしれませんが、観た後に心を揺さぶられる人は多いはず。

5位

2019年、山戸結希監督、堀未央奈

2019年、最も衝撃を受けた作品です。衝撃という言葉では足りないほどに、暴力的なまでの美しさで圧倒してくるヤバい作品です。
今まで映画を鑑賞してきて培われてきた自分の常識みたいなものが、全く通用しませんでした。

ともすれば鑑賞する側が「わからない」で置いてきぼりになりかねない中でこちらが食らいついていけたのは、ヤバい中にも押しつけがましさとか欺瞞は一切なく懸命に生きる少女、少年たちを合理的に、鮮やかに、一生懸命に描き出していたから。平成末期のトレンドを的確に表現したファッションをはじめとした世界観も大好きでした。
先日からNetflixでの配信もスタート。このヤバさをぜひ体感してみてください!

4位

2014年、佐々部清監督、中村蒼

大学生からホームレスに転落した青年の半年間を描いた社会派作品。様々な職種に焦点を当てながら、文字通り“その日暮らし”を送る主人公を映していきます。
本年公開された『天気の子』も、東京で生きていくことの厳しさを描いた映画でしたが、『東京難民』はリアルとして体感できる再現度が段違いです(個人的な印象です)。

中村蒼が演じる主人公・修はしょうもない平凡な大学生でした。落とし穴とは無縁と思われた彼ですら、危機感の薄さに付け込まれてカネ社会の荒波に飲まれていく。他人事じゃないです。
原作小説も読んでみましたが、エピソードを取捨選択して濃淡をつけた映画の方が完成度が高かったと思います。

娼夫、盗撮、追いケチャップ

トップ10には入らなかったものの、2019年に心を揺り動かした映画たち。
その中から3つの作品を選んでみました。どれも大好きな映画です。

2018年、三浦大輔監督、松坂桃李

R18+作品。大胆な、という言葉では全然足りないくらいに男女の絡みが尽くされている2時間です。女性の「欲しい」とは何なのかを考えさせてくれる作品といってもいいかもしれません。

松坂桃李は同じ人間として心から敬意を表したいほどの熱演でした。本当にお疲れさまでした。

2019年、安里麻里監督、高良健吾

国内トップクラスといえる端正な顔立ちの俳優・高良健吾がストーカーと化した傑作。心優しき覗き魔は純粋な思いに従って行動しますが、テーマがテーマなだけに生理的に無理!という人もいるかもしれません。

引っ込み思案な超王道の陰キャが抱き続けた妄想。それをあなたは笑い飛ばすことができますか?

2019年、今泉力哉監督、岸井ゆきの

貴方のためならいつでもどこでも駆けつけるわ!な主人公・テルコ(岸井ゆきの)を描いた片思いの恋愛映画。All depends on youなテルコに感情移入できるかどうかはスッパリ分かれそうな、語り甲斐のある作品です。

ナカハラくん(若葉竜也)の「幸せに、なりたいっすね!」はマジで名言。20代後半の勤め人たちの恋の始まり方もリアルでした。

それではトップ3の発表に移ります。

僕はまた 昨日のきみに、涙する

3位

2015年、山内ケンジ監督、吹越満

2019年最後に観た映画。爆弾をぶっ放されたくらいの衝撃でした。演技している感皆無の会話の数々。それを長回しで撮りながら場に漂う空気をもそのまま映し出すシーンの数々。
作品の前提として不倫がテーマになっているものの、ただのドロドロしたメロドラマでは済ませなかったところが上手でした。ある意味純愛のコメディーです。

言葉のキャッチボールが極めて秀逸でたくさん笑わせてもらいました。そして冷静に考えるとマジで吐きそうになりました。
上で挙げた『殺さない彼と死なない彼女』とはある意味対極の、自然会話が持つ魅力をたっぷりと引き出した映画。出演陣の演技が本当に素晴らしいです。

2位

2019年、武内英樹監督、Gackt

県民性。地域アイデンティティ。知っているあの地名。行ったことのあるあそこの地名。
地理マニアの心をくすぐりつつ、僕が知っている埼玉の10倍くらいの埼玉をぶちかましてきました。完全に俺得な映画でした。

ただのダサイタマ自虐映画にとどまらず、近隣都県からの視点を使うことで「埼玉県人=ださいたま=悪」という差別構造を確立。一方でGackt、二階堂ふみをはじめとしたファンタジックな世界観により、差別をネタとしてしっかり区別できています。都会指数とやらを使って刷り込んでくる地域カーストと、ディスの数々。埼玉、千葉方面の皆さんは必修しましょう。

1位

2016年、三木孝浩監督、小松菜奈

余命とか「限定された期間」を提示してお涙頂戴になる映画はたくさんあります。
でもこの映画に「薄幸」とか「不幸」とか「不運な境遇」とかは存在しません。あるのは既に決まっていた運命だけです。
恋愛映画の山場にありがちな、ダラダラとすれ違いが続くようなこともなければ、恋敵に流れたりすることもありません。二人(小松菜奈、福士蒼汰)にフォーカスしているから、余計な情報が全く介入しません。
二人がめくっていく日々を丁寧に描写していくことで、運命的な設定を上手に生かしていました。

泣きむせびました。決壊しました。
この文章を書いている今ですら、目頭が熱くなってきます。
これほどまでに美しくポジティブに「切なさ」を表現した映画は初めてでした。

最後に

最後まで読んでいただきありがとうございました。
2019年に公開された映画におけるトップ10は先日Twitterの方で発表させていただきました。

今年もたくさんの大好きな映画に出会うことができて幸せでした。
また、TwitterやFilmarksを通じて素晴らしい作品への入り口を教えてくださった皆さま、ありがとうございました。

2020年もどうぞよろしくお願いいたします。

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